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「源泉掛け流し」を考える
塩素や循環が当たり前のスーパー銭湯で育った埼玉県民の私。社会人になり、仕事で温泉宿へ足を運ぶ機会が増えた23歳時、温泉を「そのまま」提供する背後にはお宿の大変な管理が必要なことにびっくり。泉質よりも先に、温泉の管理に価値・ありがたみを感じるようになりました。
今回は、加水・加温・塩素・循環なしで管理している雲見園のこだわりをいくつかご紹介したいと思います。
①鮮度にこだわる内湯「空気に触れない温泉湯口」
温泉といえば、湯口から注がれるあの「音」も風情がありいいですよね。しかし、雲見園の内湯からは「ちょぼちょぼちょぼ〜」という音は聞こえません。なぜなら足元から温泉を供給しているから。
温泉の鮮度を求める旅人にとって「いかに空気に触れず」湯舟までたどり着くか、大事なポイントでもあります。私も大好き足下自噴には及びませんが、なるべく鮮度の高い温泉を味わっていただけたらと思います。
露天では温泉らしい湯口の音はもちろん、波の音、木々や葉、鳥の声なども一緒に感じられますよ〜♪
※成分の強い温泉などは空気に触れさせた方がマイルドな肌触りになるらしいですね!勉強になります。(参照)
②湯量に合わせた湯船で叶う「掛け流し」
雲見園の湯船は一見小さく感じる方もいらっしゃるでしょう。こじんまりとしています。内湯は2人でゆったり、ちょうどくらいかな。限られた湯量のなかで、温泉の「掛け流し」を可能にするためです。源泉掛け流しの定義の一つとして、「一人当たり毎分1リットルの目安で給湯されること」とあり(源泉湯宿)、雲見園では毎分2l/人の計算で湯量を調整しています。
(源泉湯宿を守る会雲見園紹介ページ)
新鮮なお湯が常にある状態でないと、循環などを通じた衛生管理が必要になります。
5部屋という少ない客室数と、内湯、混浴露天、貸切露天、の計4つの湯船があるからこそ、一つ一つは小さくても、源泉をゆったり味わう、そんな温泉時間を楽しめるようになっているのだと思います。
③高温泉を加水せずに提供「社長の温度管理」
源泉が59.4度と大変熱い雲見温泉(三浦温泉)。夏はパイプを川に通すなどして温泉会社さんも工夫されてますが、それでもなかなかに熱い🥵。そこで社長手作りの熱交換器を使い、パイプを水道水で冷ましています。そうすることで加水することなく温度を下げ、さらには湯量を少なくためていくことで温度を調整していきます。冬は自然と冷めるため交換器は使わず、少し長湯ができる適温露天が楽しめることも♨️
④毎日の清掃と日帰り温泉不可の「衛生管理」
各温泉の湯量や泉質などにもよるかもですが、毎日のお湯の入れ替えと浴槽の衛生管理が「源泉掛け流し」には欠かせません。それができない場合塩素による管理が必要になります。
劇薬を使い4つの湯船を毎日洗うのは、ここでは男性陣の力仕事。包丁もにぎり温泉も管理し時に不具合を自分で直す社長には本当に尊敬の念でいっぱいです。
さらに、新鮮な温泉は宿泊のお客さんのみに。お客さんの収容人数が多くても10人前後の雲見園では1日に入る人数はとても限られます。10時のチェックアウトから14時のチェックインまでの時間に清掃・温泉をためていくため、日帰り受付できる時間帯に温泉がたまっていない・冷めないという理由でもあります。
秘湯ファンとしては日帰りで巡れる旅館さんに感謝したことも山ほどあるので、一概に日帰り受付の可否については語れませんが、自分が泊まるお宿の温泉が当日入れ替えたばかりで宿泊客限定の新しいお湯だと思うととても気持ちいいですね。
まとめ
温泉の泉質を存分に味ってもらうための温泉管理。温泉に手を加えないために、人間の知恵と手間で守られて来てるんですね。ここまでお湯にこだわり築いてきた女将さん社長さん先代さんがすごい。そしてそれを維持管理し続けていかねばと改めて思うと共に、温泉の価値だけでなくそれを味わうための宿の工夫もお客さんにもしっかり伝えていきたいと思いました。
おまけ 雲見温泉の源泉掛け流し施設
※現在ネットなどを通じて新規予約を受け付けている約30件のお宿のページを参照
※HPに温泉分析表が紹介されている施設のみ
※温泉分析表が古いものもあるため最新では管理方法が異なっている可能性もあり
クリックすると各温泉宿の温泉ページに飛びます♨️
旅館
雲見園 源泉湯宿を守る会/秘湯を守る会
いなばや
民宿
自湧泉
高見屋 源泉湯宿を守る会
とみや
はまゆ
雲見園の一人当たりの湯量(2l)はやはり多いみたいですね。様々なお宿の様々な特徴のお風呂、まずは私が入りに行きたいな〜と思いました♪
おまけ② こちらもよければどうぞ
https://note.com/chicamor/n/n6da2e009e838
※勉強中ノートのため、記事に修正が入ることあり。ご了承くださいませ🙏
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