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乗り越えるべき【起業の壁】Chapter5 ファイナンスの壁(前編)

こんにちは、千葉道場メディアチームです。

千葉道場noteは、起業家コミュニティである千葉道場内の起業家が持つ経営ノウハウをもとに、日本のスタートアップエコシステムをよりよくする情報を発信しています。

スタートアップの経営では、起業後に必ず遭遇する悩みや困難、すなわち「壁」があり、それを乗り越えなくては成長が停滞してしまいます。

本連載『乗り越えるべき【起業の壁】』は、千葉道場コミュニティのメンバーでもある令和トラベルCEO・篠塚 孝哉さんのnote記事「スタートアップ経営で現れる壁と事例とその対策について」を参考に、スタートアップ経営において乗り越えるべき「壁」に注目。千葉道場コミュニティ内の起業家にインタビューを実施し、壁の乗り越え方を探ります。

本連載では起業家が直面する壁を8つに分類。壁ごとに前編・後編に分けて起業家の考え方をご紹介します。

第5回は、事業の成長には必要不可欠な「ファイナンスの壁」について、その乗り越え方を探ります。

【今回の壁】

第5回:ファイナンスの壁

【次回以降の壁】

第6回:PMFの壁
第7回:組織の壁
第8回:倫理・ガバナンスの壁

ご協力いただいた起業家の皆さん

「サービスローンチの壁」前編となる今回は、千葉道場コミュニティから3人の起業家のインタビューをご紹介します。

松村 映子 さん
千葉道場ファンドフェロー。2011年、株式会社heydayを創業するも、事業がうまくいかず2014年に会社清算。清算と同時に宅配クリーニング「バスケット」を運営するバスケット株式会社を創業。2015年に株式会社ストライプインターナショナルの完全子会社となり、同社の取締役Chief Digital Officerに就任。ファッションレンタルアプリ「メチャカリ」などを手掛ける。2018年に退任し再び起業。

原田 大作 さん
2011年にザワット株式会社を創業、代表取締役に就任。WishScope、スマオク等のC2Cフリマアプリをグローバル市場で展開。2017年2月、株式会社メルカリにM&AでExitし参画。2022年にVELVETT社を創業し2回めの起業に挑戦中。

山内 奏人 さん
2016年5月、15歳でウォルト株式会社(現・WED株式会社)を創業、現・同社CEO。レシート買取アプリ「ONE」の開発・運営を軸として人々の購買行動に基づくビジネスを展開。

「ファイナンスの壁」とは

資本金はいくらが適切なのか。まだ実績もない中でどうやってお金を集めればよいのか。エクイティーでの調達なら、信頼でき相性の良い投資家と、どのようにつながるか。資本金の準備や資金調達時に立ちはだかる「ファイナンスの壁」は、起業家を悩ます難問です。

今回は、創業期のファイナンスの経験談を語っていただくとともに、ファイナンスを成功させるための勘どころを教えていただきました。

創業期のファイナンス

松村 映子さん(以下、松村)
創業時の資本金は、いつも自己資金から捻出しています。「資本金は1円でも創業できます!」とはよく言われますけど、資本金1円だといろいろとデメリットも多いので、とりあえず100万円は出せるように準備して臨んでいます。

資金調達の方法に関しては、私は初めて創業をした時にとあるアクセラレーターに採択されていたので、そこで先輩起業家に話を聞いたりなどして、いろいろと教えてもらいました。

原田 大作さん(以下、原田)
最初の起業では、資本金は500万円です。私と当時のCTO、エンジニアの3人でお金を出しました。

まだデットを使った調達に、たとえ少額であっても代表取締役の個人連帯保証リスクが大きくあった時代だったので、初期は借りる発想はありませんでした。それに、当時は「先にお金を出すからプロダクトを作って」というようなファンドもなかった。

だから自分たちでお金を用意して、デモができたら資金調達にトライして、もしダメだったら解散すればいい、というシリコンバレー式の考え方で運営することにしたんです。それが結果的にうまくいって、500万円が尽きるまでの約5ヶ月でどうにか動くプロダクトを仕上げることができ、エクイティでの調達に成功しました。

山内 奏人さん(以下、山内)
資本金は30万円とか50万円という感じだったと思います。ただ、会社を設立した直後に700万円の資金調達をしました。

私の場合は創業当時まだ10代で若かったので、資金調達については「教えたがる人」が多かったことを覚えています。投資家の目的別に純投資のケース、戦略投資のケース、それぞれのポイントだとか。ただ、そういった人たちの話は実際の調達であまり役立てられなかった記憶があります。

ファイナンスを成功に導く勘どころ

松村
最近はあまり見なくなりましたが、資金調達や資本政策にくわしくない起業家を騙すような方もたまにいます。そのような方々の提案を安易に受け入れてしまうと、後でとても面倒なことになってしまいます。騙されないように起業家側もきちんと勉強しておくことが大事ですね。

原田
資金調達関連の知識があまりない場合は、やはり先輩起業家に話を聞いてみるのが良いと思います。

例えば、創業当時の私は「エンジェル投資家」というものがよく分からなかったので、同世代の先輩起業家にいろいろと教えてもらいました。エンジェル投資家はどういうことをしてくれるのか、良さそうなエンジェル投資家は誰か、といったことを聞きながら、紹介してくれるように頼んだりしました。ベンチャーキャピタルについても同じく先輩起業家に評判を聞いて知識や人脈をつくり上げていきました。

当時はSNSをちゃんとやっている人もまだ少ないような時代だったので、リアルなクチコミしかなかったんです。今は千葉道場のような場所があるので、先人の知恵を思いっきり借りれば良いと思います。

山内
エンジェル投資家なりベンチャーキャピタルなり、ひたすら「会い続けること」が大事だと思います。私は、Facebookで友達申請をしてメッセージを送っていました。そうしていると「ウチからは出さないけど、別の人を紹介するよ」と言ってくださる人も結構いました。資金調達に際しては、毎回50人くらいには会っていたと思います。

後編でも、さらに3人に“壁の乗り越え方”を聞きます

後編ではNobollel代表・黒川晃輔さん、千葉道場ファンドパートナー・石井貴基さん、カウシェ代表・門奈剣平さんの3人に「ファイナンスの壁」の乗り越え方を聞きます。

文:小石原 誠
編集:西田 哲郎


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