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【選挙ウォッチャー】 大阪府議選2023・大阪市港区レポート。

 3月31日告示、4月9日で大阪府議選が行われました。
 大阪市西区の定数は1で、6期目を目指す大阪維新の会の現職と、41歳で衆議院議員の秘書として働いてきた自民党の新人による一騎打ちとなりました。大阪府議会では議長経験もある重鎮との戦いなので、かなり厳しそうな戦いであることは間違いありませんが、落選したとしても、どれだけ健闘したのかが「次につながる」という話だと思います。どうせ倒れるにしても前に倒れなければ意味がありません。

三田 勝久 63 現 大阪維新の会
雫川 俊博 41 新 自民党

 実はこの選挙区、4年前も同じ顔触れでの戦いとなっています。
 つまり、4年前と比べて維新と自民の差がどうなっているのかが、とても分かりやすい選挙区になっているということです。4年の浪人生活の間で少しでも支持を拡大できているのであれば、まだ将来的にチャンスがあると言えるかもしれませんが、その差が拡大しているというのであれば、そこから逆転するのは容易なことではないので、ペンペン草も生えないぐらいに維新にやられていることになります。
 これまでお届けしてきた選挙区は、どこもかしこも例外なく差が広がっていますが、この大阪市港区はどうなっているのでしょうか。


■ 大阪市港区・選挙ボード紹介


■ 大阪万博の今を伝える(#6)

1970年の大阪万博の入場料は大人800円(2025年は8000円)

 どんなビジネスをするのにも「価格」は大切です。
 価格が高ければお客さんは来ないし、価格が安ければ儲かりません。だから、絶妙なところで「価格」を設定するわけですが、こうしたイベントというのは、もし8000円だと10人しか来ないけど、800円だったら100人来るのだとすれば、利益が同じなので、100人に楽しんでもらった方が良いということになります。なるべく多くの利益を確保するとしても、なるべく多くの人に楽しんでもらった方が良い。これは万博の中でテナントを出す飲食店やお土産屋さんのことを考えても、絶対に「たくさんのお客さんに来てもらった方が良い」ということになります。
 さて、2025年の大阪万博の入場料が大人8000円であることは知られていると思いますが、1970年の入場料は800円でした。こういうことを言うと、「そりゃ今と昔では物価が違うんだから、値段も変わってくるやろ!」という話になるのですが、1970年の平均月収は5万円と言われていたので、現在のサラリーマンの平均月収が36万円と言われていることからして「10倍」というのは、あまりに高すぎるということになります。

1970年の大阪万博の価格表

 しかも、当時の「大人」の定義は、満23歳以上の者となっています。つまり、大学に通っていようが通っていまいが、とにかく大学生ぐらいの人たちは「青年」ということで特別割引が適用され、600円で楽しむことができました。
 もっと言うと、義務教育である中学生までは「小人」という扱いになっており、働くことができない中学生までは「400円」で存分に楽しむことができました。あとで紹介しますが、この他に「回数券」があって、小学生が何度も足繁く万博に通える環境がありましたので、当時の大阪の小学生が夢中になれる価格設定になっていました。
 さて、2025年の「大阪万博」はどうなっているかと言うと、言うまでもなく「18歳以上から大人」という計算になります。中学生や高校生で未成年の場合には4400円になりますが、大学生からは「大人」という扱いになっています。
 オジサンたちはよくわかっていると思いますが、SNSで「大阪万博」の魅力をナチュラルに発信してくれるのは、10代や20代の若い世代になります。たいして影響力のないアホのインフルエンサーにお金を払って情報を拡散してもらうのではなく、ナチュラルに友達に広げてもらう方がよっぽどブームが起こりやすいわけですが、お金のない大学生の世代に8000円を課そうと言っているのですから、こういうところに「大阪維新の会」の本質が出てしまっています。1970年の「大阪万博」を見習って、「これからの若い世代に、未来や世界を知る機会を得てほしい」と言って、ここだけは値段にこだわって「満23歳以上を大人にする」みたいなことをしても良かったのではないかと思いますが、そういう粋な演出さえできないので、何も話題を生み出せない。それが「現状のニッポンの能力」です。マイナンバーカードと保険証をくっつけてデジタル化するという国家プロジェクトさえポンコツで失敗しているのですから、「大阪万博」などという超ビッグイベントを成功させられるほどの能力を持った人間が、イベントを仕切れるぐらいに偉くなっているはずがないのです。
 2025年の大阪万博のポンコツさ加減は、65歳以上のシニアの料金が6800円になっているところです。お金のない大学生に8000円を課す一方で、時間とお金がたっぷりあるシニア世代を6800円にするというのは、どう考えても頭が悪いです。僕はシニア世代に優しくあるべきだと思いますが、お金のあるシニア世代には「満額を払ってもらうべきだ」と思っています。お金のないシニア世代に楽しんでもらうための方法は、いくらでもアイディアは出せると思うので、お金のない人からお金を取り、お金のある人からお金を取らない料金設定は見直すべきでしょう。なにしろ、1970年の大阪万博の料金設定は、非常によく考えられています。障碍者やお金のない人たちには割引制度が用意されていました。


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