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【選挙ウォッチャー】 国民民主党代表選2018・選挙前レポート。

ついに3選を目指す安倍晋三さんが出馬を表明し、形の上ではテレビ出演の多い石破茂さんとのタイマン勝負となったため、にわかに盛り上がりを見せている自民党総裁選。この日のために粛正に粛正を重ね、岸田文雄さん、野田聖子さんを土俵から引きずり下ろし、タイマン勝負となった石破茂さんに完膚なきまでに圧勝することで党内での独裁制をさらに高めようとしている安倍晋三さん。国民の4人に1人以上が自民党支持者である日本という国では、安倍政権がどれだけ長く続くのかは大きな関心事で、今年の自民党総裁選は特にニュースバリューが高いものになっているのですが・・・。

かつては政権交代を実現した民進党の流れを組む巨大野党でありながら、政党支持率わずか1%、国民の100人に1人しか支持している人がいない「国民民主党」の代表選が、自民党総裁選に先駆けて9月5日に行われることになりました。立候補したのは「国民民主党」の前身である「希望の党」の代表だった玉木雄一郎さんと、大のアイドル好きで女性トラブルが懸念されている津村啓介さんの2名です。知名度の観点から言っても玉木雄一郎さんが優勢っぽい代表選なのですが、政界きっての天然KY男である玉木雄一郎さんは、次々ととんでもない政策をぶちかましており、「誰がこんな政党を支持するんだ?」と言わずにはいられない状態になっているのです。「正直、公正」が安倍晋三総理に対する個人的なバッシングにあたるとして、石破茂さんがキャッチフレーズを変更させられた一件を見ても、自民党がだいぶヤバいことになっているのは明らかですが、それに対抗するべく国民民主党もだいぶヤバいことになっているため、与野党ともに終わっている現実を突きつけられ、国民は困惑するばかりです。


■ 第3子は「コドモノミクス」で1000万円支給

この少子高齢化をどう乗り切るのかは日本が抱える課題の一つですが、玉木雄一郎さんは第3子が生まれた家庭には「コドモノミクス」ということで「1000万円を支給する政策」を提案しています。そもそも「コドモノミクス」というネーミングセンスが絶望的なのですが、子どもを1人育てるのも大変な世の中で、3人目から救済の対象となるという、かなり極端な政策であることは間違いありません。ビッグダディのように子どもを作りまくったら1億円もらうことも夢ではなさそうですが、これから消費税が10%になろうという時代に、国民の貧富の差がどんどん大きくなり、日本人の初婚の平均年齢がどんどん遅くなり、物理的にも3人目を作ることが難しい世の中で、2人目までは手厚い支援がもらえず、3人目を生んでようやく月額4万円をもらえるという話では、国民の「子どもを作りたい」という気持ちの後押しにはならず、3人目を作る気になる富裕層だけが得をする政策になりかねません。また、18歳でも選挙権を与えられ、日本の成人年齢が18歳に変わろうとしている中、玉木雄一郎さんは20歳まで支給することを想定しており、実行したところでさっそく2年削られることになれば、いきなり50万円近い金額が削減されてしまう可能性さえあるのです。今はまだ計画段階なので、ざっくりとした話なのかもしれませんが、今さら「ざっくりとした話」を聞かされるのもどうかと思います。要するに、まったく話を詰めておらず、なんとなくで語っているということです。


■ 消費税10%の使い道を「コドモノミクス」に回すという愚策

驚くことに、玉木雄一郎さんは堂々と「消費税10%にする際に、コドモミクスの6000億円分を回せばいい」などと言っていますが、僕たち国民はこの「コドモノミクス」を切望しているわけではありません。確かに少子化は問題なのですが、3人目を作るまで恩恵を受けられない政策をするぐらいなら、他のものにお金を使ってほしいと思う人が大半ではないでしょうか。わざわざ消費税率を上げてそんなことをするぐらいなら、消費税率を大幅に下げてもらった方が、よほど国民の生活はラクになるはずですし、北朝鮮の方針転換もあって、今すぐに戦争になるリスクはなくなったのですから、青天井に上がるばっかりの防衛費の一部を子どもに回した方が、よっぽど将来の防衛が安定するという話です。しかも、消費税を10%にすることを当たり前のように語っていますが、子どもを増やしたいというのに、消費税率を下げることは考えず、上げることを前提にしているのも微妙な話です。玉木雄一郎さんは結婚した後に子どもを何人作るかの話をしていますが、そもそも日本が少子化になっている原因は、若者にお金がないので結婚ができず、結婚できたとしても晩婚になりがちであるところにあります。国民全体が貧困傾向にある今の日本で、消費税を上げ、国民の生活をさらに苦しめた上で「3人目を生んだら1000万円」と言っているのですから、これがどれだけ頭の悪い話かは一目瞭然でしょう。若者の生活を蔑ろにして、まるで賞金のように「3人目を生んだら1000万円」と言っているのです。


■ 最低賃金の規定を取っ払って高齢者を働かせる政策

民主党政権時代、長妻昭さんが「消えた年金がどこに行ったのかを明らかにする」と息巻いて、厚生労働省の官僚たちとバチボコ戦った末に干されてしまい、まったく力を持てなくなってしまった苦い経験がありますが、あれから10年ほど経って、国民民主党のオジサンたちは何を言い出したのかと言うと、渡せる年金はどんどん少なくなるのだから、高齢者が働ける環境を整えることが大切だということで、高齢者については最低賃金という概念を取っ払い、最低賃金の7割くらいのお金で雇ってもらえるようにするべきだと言い出しました。そもそも「最低賃金」の意味をわかっていないアホアホ政策です。どうして世の中に「最低賃金」なるものが存在するのかと言うと、いろんな会社が人件費削減を言い訳に賃金を安くしてしまうと、ワーキングプアすぎて生活が成り立たない人が出てしまうためです。高齢になって、多少食が細くなったり、どこかに出かけるのが面倒臭くなったりして、若者よりお金を使わないこともあるかもしれませんが、生活にかかるお金は若者とほとんど変わりません。それどころか医療費や薬代がかかるばかりで、これから自己負担額が大きくなっていくことを考慮すると、現在の最低賃金でも足らないくらいです。にもかかわらず、最低賃金を取っ払って雇ってもらおうと言い出すのですから、玉木雄一郎さんは低賃金で働く人たちの現実を何もわかっちゃいません。こんな人が国会議員をやっているから、僕たちの気持ちが国会に届かないのではないでしょうか。


■ 高齢者向けベーシックインカム(月7万円)の導入

近年、注目されている「ベーシックインカム」ですが、「ベーシックインカム」の概念は、生活に必要最低限必要な金額を配る代わりに、さまざまな社会保障を削減するというものです。ただ配られるもののように感じるかもしれませんが、「ベーシックインカム」が導入されれば、基本的に年金はもちろん、医療費控除や薬代の負担も削減・廃止するのが一般的です。これにより、たくさん税金を払っても健康な人にはお金が返ってくることがなく、あまり税金を払っていないのに病気がちな人には手厚くお金が支給されるという不平等をなくすことはできます。しかし、国家というのは本来、国民が助け合うためにあるので、健康な人に手厚いサービスがなくても、不健康な人が貧乏を理由に死なせないことが大切です。なのに、高齢者にベーシックインカムを導入するという発想は、弱者への福祉を手厚くするどころか、貧乏で病気がちな人たちをまともな医療にかからせずに死なせてしまうことにつながります。まるで「ベーシックインカム」で無条件にお金がもらえるかのように語り、デメリットを一切語らないというのは不適切もいいところで、これでは自民党も国民民主党も変わりません。


■ 津村啓介さんの爆弾は「女性トラブル」

政界きっての天然KY男の玉木雄一郎さんがトンデモツイートを繰り返して自爆しているので、津村啓介さんが良さそうな気がしてくるかもしれませんが、津村啓介さんには「女性問題」という大きな爆弾があります。これまではさほど目立つ存在ではなかったため、あまり報じられることはありませんでしたが、ももいろクローバーZの大ファンである「モノノフ」を自称する津村啓介さんは、とある議員のもとで働く女性職員に手を出そうとして怒られるなど、女性にまつわるトラブルが多く、党の代表に相応しいかどうかは極めて微妙なところがあります。

そんな津村啓介さんは今回、「尊厳死の合法化」を掲げています。これまでタブーとされていた部分に切り込み、日本でも尊厳死を合法化しようというのです。尊厳死については正解がなく、どれだけ議論をしても簡単に結論を出せる問題ではありません。議論によってさまざまな理解が深まることには期待ができますが、変えなければならない部分は他にもたくさんあるのに、よりによって尊厳死を最重要項目の一つに掲げるというのは、これまた政治家としてのセンスが問われる部分です。また、女性天皇を認めるべきだという発言もしており、こちらもまた簡単に結論の出せる問題ではありません。また、津村啓介さんは北朝鮮の脅威はなくなっていないと考えており、イージス・アショアの配備は進めるべきだとしているほか、さらなるミサイル防衛の強化を進めるべきだとしています。さらに、中国主導の「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」にも加盟するべきだとしていて、食料や日用品などの消費税をカットし、暮らしやすくする「消費税軽減税率」の導入にも反対であるとの立場を示しています。理由は「社会を混乱させるから」だそうです。ちなみに、ここまで言っていることは自民党内部で議論されていることとあまり変わらず、国民民主党としてのカラーを出しているとは言えません。津村啓介さんは西日本豪雨災害があった岡山県選出の国会議員なのですが、あの時、ろくすっぽ役に立っていなかったことを考えると、天然KY男の玉木雄一郎さんも微妙だけど、津村啓介さんも微妙なところで、どちらも代表にふさわしいとは言い難いです。国民からまったく支持されていない国民民主党は、このままだとますます支持されなくなってしまうかもしれません。


■ 「Wタマキ」で沖縄県知事選に悪影響の可能性

今回の代表選を機に、玉木雄一郎さんが使い物にならないレベルのポンコツであることがわかり、ますます国民から冷たい視線を集めることになりそうですが、9月5日の代表選次第では、沖縄県知事選に影響を及ぶ可能性も否定できません。先日、沖縄県知事選のオール沖縄側の候補が玉城デニーさんにまとまりましたが、国民民主党の代表が玉木雄一郎さんになれば「Wタマキ」ということで話題になりそうなのです。これだけ玉木雄一郎さんがポンコツなので、「Wタマキ」などと言って沖縄県知事選を応援されては、玉城デニーさんがポンコツに見えても不思議ではありません。よりによって「タマキ」なのでリンクされることが多そうで、「頼むから、これ以上余計なことを言わないでくれ!」と願わずにはいられませんが、そこは政界きっての天然KY男です。まったく空気を読まずに余計な発言をしてくれることでしょう。国民民主党には頑張ってもらいたいですが、あまりに使えなすぎて頭を抱える今日この頃です。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

反社会的組織の工藤会にお金を払い、選挙妨害をしてもらったものの、お金を#ケチって火炎瓶 を投げられたことが話題の安倍晋三総理率いる自民党。あまりに自民党が腐りまくっているので、自民党以外の政党に頑張ってもらいたいという気持ちになる人も多いと思うのですが、このたびの代表選を通じて、国民民主党が想像以上のポンコツであることが分かってしまいました。国民民主党が良い政策を出してくれないと、日に日にカルト性を高めている自民党を止めることができないと思うのですが、国民民主党がコレなので、まったく期待できる予感がしません。もう少しまともな政策を掲げてくれれば、政党支持率だって3倍くらいになったかもしれませんが、こんな政党を支持したい人がどれだけいるのでしょうか。大きな声で「もっと頑張ってくれよ!」と言いたいですが、見限られるのは時間の問題です。このままだと、まだまだ自民党の一強状態は続いていくことになるでしょう。[了]

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