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届けは出せないけれど、結婚届を書いた。

子どもの話で揉めに揉めた2021、秋の陣。

秋の陣は意外な形で沈静化した。本当に私にとっても意外な形で。

私たちがずっと平行線だったのは、子どもを作るに、「相手は?(ドナー)」「費用は?」「誰が育てる?」などの議題とともに、
「誰が産むと思っているのよ」「だからあなた、養育してね」の押し問答でした。

同性カップルは自然に暮らしていても、自然に子どもを授かることができません。
じゃあ、手段を選択せねば、と思っては見るものの、倫理観や金額やらでどうにも心と行動に折り合いがつかない数年を過ごしてきました。

…なんでわかってくれないの、私39歳だよ。今産まなきゃ、産めなくなるのに、の焦燥感の嵐。

常にまとい付くのは
焦燥感。
焦燥感。
焦燥感。
からの焦燥感でしたね。我ながら困ったことに。

「焦るのは良くない」のなら、焦らせないでほしい。が、産婦人科に行けば毎度「産むなら早くね」と言われる。
…わかっております。重々に。そう思っても、なかなかに、そう簡単にいかないんです。

こんなやりとりがお互いに臨戦状態だったので、一旦距離を置くことにしました。
熱し過ぎたら距離を置くことはいいです。
頭が冷える。

ようやく私の頭も冷えて、相手の言い分をちゃんと聞くことができました。
私もどこかで冷静さを失ってしまっていたのでしょう。

本当は「何に引っかかっているのか」。

改めて尋ねて驚きました

相方さん曰く「結婚してから子どもを考えたい」と言うではないか。

「?」 「結婚?」

2021年現在、同性婚ができないことは相方も私もわかっている。それにも関わらず、「結婚」の文字が出てきたことには本当に驚いた。

つまり相方さんの頭の中には、「愛→子ども」ではなくて、「付き合う→結婚→子ども」と、きちんと形式を経たいと。

これは盲点でした。
そんなことを望んでいたとは…。私は一度結婚をしたことがあるから、キラキラした妄想は結婚には抱いてはいないけれども、相方さんにとっては「永遠」一緒にいようという決意をお互いにする大切なことだと捉えていたんだと思います。

気持ちをわからないと憤っていたけれども、私もやはり同じように相方さんの気持ちを組めていなかったと気づきました。

しかし、結婚はできない。婚姻届は役場では受理してもらえない。
同性婚が認められていないので。

しかし、しかし、相方さんが望んだのはたとえ結婚できなくても、婚姻届にお互いに記入して氏神の神社に参拝することでした。

形だけ。
しかし、そこにはしっかりと筆跡と参拝したことが残る。

翌日ひとりでしどろもどろになりながら婚姻届を2通もらってきた相方さん。普段は行動に出ないのだが、人間ここぞと言うときは動くんだということを見せてもらいました。ありがとう。

というわけで、私たちはこっそり、ひっそり二人で結婚届を書きました。きちんと保証人2人にも記入してもらい。

正直言うと子どものことは、まだ完全に完結したわけではないのです。
しかし、まずは結婚を形だけでも踏めたことで、二人とも冷静にお互いを受け入れられるところへたどり着けたかなと思います。

私たち二人は壁があったら勢いよく体当たりしていくので、とにかく衝突が絶えません。
こんなに衝突するのだから、合わないんじゃないかと思うほどでした。
衝突するのが悪いのではなく、相手が何に怖がっていて、悲しがっていて、不安がっていて、そこに寄り添えるようになることが大切なのだと、気づいてのは、お付き合いして2年経ってからのことでした。

7年目に入る私たちですが、当初から抱えていた「子ども」のことはまだ答えが見いだせていませんが、本当にゆっくりゆっくり…ゆっくりすぎるかもしれませんが、互いに抱える価値観をすり合わせていく作業をこれからも続けていくんだと思いました。

まさか、結婚に一つの答えがあるとは…。



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