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いつだって傍には猫⑤
猫が人を選ぶ?
さて、、運命の子との対面を想像して
鼻息荒く、保護猫達の元へ来たものの
お目当てだった子が、微動だにせず怯えているのを目の当たりにして
「どうしよう。・・・想像とだいぶ違う。
ぶっちゃけ自信ない」
と、脳内は完全に弱気。
「そうそうマンガみたいに、運命の出会いなんて無いよね。
でも、この場に来ちゃったし、断っても大丈夫なのかな」
と、すっかり怖気づき、早くも言い訳じみた事を考え始める私。
「でも、ここに来たのも、きっと何かの縁。
他の子達もちゃんと見て、それでも
『何か違う』と思ったら、きちんとお断りしよう」
と、気を取り直して、部屋を見回す。
すると隣の部屋で、あぐらをかいて
ドッカリ座ったダンナの背中が目に入る。
チラ見えする猫じゃらし。
どうやら、じゃらしを手にケージの中の子を構っているように見えた。
・・・けど、違った。
よく見たら、ダンナはじゃらしを
持ってるだけ。
その座った膝に、ひたすら頭突きを繰り返す
一匹の猫が。
シャム系の子が多い中で、その後ろ姿は白黒の毛色。
体は真っ白で、シッポは黒。
後頭部に、おかず海苔を貼り付けてるみたいな柄。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88351514/picture_pc_e2c8cce3c72524407d2234bdc98350c9.gif?width=800)
おかず海苔の子は、ダンナから離れようとせず
すりすりと甘えているようなのだが
それが私には、不器用な頭突きに見えたのです。
ダンナの傍に行き、問うと
「この子、ずーっと離れないんだよね。
すごい甘えてくるし、人懐っこいね」
と、冷静に言うけど、内心はまんざらでもない(多分)
「そんなに甘えっ子なの?」と私も傍らで
撫でてみる。
うん、確かに。撫でると自分から頭を差し出して
「もっと撫でて~」と言いたげ。
けど、私にはそこまで。
軽めのサービスとでも言おうか
要するにお愛想程度で、すぐにダンナへ向かって
ごっんごっつん、頭突き再開。
この時私は
「うっ・・この子、人を選んでる」
と、感じたのです。
私は根っから動物好きで、
犬にも猫にも、ついつい
「いやーん可愛いぃぃ!!」
と、グイグイ行ってしまう。
要するに圧が強い。
その暑苦しい圧が、とりわけ猫には迷惑らしく
大抵のよその子は逃げる。
対してダンナ。
私と出会う以前、動物と暮らした事は皆無。
犬猫は好きだけど、メロメロになるタイプではないらしく
熱烈なオーラは決して出ない。
ところが、その自然な感じがいいのか、
よその犬やら猫やらに
警戒される事なく、やたらなつかれる。
ちょっとくやしい。
そうこうしていたら、保護主さんから
「お茶どうぞ~」と、休憩タイム。
ここで私達夫婦で作戦会議、
もとい話し合い。
ダンナが開口一番「あの子じゃない?」
私「あ、あの白黒の子?」
ダンナは続ける
「あの子がいいと思うよ。人馴れしてるし、体もしっかりしてるし」
「そっか。そっかぁ」と私。
私は内心びっくりしていた。
普段は簡単に決断しない
石橋を叩いて渡るタイプのダンナ。
今回だって、割と直感で動く私が
前のめりで決めた
シェルターでのお見合いだったし
正直な所、さほど乗り気じゃないと思ってた。
「どうしても3匹じゃなきゃダメなのか?」と言ってたくらいだし。
それが珍しく、即、自ら意見言ってくるなんて、そうそう無い。
「これもある意味『運命』ってやつなのかも」と思う私。
そりゃあ私は、さほど甘えて貰えなかったし
元々シャム系の子が目当てだったのに
THE 和柄って感じの子とは、色々と想定外ではあったけど。
保護主さんが傍に来て
「いかがですか? 気になった子はいますか?」と声を掛けてくれる。
私達2人揃って
「あの、白黒の子。あの子がいいんですけど・・・」
すると保護主さん
「あぁ~、コタ君ですね! あの子も人懐っこくて、いい子なんですよ。
だからケージから出てフリーになってるんです。
コタ君に決めて頂けるんですか?!」
と、嬉しそうにおっしゃる。
そんな保護主さんの様子を見て、
私も腹が座った。
「はい。コタ君でお願いします。」
![](https://assets.st-note.com/img/1664963105568-yMh4sdMnkh.png)
こうしてトントン拍子で話が進み、
我が家でお迎えする日時も決定。
先住猫がいる為、念のためトライアル期間も設けられると説明されたけど
ころころと環境が変わるのは、うちの子達にも良くないし
コタにとっても負担に違いない。
「中途半端に投げ出さず、うちの子になって貰おう。
先住猫達との関係は、それぞれ頑張って貰うしかない」
と、よほどの事がない限りお返しする事はしない。
と、肝を据えて
本譲渡して貰う事となったのです。
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