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【選挙ウォッチャー】 宜野湾市議選2022・分析レポート。

 9月4日告示、9月11日投票で、宜野湾市議選が行われました。
 宜野湾市は、言わずと知れた「普天間基地」がある自治体で、今年は定数26に対して31人が立候補しました。「普天間基地」という大きな問題を抱える所なので、毎度、選挙は激戦になります。
 そんな中、今年の目玉は「れいわ新選組」です。発足から3年、これまで東京都議選や日光市議選など、さまざまな自治体で議席を獲得するためにチャレンジしてきた「れいわ新選組」ですが、今日の今日まで一度も議席を獲得したことはありませんでした。しかし、今度という今度は議席を獲得するかもしれない。党を挙げて選挙に取り組んでいましたので、悲願の初議席なるかが注目されていました。

 この選挙ボードは、選挙も終盤に差し掛かろうかという金曜日に撮影したもので、しかも、期日前投票所が設置されている宜野湾市役所の中にあるボードでした。「貼ってある方が少ない」という状況に陥っているのは、台風11号に備え、一度は選挙ボードが撤去され、再設置に時間がかかったためで、金曜日になっても市内には市議選の選挙ボードが存在しない所がかなり多かったということは記しておこうと思います。


■ 大々的に活動していた反ワクチンの候補

 宜野湾市には、ゴリゴリにワクチンに反対している比嘉隆さんが立候補してきました。大々的に「子どもにワクチン反対」と訴えていて、「ワクチン副反応対策課」なるものを設置するという公約を掲げています。「お父さんお母さん死にたくない」と書かれたボードを持っている写真が特徴的で、これを市内の各所に貼っています。
 宜野湾市に「参政党」は立候補していませんが、その代わりに同様の主張をしている比嘉隆さんが立候補しています。
 確かに、副反応が非常に多い新型コロナウイルスのワクチンを子どもに打つことは問題で、科学的に議論される必要があります。しかし、比嘉隆さんも参政党も、ベースとなっているのは科学的なエビデンスではなく、「陰謀論」です。本当は、結論だけ見れば間違えていないかもしれないのに、よりによって根拠が「陰謀論」なので、議論のテーブルにつくことができないのです。これは忌々しき問題です。
 本当は、子どもへのワクチン接種には慎重にならなければならないし、保護者がよく考えるべき問題にもかかわらず、根拠が「陰謀論」なので相手にされず、結果として、ワクチン接種が推奨されてしまっています。よりによって陰謀論が混ざってしまうと、すべてが否定され、より混乱をもたらす結果になってしまいます。ですから、陰謀論に脳味噌をやられてる奴が立候補するというのは、ただの害悪でしかありません。

この手のタイプの人たちが落選した時にやることは「不正選挙を疑うこと」である

 こんなに一般人が受け入れ難い、イカれたビジュアルをしているにも関わらず、同じ周波数のアホが熱烈に応援してしまうもので、自分たちは手応えがあったようで、この選挙の後に「落選不服の異議申し立て」の申請を出したそうです。本人や後援会事務所のスタッフの手応えからして、430票しか取れなかったはずがないと言い出し、本当は2430票だったのではないかと言い出しています。
 陰謀論者というのは、物事を客観的に見る能力が欠如しているので、考えれば考えるほど不正選挙にしか思えなくなる地獄です。そんなことを心配するのであれば、自分たちで開票所を監視すればよかったのではないかと思いますが、今になって「不正選挙だ!」の大騒ぎ。自分たちがマイノリティーであることは微塵も考えちゃいないのです。

宜野湾市内の自動販売機に設置された比嘉隆さんのイカれた看板

 彼らが本当に言いたいことは、実は「ワクチン」だけではありません。本当に言いたいことは「脱マスク」ですが、まだマスクよりワクチンの方が話を聞いてもらえるために、「ワクチン」に話を絞っているだけで、基本的には「神真都Q」なのです。
 しかし、こういった人たちが選挙を利用し、一部のネットから飛び出してしまうのは、あまり良いことではありません。どんなに怪しい宗教にも信者がいて、その信者たちが脱会するのは難しいように、この「神真都Q」みたいな思想も、抜け出すのは非常に難しいと言えます。最近は、とうとう「脱マスク」の発言をする人が多くなっていますが、人間がどれだけ科学的な思考ができないのかを示しています。そして、この声が大きくなれば大きくなるほど、社会はどんどんそっちの方に流れていきます。


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