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【選挙ウォッチャー】 東京五輪と新型コロナウイルス(#6)。

 皆さんもご存知の通り、僕は「コロナ危険厨」です。「危険厨」というのは、「どうせ基礎疾患のない若者は感染しても大丈夫だ」と言ったりしないで、新型コロナウイルスの脅威をしっかり認識し、なるべく感染しないように最善を尽くす人のことを指します。先日は、超かわいい女性アーティストのイベントに「選挙ウォッチャー」としてゲスト出演のオファーがあり、もしかしたらこのイベントをキッカケに、僕にアーティストの彼女ができたかもしれないのに、「イベント当日の新規感染者数が東京だけで5000~6000人オーダーになっていると予測されるので、ごめんなさい」とお断りしてしまいました。
 世の中では「恐れ過ぎずに行動することが大切だ!」とドヤる奴が偉いかのように扱われていますが、命や健康を守るためには「きちんと恐れるべきだ!」という考え方をするのが「危険厨」です。つまり、「手洗いやマスクをしていれば、少しぐらい密になっているところに入っても大丈夫だ」とは考えず、「そもそもできるだけ密になっている場所には入らない」と考えるのが「危険厨」です。
 僕のように「危険厨」として生きようとすると、たくさんの楽しみを諦めなければなりません。気の合う仲間と飲みに行くこともできないし、気晴らしに旅行もできないし、夜のムフフなお店でキレイなお姉さんと濃厚接触することもできません。何も考えずに行動できていた2018年までが、どれだけ素晴らしいものだったのかと思わずにはいられませんが、それでも健康に生きられることがどれだけ素晴らしいのかを考えると、ワクチンや治療薬が普及して安心して暮らせるようになるまで、なるべくストレスを軽減しながら、どうにかやり過ごすべきだと考えています。
 毎日、こうして新型コロナウイルスに関する知識や情報をお届けしている僕なので、「ちだいさんは、どうやって暮らしているの?」というのが、皆さんの知りたいところではないかと思います。なので、僕は「危険厨」の中ではまだまだ甘い方なのですが、僕ぐらいの「危険厨」は、どうやって暮らしているのかを、今日は告白したいと思います。


■ 第5波は、もう現段階で引きこもっている

 幸いにも、僕の仕事は「選挙ウォッチャー」なので、サラリーマンではありません。だから、満員電車に乗る必要はありません。もし、僕がサラリーマンだったら、会社の近くに駐車場を借りて車で通勤するか、会社の近くに引っ越して徒歩か自転車で通勤すると思います。
 8月はそれほど選挙が多くないこともあって、今はひたすら原稿を書きまくっているのですが、選挙期間中は「外でウンコをしない」をルールになっていました。武漢でもマンションの下水管を伝って感染が広がったという話がありましたが、誰もきちんと調べる人がいないので、あまり有効なエビデンスはないものの、「ウンコは危険」というのが、僕の認識だからです。なので、先日の東京都議選は便意との戦いでもありました。
 東京ではとっくの昔に病床が埋まっていますが、僕が住んでいる千葉県柏市でも、ほぼ病床は埋まっていると認識しています。なので、ここで感染してしまうと入院したくても入院できなくなってしまうので、既にすべての選挙の取材を中止し、買い物を除き、なるべく外には出ていません。
 単純に「引きこもる」と言っても、僕は選挙の取材に行かなければ収益を得られませんので、永遠に引きこもるわけにはいきません。ある程度の計画性が必要です。

 これから日本がどうなっていくのかというシナリオは、#3のレポートで示した通りです。なので、もし「デルタ株」にも自粛が効果を発揮するのであれば、8月末ごろには入院はできなくても、新規感染者の波が落ち着いているのではないかという希望を持っています。ただし、この希望があっさりと打ち破られる可能性は十分にあります。
 なので、8月いっぱいは「引きこもり生活」を充実させ、なるべくストレスを溜めないように、家でできる楽しみを増やそうと思っています。今のところは原稿を書いてばっかりなのですが、機会があれば、今度はどんなふうに息抜きしているのかをご紹介したいと思います。


■ もうすぐワクチンに効果がなくなってしまう

 間違っていただきたくないのは、僕は「ワクチン打つな派」ではありません。アレルギーのある方や不安のある方は、よくお医者さんに相談されることをオススメしますが、今のところ、ワクチンは重症化したり、死亡するリスクを回避するという意味では、有効だと思っています。
 ただ、そんなワクチンも「もうすぐ効果がなくなるかもしれない」という危機的状況にあることは、皆さんにも知っておいていただきたいと思うのです。つまり、「ワクチンが新型コロナウイルスを克服するための切り札になることはない」という悲しいお知らせです。どうしてそうなのか。
 先日、WHO(世界保健機関)は、「あと数回の変異で、ワクチンを回避する可能性がある」と発表しました。どういうことかと言うと、新型コロナウイルスというのは、常に変異を続けています。武漢で始まり、通称「英国株」と言われたアルファ株や、「南アフリカ株」と言われたベータ株、「ブラジル株」と言われたガンマ株に、「インド株」と呼ばれたデルタ株。さまざまな変異を続け、もうギリシャ文字では表せないぐらい、たくさんの変異株が生まれています。ただし、変異株の世界も「弱肉強食」なので、強く変異したものが生き残り、弱く変異したものは淘汰されていきます。もうこの地球上に、武漢で始まった「従来株」はほとんど残っていないのではないでしょうか。今になって思えば、オリジナルが一番かわいかったです。

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 世界のシェアを見ると、地球上のほとんどは「デルタ株」で占められるようになりました。そうなる理屈はよくわかり、1人が8人~9人を感染させるほどの強い感染力を持ち、幼児からお年寄りまで全年齢の人がかかってしまう「かかりやすさ」を誇り、体力のある若い人さえ重症化させるほどの凶悪さを兼ね備えた、コロナ界最強の変異株が「デルタ株」だからです。
 しかし、デルタ株には唯一、ベータ株やガンマ株にはあって、デルタ株にはあんまりない能力がありました。それが「免疫系回避能力」です。
 実は、ベータ株やガンマ株には「ワクチンが効かない」という特別な能力があったのですが、デルタ株は今のところ「そこそこワクチンが効く」というウイルスになっていました。だから、ワクチンさえ打っていれば重症化のリスクは下げられるし、死亡するリスクも下げられたのです。ところが、デルタ株というのは、マジでストイックな奴で、ここで天狗になるようなことはなく、まだまだ上を目指していました。「もっと強くなりたい」とばかりに、さらに変異して「免疫系回避能力」を持つ可能性がある。WHOが警告しているのは、そういうことなのですが、7月30日、すっごく意外なところから、そのバッドニュースは飛び込んできました。

「鹿児島で免疫系回避能力を持つデルタ株、見つかる!」

 東京でもなく、大阪でもなく、まさかの「鹿児島」で、最も恐れていた変異を持つウイルスの存在が確認されたと、南日本新聞さんが、めちゃくちゃ普通のテンションで報じていたのです。
 とんでもない感染力の秘訣は「L452R」という変異によってもたらされるのですが、この新しい変異型デルタ株は、ベータ株やガンマ株が持つ免疫系回避の「E484K」という変異も同時に併せ持っている。とてつもなく感染力が強い上に、ワクチンも効かないような「世界最強のウイルス」が鹿児島で見つかったというのです。
 ただし、この「L452R」「E484K」という厄介な2つの変異が合体した最強変異ウイルスが見つかるのは、「日本初」ではあるけど「世界初」ではないというところが、鹿児島にとっては少しラッキーだった点かもしれません。将来、「鹿児島株」と言われる日が来たら、鹿児島にとっては風評被害です。実は、同様の変異はアメリカやメキシコを中心に100例程度確認されているそうで、世界的に見れば、そこまで珍しいわけではない。というか、そこまで珍しいわけではないっていうことは、これから「デルタプラス株」が世界のシェアを占める可能性があって、このタイプの変異株は中外製薬が開発したばかりの新薬「モノクローナル抗体カクテル」にも強い可能性がある。つまり、ワクチンも薬も効かない可能性があるのです。
 このことからも分かるように、これから「ワクチンが効かない変異株」が大流行する可能性が否定できないため、ワクチンをコロナ撲滅の切り札にすることはできず、やはり台湾やニュージーランドのように、鬼のようにPCR検査をぶん回すという方法以外に、日本経済を守り、コロナ感染者を抑制していく方法はなさそうだということは、皆さんに伝えておきたいと思います。


■ この地獄を止める方法は「ロックダウン」だけ

 もし「PCR検査の拡充」がうまくできていれば、感染が確認された地域を集中的に検査し、感染者を隔離するだけで感染の連鎖を止めることができましたが、ご存知の通り、日本では「PCR検査抑制論」により、ちっとも検査体制が整っていませんので、感染者の周辺をピンポイントで封鎖することができません。
 日本政府は、今日まで爆速でワクチン接種を進めてきたつもりですが、今日までに2回のワクチン接種が完了している人は、全体の約30%。そのうちのほとんどは65歳以上の高齢者で、社会に出て働いている人の多くが無防備な状態です。つまり、今回の第5波では「ワクチン接種が間に合っていないので、ワクチンによって感染を止めることはできない」という結論になります。
 菅義偉総理大臣は「新しい薬がある」と言い、確かに、中外製薬が世界初となる「モノクローナル抗体カクテル」の治療薬「カシリビマブ」「イムデビマブ」を開発して承認を受けたものの、この薬は「点滴薬」のため、基本的に病院でなければ処方してもらうことができません。もしかしたら、宿泊療養施設にいる患者に片っ端から点滴を打ちまくる「野戦病院作戦」を展開すれば、どうにかできるかもしれませんが、今のところ、この薬を宿泊療養施設の患者に投与しようという動きはありません。もっとも、今のペースで感染者が増えると、その宿泊療養施設に入ることさえできない人で溢れてしまうため、やはり治療薬をもって感染を止めることも難しい。
 そうすると、日本に残されている選択肢は「2つ」しかありません。インドのように全員がかかるまで無策を続け、最大の死者・最大の重症者・最大の後遺症患者を生み出し、一時的に10兆円以上のマイナスと将来にわたって考えると数百兆円規模のマイナスを生み出しながら、自然に収束するのを待つか。それとも、再び日本経済に10兆円以上の大きなマイナスを与えながら、死者・重症者・後遺症の患者を最小限にとどめるために「ハードロックダウン」を決断するか。
 重要なことは、政府がロックダウンをしても、ロックダウンをしなかったとしても、日本経済には10兆円以上のマイナスができるという点です。これは、ロックダウンをすると、みんなが飲みに行ったり、旅行に行ったりしなくなってしまうわけですから、また飲食店や旅行代理店が倒産します。ロックダウンのせいで「どこかの社長が首を吊ることになるんだぞ!」と言う人がいます。しかし、ロックダウンをしなかった場合はどうなるのか。それは、インドのように国民の75%ぐらいが感染するまで待つことになりますので、最大の死者数、最大の重症者数、最大の後遺症患者を生み出し、感染しても入院できないので、みんなが買い物を控え、飲食を控え、旅行を控えることになり、そのメンタルはアフターコロナの時代がやってきても引きずることになるでしょう。ロックダウン以上に大きな犠牲を払うのに、何も得るものがないどころか、デメリットばかりで溢れることになります。
 本当に悲しいことですが、もしこのまま東京五輪を続け、感染の拡大に歯止めがかからない場合には、この「究極の2択」しかなくなります。もっと早く手を打っていれば傷口が浅く済んだのに、時間が経てば経つほど引き返すことができなくなるという話です。
 今の日本は、壁に向かって猛スピードで突っ込もうとしている車と同じです。もっと早い段階でブレーキをかければ止まることはできたし、ハンドルを切れば回避することができました。ところが、もうブレーキをかけても壁にぶつかるのは避けられないところまで来ているのです。こうなってしまうと「究極の2択」となります。今からブレーキをかけて、壁にはぶつかるけれど、被害を最小限に抑えるために努力をするのか。それとも、ノーブレーキで華々しく突っ込むのか。ちなみに、ブレーキをかければ車のボンネットは大破しますが、修理をすれば再び乗ることもできるでしょう。しかし、もしブレーキをかけなければ、修理をしようにも、だいぶ時間がかかるかもしれません。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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 日本という国では「PCR検査を拡充するべきだ」という話をすると、この手のバカが次々に現れ、とっても面倒臭くなってしまうので、真っ当な人たちの言論が封じられています。どうして彼らは、バカなのに強気でコメントをできるのかと言うと、その背後に「手を洗うヤブ医者のBaka」みたいな人たちがいて、偉い先生が言っていることに乗っかっている分には間違いがないと思い、脳味噌をアハつかせているからです。
 ところが、PCR検査というのは感染者を発見し、隔離するためにも必要ですが、それより何より「感染者がどれくらいいるのか」を知るためにも必要です。要するに、PCR検査を拡充させたところで、メリットはあってもデメリットはほとんどありません。それなのに反対する理由は、「手を洗うヤブ医者のBaka」みたいな奴がいるせいで、「俺は科学的な発言をしているんだ」と思い込んでしまう人がたくさんいるからです。
 ちなみに、「やるなら毎日全国民にやらないと意味がない」とホザいていますが、「んなこたぁない!」の一言です。成功している国々を見ればわかりますが、全員を片っ端から検査するのではなく、「疑わしきは集中的に検査する」という方法で、感染の拡大を防ぎ、経済を守っています。日本もそういう国になれたらよかったのですが、政治家もバカだし、少しでも発言すればネットでバカにカラまれるしで、このままだと、みんなが苦しんで初めて気づかされるということになりそうです。そうならないように、僕は今日も無料で記事をお届けしております。お金は要りません。少しでも感染しないように、気を付けて行動していただければ幸いです。

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