孤独との戦い方「キャスト・アウェイ」

キャスト・アウェイ : 作品情報 - 映画.com

映画『キャスト・アウェイ』は、トム・ハンクス演じる主人公チャックが、飛行機事故で流れ着いた無人島でのサバイバル生活と脱出を試みるお話。

この映画が僕は心の底から好きで、まだ観たことが無い方にはプッシュしたいのです！沢山魅力を語りたいけど、まとめる能力の下手くそなので、大きな一点についてだけ書いてみます。

無人島にたった一人きりというシチュエーションがゆえ、この映画はセリフがほとんど無いシーンがとても多いです。それに回想シーンとか、一方その頃...みたいな別視点のインサートも無く、カメラはただストイックに主人公チャックの様子を追います。
でも、セリフで語らない＝小難しい映画、もしくは静かで退屈な映画...にはちっともなっていません。演技と演出がとても雄弁で、物語がずっと動いてるのがわかります。主人公チャックが何を考え感じているか、困ったり、喜んだり、イライラしたりしている姿を見守ってさえいればちゃんと伝わってくるところがホントに面白い。

そして、この言葉少ない静かな映画だからこそ際立つのがバレーボールの「ウィルソン」です。比喩ではなく、あのスポーツ用品のバレーボール。ある出来事で、ウィルソンはチャックにとって非常に大事な存在になるのですが、どういった出会い方だったのかは、是非ともご覧になっていただきたいです。最高です。
ネタバレかもしれませんが、このウィルソンと出会っていなければ、チャックは生きられなかったかもしれない、そのくらいに大きな存在だったように僕は思います。

この映画は、島の自然や、過酷な運命との戦いではなく、人が「孤独」とどのように立ち向かい戦うか、ということについて物語った作品だったように僕は思っています。そこが好きです。
一人きりの孤独、生きているのかわからない恋人や家族を待つ孤独。スケールや状況は違えど、比べられるものでもなく、その人にしかわからない、それぞれ実感を持った寂しさ、不安、寄る辺なさ。小さくとも馬鹿にできない、普遍的なテーマだと思います。

久しぶりにこの映画のことを思い出しながら、人との関わりが容易くない今、どれだけの人が孤独との内なる戦いを繰り広げていることかと、想像しています。
素直に話せる相手がたった一人いるかどうか。ものすごく大事だ。ため息。

ポッドキャストではちょっと話題に出した程度ですけども、しっかりオススメしたくて書きました。
丁寧で、チャーミングで、見どころの多い映画だと思います。ぜひ。
ちなみに僕は、チャックが初めて自分で火を起こした夜のシーンが最高に好きで、こっそりモノマネの練習をしています。いつか、観た人同士で酔っ払ったら大会やりたい。