![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146051918/rectangle_large_type_2_afa3254a0b654ce30560ff6814987be8.jpeg?width=800)
創作『ある母親とその息子』
あなたを産んで、26年間
独りで育てることになり
必死に生きてきた
保育園
小学生
中学生
高校生
大学生
看護師の試験に
合格した
おめでとう
よくがんばったね
それから あなたは
ずっと家にいる
就職しない
( 加齢か 更年期障害か )
わたしは体調をくずした
今まで出来ていた仕事が
急に出来なくなり
焦る日々
上司の叱責が辛くて
自分に自信が無くなって
喘息の発作が起きて
入院
仕事を辞めた
働き詰めの人生だったから
すこし休養かな
ある日、
同居の母と、近くに住む妹夫婦から、
あなたが働かないこと、
生活費を入れないとだめなこと、
わたしから厳しく言わないといけないこと
3人に囲まれて、責められて
「家を出たら?」
妹に言われて
怖くて 悔しくて 泣いた
見守るのではなく、責めることが信じられなかった
耳鳴りが、大きくなった
そんな人たちから離れたくて
「 二人で家を出よう 」
とあなたに言ったけど
「 お母さんと 暮らしたくない 」
予想外の 答えだった
仕事が忙しくて、小さい頃から寂しい思いをさせた
だけど・・・
わたしなりに
がんばったよ
どうしたらよかったの?
どうしたらよかったの?
母親の自信も、無くしたまま
わたしだけ、家を出た
今年も夏が来た
時々会うあなたは
あの頃より 笑顔が増えて
看護助手から 頑張っている
今日は
あなたが 産まれてきてくれた日
「 お誕生日 おめでとう 」
「 ありがとう 」
おわり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?