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創作『ある母親とその息子』


あなたを産んで、26年間

独りで育てることになり
必死に生きてきた

保育園
小学生
中学生
高校生
大学生

看護師の試験に
合格した

おめでとう
よくがんばったね


それから あなたは
ずっと家にいる
就職しない




( 加齢か 更年期障害か )
わたしは体調をくずした

今まで出来ていた仕事が
急に出来なくなり
焦る日々

上司の叱責が辛くて
自分に自信が無くなって
喘息の発作が起きて
入院
仕事を辞めた

働き詰めの人生だったから
すこし休養かな


ある日、
同居の母と、近くに住む妹夫婦から、
あなたが働かないこと、
生活費を入れないとだめなこと、
わたしから厳しく言わないといけないこと

3人に囲まれて、責められて
「家を出たら?」
妹に言われて
怖くて 悔しくて 泣いた

見守るのではなく、責めることが信じられなかった
耳鳴りが、大きくなった

そんな人たちから離れたくて
「 二人で家を出よう 」
とあなたに言ったけど

「 お母さんと 暮らしたくない 」

予想外の 答えだった



仕事が忙しくて、小さい頃から寂しい思いをさせた


だけど・・・


わたしなりに
がんばったよ

どうしたらよかったの?
どうしたらよかったの?



母親の自信も、無くしたまま
わたしだけ、家を出た




今年も夏が来た

時々会うあなたは
あの頃より 笑顔が増えて

看護助手から 頑張っている


今日は
あなたが 産まれてきてくれた日

「 お誕生日 おめでとう 」

「 ありがとう 」


         おわり










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