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【選挙ウォッチャー】 東京五輪と新型コロナウイルス(#4)。

 先日、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が新型コロナウイルスのデルタ株について、水疱瘡(みずぼうそう)に匹敵するほどの強い感染力があると発表しました。これは、世の中にあるさまざまな感染症の中でも「最強レベル」の感染力であることを示しています。具体的にどれくらいの感染力があるかと言うと、1人の感染者から平均して8~9人ぐらいに感染させる力があるということです。武漢で発生した従来株の感染力が1人の感染者から2人ぐらいに感染させると言われていたので、変異したせいで、とんでもないウイルスに進化してしまったと言えます。
 これほど感染力が強くなってしまうと、今までのような「2mのソーシャルディスタンス」とか「会食は4人まで」みたいな対策では、とても対応できません。今日の『チダイズム』では、「デルタ株」について、わかりやすく解説したいと思います。


■ 「デルタ株」について情報をアップデートしよう

 まず、僕たちが最初にやらなければならないことは、「デルタ株」が昔のウイルスとどれくらい違うのかということを『知る』ことです。この『チダイズム』では、なるべく難しい言葉を使わず、どんな人にもわかりやすく解説することを目指しています。

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 まず、世の中の新型コロナウイルスのほとんどは「デルタ株」になっています。ちょっと前まで日本で流行っていたのは「アルファ株(英国株)」でしたが、日本のインド株のシェアはどんどん高まり、今ではざっくり4人に3人は「デルタ株」になっています。つまり、僕たちが最も注意しなければならないのは、従来株でもなければ、アルファ株でもありません。紛れもなく「デルタ株」です。
 ちなみに、ブラジルだけインド株の割合が低いのですが、これはブラジルで流行っていたのが「ガンマ株(ブラジル株)」だったからで、今、ちょっとずつ「デルタ株」がシェアを伸ばそうとしている段階です。
 実は、新型コロナウイルス同士でもシェア争いが繰り広げられ、どの変異株が世界を制するのかをやり合っているのですが、どうやら「デルタ株」が金メダルを獲得しそうで、世界最強の新型コロナウイルスは「デルタ株」だったということになりそうなのです。最初に世界を混乱に陥れた従来株はとっくの昔に駆逐され、今は「デルタ株王国」が築かれているのです。
 さて、どうして「第5波」の感染者が鬼のように増えているのかということですが、これは一言に「デルタ株の感染力が強いから」ということになろうかと思います。その昔、「新型コロナウイルスは熱に弱いから夏には流行らない」なんて言っている人もいましたが、みんなが熱中症で倒れるぐらいの気温でも感染が大爆発しているのですから、もはや気温が関係しないレベルで強い感染力を持っているということです。先程も書きましたが、従来株は1人が2人に、デルタ株は1人が8~9人に感染を広げると言っていますので、感染が10回繰り返された時のシミュレーションをご覧いただきましょう。

【従来株(1人が2人に感染)】
1人→2人→4人→8人→16人→32人→64人→128人→256人→512人→1024人。
【デルタ株(1人が8人に感染)】
1人→8人→64人→512人→4096人→3万2768人→26万2144人→209万7152人→1677万7216人→1億3421万7728人→10億7374万1824人。

 感染症の恐ろしさは、感染者が倍々ゲームで増えてしまうことにあるわけですが、デルタ株の場合は「8倍倍ゲーム」なので、8倍倍を繰り返していくと、9回目には日本の人口を超えてしまうという現象が起こります。
 これくらいに感染力が強いので、これまでは「緊急事態宣言」が発令されれば、みんなが外出を控えるようになって落ち着いたのですが、今回ばかりは「緊急事態宣言」では止められないという現象が起こっています。
 東京五輪が開催されていて、みんなに緊張感が伝わっていないことが主な原因となっていますが、こうやって数字で見ると、「デルタ株」をナメてはいけないということがよくわかると思います。


■ デルタ株は若者にも余裕で感染する

 かつての新型コロナウイルスは、高齢者や基礎疾患のある人は重症化しやすいけど、若くて健康な人は、ちょっとしんどい風邪ぐらいの症状で終わることが多いと言われていました。
 ところが、この「デルタ株」は、むしろ若い人の方がリスクが高く、未就学の子供たちにも容赦なく襲い掛かるウイルスだということがわかっています。
 インドネシアも、そのほとんどが「デルタ株」であることが知られていますが、ニューヨーク・タイムス先生が報じたところによると、インドネシアの感染者の12.5%が子供で、7月12日の週だけでも150人の子供が亡くなっていて、子どもの死者の半数が5歳未満だといいます。
 つまり、従来株の時に言われていたような「若い人は気にせずに経済を回した方がいいんだ」というのは大間違いで、「デルタ株」が蔓延している時代においては、「40代や50代のオッサンより若い人を優先してワクチンを接種するべきだ」と言えるぐらい、若い人ほど気を付けなければならないのです。
 そしてもう一つ、「デルタ株」は感染力が強いだけでなく、重症化リスクも高いことがわかっています。「デルタ株」「アルファ株」に比べて入院リスクが約2倍に高まるとされていて、若い人でも「ただの風邪」で終わる確率は格段に下がっているのです。


■ 最も気を付けるべきは「空気感染」である

 海外ではとっくに認められていたのですが、日本では「そんなことを言ったら国民がパニックになる!」という、国民を信用しないアホの専門家がたくさんいたせいで、なかなか話題になることが少なくなってしまっているのですが、新型コロナウイルスは「空気感染する」という事実が認められています。だから、満員電車は危険だし、飛行機では感染者と離れた所に座っていても感染してしまいます。
 つまり、マスクを外して会話をしながら食べる「会食」「飲み会」はもちろんのこと、デルタ株が蔓延している時には「電車に乗ること」さえも注意が必要だと呼びかけなければなりません。なるべく車や自転車で移動することをオススメします。


■ 「ブレイクスルー感染」について考える

 実は、「ワクチンを打てば新型コロナウイルスに感染しない」と考えている人は意外と多いのですが、最近になって、「ワクチンを打っても普通に感染する」ということが問題になっています。実験では、ワクチンを打てば重症化だけでなく、ある程度は感染も抑えられると見られていたのに、時間が経つにつれ、「全然普通に感染してるけど!」ということになってきたのです。
 これではそもそも「ワクチンを打つ意味があるのか?」という話になってしまうのですが、それでも「重症化を防ぐ」という効果はあって、感染して発熱などの症状は見られるものの、重症化する人は大きく減らし、死ぬ人はほとんどいないところまでは持って行けているようです。
 つまり、ワクチンに期待できることは「感染しない」ではなく「死ぬことは回避できる」というもので、ワクチンを打って感染した人にも後遺症などの症状が見られるようです。だから、ワクチンを打った後も感染しないように気を付ける生活を続けなければならないという、とても面倒臭い展開になっています。アメリカでは「ワクチンを打ったので、もうマスクをしなくていいぞ!」なんて言っていたのですが、「やっぱりマスクをしないとヤバかった!」ということになり、専門家たちに「どないなっとんねん!」とツッコむ現象が起こっています。


■ デルタ株が大流行したインドの今

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 今年の春ごろに、デルタ株による地獄を迎えていたインド。
 病床はもちろん、酸素も不足し、路上でたくさんの人が死んでいたと言われていますが、そのインドは今、日本より感染者が少ない状態に落ち着いています。つまり、どんなに地獄が広がろうとも、その地獄が永遠に続くわけではないということです。なので、もし日本がインドと同じような地獄が広がったとしても、2ヶ月ぐらい我慢ができれば、地獄をやり過ごすことができるようになるということは覚えておきましょう。
 さて、ものすごく高い山を作ってしまったインドですが、どうやって感染者を減らすことができたのでしょうか。「イベルメクチンが効いたんだ」と言う人もいますが、実は、ものすごく衝撃的な理由で感染者が減っているかもしれないのです。その衝撃的な理由とは、「みんなが感染したから」
 ロイター通信が報じたところでは、インドが7月28日に公表した調査によると、インドの人口13億人のうち、約70%が新型コロナウイルスに対する抗体を持っている。つまり、国民の70%ぐらいの人が一度は感染したことがあるということです。
 特に、インド中部にあるマディヤプラデシュ州では、推定人口7030万人のうち、約79%が抗体を持っていました。人口密度が高く、貧困地域である東部のビバール州では、少なくとも人口の約75%が抗体を保有。国内で最も人口の多いウッタルプラデシュ州では約2億2000万人の人口のうち、71%が抗体を持っていたというのです。
 そして、インドではこれまでに約40万人が亡くなったと公表しているのですが、これはあくまで「集計が追い付いていない」ことが原因で、各国の調査機関は、「どうやら400万人以上は死んでいる」と評価。インドは1947年にパキスタンと分離独立した際に100万人近くが殺されたのではないかと考えられていますが、死亡超過から割り出した各国の推計が正しかった場合、インドの歴史で最も人が死んだ出来事となります。


■ 東京五輪関連の感染者をチェックしよう

 もはや僕のライフワークになりつつありますが、東京五輪の選手や関係者の感染をチェックし、皆さんと共有してまいりたいと思います。日本ではなかなか報じられないため、海外のニュースを中心に調べ、一生懸命表にしています。

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 選手村では、連日、20人以上の感染者が見つかるようになっていて、着実に感染は広がっているように思います。それ以前に、東京では4000人以上の感染者が出ていて、陽性率は20%以上。これはつまり、検査を絞った状態で、これだけの数になっているわけですから、実際には1万人以上の感染者がいると考えていいと思います。
 東京では既に三次救急の受け入れが停止していて、新型コロナウイルスはもちろん、脳卒中や心筋梗塞といった緊急を要する患者の受け入れさえ危うくなっています。もし、このまま医療崩壊が続くと「出産」さえも怪しくなりかねないため、日本政府は今すぐにオリンピックを中止し、国民に自粛を呼びかけるメッセージを出さなければなりませんが、菅義偉総理大臣がそれをやることはないと思います。また、現場ではとにかくPCR検査を鬼のようにぶん回し、感染している人を見つけ、とにかく出歩かないようにしてもらうしかありませんが、こうした「検査」「隔離」がうまく行っていませんので、これから東京は「インドのようになる」という未来しか待っていません。すべてはバカを政治家にしてしまったツケが回っているわけなのですが、選挙権のない子どもたちまでもが犠牲になることを考えると、バカな大人たちには早く撤退してもらわなければなりません。これは東京都知事も同じです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 日本のアホ総理大臣とアホ東京都知事が、「コロナに打ち克った証としての東京五輪」と位置付けましたが、新型コロナウイルスによる世界の死者は1週間で21%増え、過去最悪の被害となっています。日本のみならず、世界中で新型コロナウイルスによる死者が出まくっているのです。
 PCR検査による「発見」「隔離」ができない以上、日本に残されている手は「ハードロックダウン」以外にありません。本来は感染者だけを隔離していけばよかったのですが、賢いテイの何も知らないバカが専門家ぶってPCR検査抑制論を繰り広げたあげく、謝ったら死ぬ病なので、今からPCR検査を増やすために全力を尽くすしかない。こうなると、日本に残されている手は2つです。インドのように全員がかかるか、ハードロックダウンをするかの2択です。僕はこの国の政治家たちの無能ぶりから推測するに「全員がかかる」ということになると思っています。

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