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牧場だけど、アートの香りを感じられる場所にしていきたい。|千葉ウシノヒロバメンバーインタビュー⑤加藤崇亮さん

入り口を入ってすぐ、大屋根ガーデンYAHHOには一台のキッチンカーが止まっています。この「ミルクバースタンド 26時の抱擁」では、千葉ウシノヒロバ内でカルーアミルクやコーヒー等を販売しています。

このミルクバースタンドを1からデザインしたのが加藤さんです。

千葉ウシノヒロバは、「チャレンジで社会の価値を更新する」ことをミッションに掲げる株式会社チカビが、自らチャレンジするプロジェクトとして立ち上げた施設。チカビは牧場やキャンプ場に関連した企業ではなく、クリエイティブ制作がもともとのメイン事業。そのためチカビからクリエイティブなスキルを兼ね備えたメンバーが千葉ウシノヒロバで牧場やキャンプ場の立ち上げ・運営へ関わっています。加藤さんもチカビのアートディレクターとして、千葉ウシノヒロバに関わられています。

千葉ウシノヒロバという優しさがつまった場所で、
ささいなことに癒やされていました

「実は千葉ウシノヒロバの代表である川上鉄太郎は、僕の中高の同級生なんです。デザイン事務所で広告やアートに関わる仕事を8年ほど経験し、そこを退職したタイミングで千葉ウシノヒロバに関わらないかと声をかけてもらいました。

僕も川上もキッチンカーをつくったことはなかったので、本当にゼロベースで考えていきました。ラフ案では突飛なアイデアもたくさん出していて。例えば、ホタルみたいにぼうっと光るようにしたらどうだろうとかスナックみたいな雰囲気にしたらどうだろうとか(笑)。実現性を無視した案も含めてたくさん発想していきました。

そこから千葉ウシノヒロバのコンセプトやめざしたい体験、実現性などをふまえて設計を行う際には、千葉県でオーダーメイドのトレーラーハウス制作を請け負っているイーグルバレーさんに協力をお願いして進めていきました。完成したミルクバースタンドのキッチンカーは、開放感と目線の高さにこだわったものになりました。」

一般的なキッチンカーでは、床の高さによりお客さまよりも高い位置から商品の受け渡しや会話を行うことになります。ミルクバースタンドでは、キッチン部分の床をがくんと下げており、お客さまと近い目線で会話することが可能です。また、全面が窓になっており、スタッフからはお客さまの表情が見えやすく、お客さまからはスタッフの顔や手元が見えるような仕様になっています。

一方で、キャンプ場の方から入り口に向かって歩いてくると、ミルクバースタンドの背面に大きくあしらわれたイラストに目がとまります。

このイラストも、加藤さんが描かれたものです。

「イラストを描くときもデザインをするときも、千葉ウシノヒロバのコンセプトとじっくり向き合います。ミルクバースタンドの背面に描いたイラストでは、『牛と人が穏やかに交差する場所』という言葉をイラストにできないかな、と考えました。単純に牛をキャラクター的に扱うというのではなく、牛と人が共存しているような風景を描きたかったんです。」

千葉ウシノヒロバでは「自律性」「優しさ」「現実的」という3つのキーワードをコンセプトとして大切に考えています。誰もが、自分で考え、自分の意思で動くことができる、自由と尊厳をもてる「自律性」。人間に対してだけでなく、自然や動物に対しても優しい気持ちを持てるような「優しさ」。現実から逃れるための場所ではなく、一人ひとりの生活が少しでも前に進むような「現実性」。

これらを絵に表す過程で加藤さんはどのようにコンセプトと向き合っていたのでしょうか。

「千葉ウシノヒロバに足を運ぶ中で、実感として身にしみていったという感じが近いかもしれません。川上に声をかけてもらったタイミングは、これまでゴリゴリ働き続けていた自分に少し疲れていました。そんな中、ミルクバースタンドの立ち上げのために、千葉ウシノヒロバへ足を運んでいて。1時間半くらいかけて行くんですけど、実際に千葉ウシノヒロバで過ごすと、夕日がきれいだなとか木の陰が美しいなとか、そういうささいなことに癒やされていきました。そうした体験の中で、自分の中にコンセプトの実感が作られていったように思います。」

アートの香りがする牧場にしていきたい

加藤さんは自身が感じた千葉ウシノヒロバのコンセプトをアートで伝えていきたいといいます。

「編集部のメンバーは記事の内容や文章で、現場のメンバーは接客やコミュニケーションを通じて、千葉ウシノヒロバのコンセプトを体現しています。僕は、アートでその役割を担えたら、と思っていて。言葉だと難しく、あるいは説教臭く感じてしまう方に向けて、何かを感じてもらうきっかけをつくれるんじゃないかと考えています。思想を伝えることもアートの大きな役割だと思うので、文章ほど誤解なく直接的に理解されるものではないとしても、なんとなく感じたことをお客さまが持ち帰ってくれるとうな体験の一部を担えたらと思っています。」

そうした加藤さんの思いのもと、4つあるロッジには加藤さんが描かれた絵と、別の作家の方に描いていただいた絵がそれぞれ飾られており、キャンプという体験の中でもアートを目にすることができます。

「僕のこれまでの経験を生かしながら、何か少しずつ千葉ウシノヒロバの中にアートの香りを広げていけないだろうかと考えています。そうしてロッジに絵を飾ったり、グッズの中にもイラストやアートを入れてみたり。」

加藤さんのイラストを使ったポストカード

「最近は、ヒロバビラキで小さなマッチ箱の中に僕が書いた絵の原画が入っているグッズを販売しました。500円でアートを買う体験をしてもらえたら良いなと思って出したらスタッフのみんなが買ってくれて嬉しかったですね。」

加藤さんが描かれた絵はステッカーとしてもグッズ展開されています。絵に描かれているのはすべて千葉ウシノヒロバの風景です。しかし、その絵に描かれているのは「今」の千葉ウシノヒロバだけではありません。

「千葉ウシノヒロバへと改修される以前『千葉市乳牛育成牧場』だったときの風景を描いた絵もあります。そのときにしかなかったものを絵として残していくことで千葉ウシノヒロバの記録になればいいな、と。そういったことを思いながら、ところどころで絵を描いています。」

加藤さんのイラストを使ったステッカー。中には『千葉市乳牛育成牧場』の風景も。

加藤さんは自分と同じようになにかに疲れてしまった人たちに向けて、千葉ウシノヒロバの「優しさ」を伝えていきたいと語ります。

「僕が千葉ウシノヒロバから癒やしてもらったように、僕も誰かが心を癒やせるような何かを手渡せたらと思っています。そのために僕自身ができることとしてアートの香りを千葉ウシノヒロバ内に広げていきたいですね。」

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