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いつだって傍には猫⑤

猫が人を選ぶ?

さて、、運命の子との対面を想像して
鼻息荒く、保護猫達の元へ来たものの
お目当てだった子が、微動だにせず怯えているのを目の当たりにして
「どうしよう。・・・想像とだいぶ違う。
ぶっちゃけ自信ない」

と、脳内は完全に弱気。
「そうそうマンガみたいに、運命の出会いなんて無いよね。
でも、この場に来ちゃったし、断っても大丈夫なのかな」
と、すっかり怖気づき、早くも言い訳じみた事を考え始める私。

「でも、ここに来たのも、きっと何かの縁。
他の子達もちゃんと見て、それでも
『何か違う』と思ったら、きちんとお断りしよう」
と、気を取り直して、部屋を見回す。

すると隣の部屋で、あぐらをかいて
ドッカリ座ったダンナの背中が目に入る。
チラ見えする猫じゃらし。
どうやら、じゃらしを手にケージの中の子を構っているように見えた。

・・・けど、違った。
よく見たら、ダンナはじゃらしを
持ってるだけ。
その座った膝に、ひたすら頭突きを繰り返す
一匹の猫が。

シャム系の子が多い中で、その後ろ姿は白黒の毛色。
体は真っ白で、シッポは黒。
後頭部に、おかず海苔を貼り付けてるみたいな柄。

後頭部に海苔ついてるよ?

おかず海苔の子は、ダンナから離れようとせず
すりすりと甘えているようなのだが
それが私には、不器用な頭突きに見えたのです。

ダンナの傍に行き、問うと
「この子、ずーっと離れないんだよね。
すごい甘えてくるし、人懐っこいね」
と、冷静に言うけど、内心はまんざらでもない(多分)

「そんなに甘えっ子なの?」と私も傍らで
撫でてみる。
うん、確かに。撫でると自分から頭を差し出して
「もっと撫でて~」と言いたげ。
けど、私にはそこまで。
軽めのサービスとでも言おうか
要するにお愛想程度で、すぐにダンナへ向かって
ごっんごっつん、頭突き再開。

この時私は
「うっ・・この子、人を選んでる」
と、感じたのです。
私は根っから動物好きで、
犬にも猫にも、ついつい
「いやーん可愛いぃぃ!!」
と、グイグイ行ってしまう。
要するに圧が強い。
その暑苦しい圧が、とりわけ猫には迷惑らしく
大抵のよその子は逃げる。
対してダンナ。
私と出会う以前、動物と暮らした事は皆無。
犬猫は好きだけど、メロメロになるタイプではないらしく
熱烈なオーラは決して出ない。
ところが、その自然な感じがいいのか、
よその犬やら猫やらに
警戒される事なく、やたらなつかれる。
ちょっとくやしい。

そうこうしていたら、保護主さんから
「お茶どうぞ~」と、休憩タイム。
ここで私達夫婦で作戦会議、
もとい話し合い。
ダンナが開口一番「あの子じゃない?」
私「あ、あの白黒の子?」
ダンナは続ける
「あの子がいいと思うよ。人馴れしてるし、体もしっかりしてるし」
「そっか。そっかぁ」と私。
私は内心びっくりしていた。
普段は簡単に決断しない
石橋を叩いて渡るタイプのダンナ。
今回だって、割と直感で動く私が
前のめりで決めた
シェルターでのお見合いだったし
正直な所、さほど乗り気じゃないと思ってた。
「どうしても3匹じゃなきゃダメなのか?」と言ってたくらいだし。

それが珍しく、即、自ら意見言ってくるなんて、そうそう無い。
「これもある意味『運命』ってやつなのかも」と思う私。
そりゃあ私は、さほど甘えて貰えなかったし
元々シャム系の子が目当てだったのに
THE 和柄って感じの子とは、色々と想定外ではあったけど。

保護主さんが傍に来て
「いかがですか? 気になった子はいますか?」と声を掛けてくれる。
私達2人揃って
「あの、白黒の子。あの子がいいんですけど・・・」
すると保護主さん
「あぁ~、コタ君ですね! あの子も人懐っこくて、いい子なんですよ。
だからケージから出てフリーになってるんです。
コタ君に決めて頂けるんですか?!」
と、嬉しそうにおっしゃる。
そんな保護主さんの様子を見て、
私も腹が座った。
「はい。コタ君でお願いします。」


保護されたばかりの頃のコタ

こうしてトントン拍子で話が進み、
我が家でお迎えする日時も決定。
先住猫がいる為、念のためトライアル期間も設けられると説明されたけど
ころころと環境が変わるのは、うちの子達にも良くないし
コタにとっても負担に違いない。
「中途半端に投げ出さず、うちの子になって貰おう。
先住猫達との関係は、それぞれ頑張って貰うしかない」

と、よほどの事がない限りお返しする事はしない。
と、肝を据えて
本譲渡して貰う事となったのです。















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