【漫画紹介】立川恵『夢幻伝説タカマガハラ』
ボンチノタミ、ジョーカーです。
今回紹介したいのはこちらの漫画。
立川恵さんの『夢幻伝説タカマガハラ DREAM SAGA』(全5巻)です。
『なかよし』育ちのわたしの大好きな作品のひとつです。
立川恵さんといえば『電脳少女☆Mink』や、アニメ化もされた『怪盗セイントテール』などが代表作ですね。
『熱烈台風娘』や『夢食案内人』なども、夢中になって読みました。今でも大好きです。読んでは浸っています。
いやもう本当に好き。当時、自分で勾玉買って握りしめながら布団に入っていたくらい好き。とにかく好き。
すべての感情を動かされる思い出の作品です。好き。
あらすじ
日本神話がベースとなったファンタジー作品ですが、夢の世界で高天原と繋がるという世界観のため、結姫は夢の世界と現実世界を行き来しながら物語が進んでいきます。
異世界に行って、戻ってきて、また行って……という繰り返し。
高天原は現実世界の日本神話(天照大御神の『天岩戸』や須佐之男命の『八岐大蛇退治』など)とリンクしている部分が多く、現実世界でヒントを得ながら高天原を、そして中ツ国を救う旅を続けていきます。
道中で出会う仲間や、徐々に明らかになる世界の真実など、ファンタジー要素が色濃くありながらも、同時に少女漫画らしい恋愛も描かれていく、ワクワクしながら胸がキュンとなる、素敵な作品です。
今読んでも泣く。というか、読み返すたびに泣いてる。
結姫と仲間たち
結姫の現実世界でのクラスメイトや、高天原での旅の仲間の紹介をしたいのですが、序盤のキャラクターに関する若干のネタバレを含む紹介となりますので、ご注意ください。
まったくネタバレなしで楽しみたい方はもう今の時点で記事を閉じて単行本を買って読んでください。そうしてください。
どこまでがネタバレでどこからがネタバレじゃないのか、キャラクター紹介だけでもちょっとドキドキしますが、物語の核心には触れないように紹介していきたいと思います。
若狭 結姫(わかさ・ゆうき)/結姫(ユウキ)
本作の主人公。小学5年生の女の子。
やんちゃな弟たちの面倒をよく見ており、クラスでも騒いでいる男子を一括するなど『母さんパワー』が強いが、根は優しく穏やかな女の子。
クラスメイトの隆臣くんのことが好きで、恋にはちょっと奥手。
空から降ってきた勾玉を手にしたことで伝説の救世主『地平線の少女』(ホル・アクティ)として高天原と中ツ国を救う運命を背負う。
甲斐 隆臣(かい・たかおみ)
結姫のクラスメイトで、憧れの人。
穏やかで優しく、笑顔の似合うおっとりとした男の子。
隆臣(タカオミ)
高天原で結姫が初めて出会った青年。盗賊団の頭領。
名前は中ツ国の隆臣と同じだが、性格は粗暴で口が悪く、結姫の憧れの隆臣くんとは似ても似つかない。
結姫と共に旅をすることになる。
※彼は物語後半になるに従って大変重要なキャラクターとなっていきますが、完全なネタバレになるので紹介はこの辺にしておきます。
因幡 颯太(いなば・そうた)/颯太(ソウタ)
結姫のクラスメイト。眼鏡キャラ。
成績優秀だが、神経質で協調性がない。また、頭の良さを鼻にかけ、人を見下す態度を取ることも多い。那智とは犬猿の仲。
勾玉を持つ仲間のひとり。
高天原では神官であり、透視人(占い師)をしていた。結姫と出会って中ツ国の記憶を思い出す。
見た目は青年。こちらでは眼鏡はしていない。
和泉 那智(いずみ・なち)/那智(ナチ)
結姫のクラスメイト。結姫の恋のライバル。
巨大企業の社長令息で、金髪美少年だが口が悪くわがまま。女嫌いで、隆臣のことを恋愛対象として好きであり、日々、猛烈にアピールしている。
勾玉を持つ仲間のひとり。
高天原では美しい女性の姿をしており、都でいちばんの踊り子になるのが夢。結姫と出会って中ツ国の記憶を思い出す。
こちらの隆臣にも、初対面から猛アタックしていた。
日向 泰造(ひゅうが・たいぞう)/泰造(タイゾー)
結姫たちと同じ学校の5年5組所属。ガキ大将。
力押しが得意で喧嘩も強いが、性格は純粋で一途。結姫たちとは高天原での出逢いを通じて初めて知り合う。性根は優しい男の子。
勾玉を持つ仲間のひとり。
高天原では賞金稼ぎとして隆臣の首を狙っていた。結姫と出会って中ツ国の記憶を思い出す。
見た目は青年。乱暴者だが、鳴女に一目惚れするという純真な一面もある。
相模 圭麻(さがみ・けいま)/圭馬(ケイマ)
結姫たちと同じ学校の5年5組所属。マイペースな不思議キャラ。
泰造の紹介で結姫たちと知り合う。「もったいない」が口癖で、工作が得意。彼にかかればゴミの山も宝の山に変わる。独特な世界観を持ち、掴みどころのない性格をしている。
勾玉を持つ仲間のひとり。
高天原では発明家として生活しており、やはりゴミからものを作り出す能力に長けている。仲間うちでもっともはやく勾玉の持つ力を使いこなしていた。
見た目は青年。便利道具を使って旅を助ける。
鳴女(ナキメ)
高天原で思兼神(オモヒカネノカミ)という、天照を補佐する役職にある女性。
結姫たちと行動を共にすることはできないが、神獣鏡と呼ばれる鏡や水面などを通して繋がることができる。ただし、物語序盤では結姫が神獣鏡を失くしてしまっていたため、意思疎通を図ることができなかった。
知的な女性で結姫たちを導く存在だが、ときどきどこか抜けている天然な面も見せる。
長門先生(ながとせんせい)
結姫のクラスの担任の先生。
おっとりとした女性で、口調ものんびりしているが、怒ると静かに怖い。
高天原で出会う、隆臣に関係するある女性とよく似ている。
ここがおすすめ
日本神話をベースにしたファンタジー
前述したように、この作品は日本神話をベースにとしています。
その中でも核となるのが、天照大御神(アマテラスオオミカミ=太陽の神様)が岩戸に隠れてしまうという『天岩戸』の物語です。
神話では、岩戸の外で宴会を開いて天照を誘い出すことに成功し、世界に太陽が戻ってくる、という内容でした。
その物語をベースに、曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』の珠を持った仲間が集まる、という要素が練りこまれ、結姫たちが高天原と中ツ国、ふたつの世界を救うために仲間と共に旅を続けていく、というのがこの物語です。
また、現実世界で結姫たちが日本神話の勉強をするシーンも出てきます。
子どもたちが自分で手がかりを見つけ、世界の真実に近づいていく。こちらもワクワクするストーリー展開です。
そのおかげで日本神話に詳しくなくても一緒に学ぶことができるので、読んでいて置いてけぼりになることもありません。
ちなみに、気付いた方も多いと思いますが、主要人キャラクターの苗字は全て日本の旧国名(昔の都道府県の呼称)となっています。好き。
王道恋愛少女漫画
ファンタジー要素はもちろんなのですが、王道少女漫画の胸キュン&切ない恋も最高です。
主人公である結姫と隆臣の関係はもちろん、わたしが大好きなのは、鳴女さんと泰造の恋の物語!
さらに、意外なところで近付くふたりの関係や、相手を想って身を引く姿、すれ違いなどなど、なんともいえない少女漫画の良さが詰まっています。
恋の結末については完全にネタバレになってしまうので言えないのですが、読みながら、そして読み終わったときに、あったかくて、甘酸っぱいような切ないような気持ちになれる作品です。
本当に、彼女ら彼らの恋を最後まで見守ってほしい。ぜひ。頼む。
タカマガハラを読もう
異世界ファンタジー作品としてワクワクしながら読むもよし、
小学生たちの心躍る冒険や成長を描いたジュブナイル的な楽しみ方をするもよし、
キュンとして切ない恋の物語に浸るもよし。
いろいろな感情が揺さぶられる、素敵な少女漫画です。
最近ちょっとワクワクやドキドキやトキメキが足りないわ、という方、読んでみてはいかがでしょうか。
単行本・電子書籍
紙媒体の単行本はもちろん、各配信サービスなどで電子書籍で読むこともできます。
番外編(note販売)
現在、立川恵さんはnoteで過去のイラストや漫画を掲載・公開してくださっています。
そしてなんと、タカマガハラの番外編を描いた同人誌もこちらで公開(販売)してくださっているのです。
伝説の同人誌です。タカマガハラのその後を描いた同人誌の存在は知っていましたが、もう買えない、もう読めないと思っていたから、本当に本当に嬉しいです。
ああーっどうしよう、鳴女さんと泰造のその後ーッ! ずっと欲しかった御本が買えるーッ! ぬああ、読む覚悟ができぬ! こわい! 読みたい! 好き! 読めない! という葛藤がずっと続いていて長い間購入に踏み切れずにいましたが、今回、この記事を書くにあたり、意を決して『Girls Ceremony』と『コイウタ。』1~3を、ようやく購入させていただきました。
ありがとうございます。もうそれに尽きる。
大好きなふたりのその後を作者ご本人にあんなふうに描いていただけるなんて、ファンとしては本当に最高です。ありがとうございます。
泰造と鳴女さん以外にも、結姫と隆臣、颯太と那智の後日談もあります。
本当にありがとうございます。
もう今は『コイウタ。』が最高すぎて何も言えぬ。何も考えられぬ。
本編を読んでその後が気になった方は、こちらもチェックしてみてください。
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