家族のすごいところ
(約900字)
昨日は泣いてばかりいました。
さすがに公の場では泣きませんが、仕事の電話で苗字を名乗ったときに、
「失礼ですが、◯◯◯◯さんですか」
と私はフルネームを言われました。
私は頭が一瞬、真っ白になりました。
「すみません、どちら様でいらっしゃいますか」
心拍が上がっていました。
私は職場を知り合いに明かしていなかったからです。
「◯◇⬜︎だよん」
弟でした。
わざと声色を変えて、電話してきたのです。
驚いて、安堵して、
思わず笑ってしまいました。
電話の窓口には6人、待機しています。
仕事ですから、他の同僚から聞かれているのも分かっていて、急にタメ口になることもできません。
「よく存じ上げておりますが」
と前置きをして、個人情報の質問をしました。
質問の答えを聞く前から、電話メモに個人情報を書いていました。
一番、楽な仕事でした。
弟もそれは理解していて、終始、笑いを堪えながら応答しました。
「あんがとねっ。がんばってね」
最後に言ってくれました。
直前に面倒な案件を抱えて、それがやっと解決したところでした。泣くところでした。
「うん、そっちも頑張ってね」
と言って、受話器を置きました。
仕事から帰ると、妹から電話がありました。
妹からは実家の近況と、
一人暮らしの家に戻っていて2日後には実家へ戻ること、母の目の病状が安定している報告を受けました。
夕ご飯が終わった頃、父から電話がありました。
「おーい、声を聞きたくて電話してあげたよ」
と、いつものやり取りをしながら、父と母が電話をかけてきました。
私はそのときも泣いていて、完全に鼻声で父と話しました。
短い時間で電話を切りました。
そして、涙が止まってしばらくしてから、
もう一度、父が電話をくれました。
「お父さんな、明日、お母さんと一緒に皮膚科に行くんだよ。背中が痒くてしょうがないから。明日は、仕事か」
父はおどけて聞きました。
家族は私がストレスを抱えると、肌が荒れるのを知っています。
「あ、それなら私も、一緒に乗って行っていい?」
私は彼らの予定を聞いて、家族のテレパシー的な勘の良さに感謝しました。
私が泣くタイミングをよく知っていて、
本当に嬉しい気持ちの贈り物をしてくる。
友達も、家族も、かけがえのない存在です。
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