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防災対策について(2024.3.18 北海道議会 総務委員会 質問)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和6年3月18日の総務委員会において、質問を行いました。

【質問】
 私から、道の防災対策について、数点伺います。

(一)避難所について

1 避難所運営の課題について

 まず、避難所についてであります。
 令和6年能登半島地震では、被災者の方々は、まず、地震発生直後に1次避難所に避難されたわけですが、被災地におけるライフラインの状況等に鑑み、自宅の復旧や仮設住宅等への入居までの間の被災者の生活環境を確保するため、石川県が、被災地外の一時的な避難施設、いわゆる1.5次避難所や金沢市以南のエリアや石川県外にあるホテルや旅館などのいわゆる2次避難所を確保しました。
 しかし、1次避難所から1.5次避難所や2次避難所へ移ることについて、当初、内容や手続について被災者の方々や1次避難所の運営者への周知もままならず、スムーズに移動できなかったといった課題があったと聞くところです。
 また、先般の私の一般質問でも触れた、高齢者や障がい者の福祉避難所の利用、持病のある避難者、幼い子供を抱えた避難者などへの対応、加えて避難所の運営スタッフの多くが男性であり、女性の避難者固有の相談業務にも課題があったとのことであります。
 道は、被災地に、職員を派遣し支援活動に参加しているとのことですが、ただいま申し上げたような避難所における様々な課題をどのように認識しており、今後どのように対応する考えなのか、伺います。

【答弁:吉川 総務部危機対策局長】
 避難所運営についてでございますが、1月1日に発生した能登半島地震では、厳冬期の中、多くの方々が避難生活を余儀なくされ、避難所における毛布や暖房器具等の防寒備蓄品が不足したほか、建物の損壊等により、福祉避難所の開設が困難となった事例が生じているものと、道としては認識しており、このたびの地震に係る国の検証チームでも議論するテーマのひとつとして避難所運営が挙げられるなど、今後、様々な課題が明らかになるものと考えております。
 道といたしましては、今月中にも、北海道防災会議の幹事会を開催し、能登半島地震における道をはじめとした関係機関の職員の活動事例や教訓などについて、意見交換を実施し、国の動きも注視しながら、道の避難所マニュアルを見直すとともに、市町村や関係機関と連携し、実践的な訓練を積み重ねながら、避難所が安心して可能な限り快適に過ごすことができる場となるよう取り組んでまいります。

 2 避難所運営に関する道の役割について
 本道において、大規模自然災害が発生した場合、避難所運営について、道は、どのように市町村を援助する、或いは、総合調整を行うなどの役割を担うのか、伺います。

【答弁:大西 総務部危機対策局危機対策課長】
被災市町村への支援についてでございますが、道では、大規模災害発生時など、被災市町村単独では十分な災害応急対策が実施できない場合でも、災害応急対策を円滑に実施をするため、「地域防災計画」において、「広域応援・受援計画」を定め、その具体的な手順を示した「災害応援・受援マニュアル」を策定しているところでございます。
 本マニュアルによる道内における応援・受援は、道職員の道内被災市町村への派遣、道内市町村間の職員派遣の調整、都府県からの応援の受入れなどを定めておりまして、平成30年の胆振東部地震においても、被災の大きかった町へ、道職員を述べ6,000人以上派遣をし、避難所運営等の支援を実施したところでございます。

3 応援職員への支援について
 災害発生直後の被災自治体を支援するため、他の自治体から派遣する応援職員の派遣期間は1週間程度であり、派遣期間が短いことなどから、派遣先での食事や宿泊場所などは、自前で用意することとなっているとのことです。
今回の能登半島地震では、派遣地域があまりにも厳しい環境だったため、支援に入った職員からは、1週間どころか数日しか持たないとの声が多く寄せられていると聞くところです。応援職員に対する支援が必要であるとともに、国に対しても必要な対応を求めるべきと考えますが、道の見解を伺います。

【答弁:大西 総務部危機対策局危機対策課長】
 応援職員の派遣についてでございますが、道では、総務省の「応急対策職員派遣制度」に基づき、1月7日から石川県輪島市に職員を派遣し、避難所支援業務などを行ってきておりますが、派遣当初は、現地での宿泊先の変更や食糧の確保など、本来の災害対応業務以外についても、応援職員自らが対応せざるを得ない状況にもあったとの報告を受けましたことから、本来業務に専念できるよう、応援職員とは別にリエゾンとして石川県庁に常駐をしていた職員を輪島市に派遣をして、生活環境の改善を図るなど応援職員のサポートを行ってきたところでございます。
 このたびの地震では、被災地へ全国の自治体から多くの応援職員を派遣しておりまして、国の検証チームで議論するテーマに「現地派遣職員に対する支援や環境整備が適切に行われたか」といった自治体支援が挙げられていますことから、道としては、検証作業に注視をしつつ、国に対し、必要な働きかけを行ってまいります。

【指摘:千葉 真裕】
 1月10日の本委員会でも申し述べましたが、今回の能登半島地震における様々な災害対応の実施状況やその効果について、情報収集や検証を行い、この地震から得られる知見や教訓を活かしていくことが大変重要でありますので、よろしくお願いいたします。

(二)災害用トイレについて

 次に、災害用トイレについてであります。
 今回の能登半島地震でも、上下水道が利用できないなか、避難所に駆け込んだ方々が困っておられたのは災害用トイレの不足です。
 国が定める「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、災害発生当初は、避難者約50人当たり1基を1つの目安として、備蓄や災害時用トイレの確保計画を作成することが望ましいとされており、上下水道が被災した場合には、速やかに避難所に配置することが求められています。
 道では、災害発生時に活用できる災害用トイレの個数などをどのように把握しているのか、また、災害発生状況に応じてすぐに配置される体制になっているのか、伺います。

【答弁:大西 総務部危機対策局危機対策課長】
 
避難所におけるトイレの整備等についてでございますが、国の「避難所におけるトイレの確保ガイドライン」におきまして、避難者の状況や被害の程度により必要個数が異なることから、各避難所では、トイレの待ち時間に留意をし、避難者数に見合ったトイレの個数と処理能力等の確保とあわせて、女性トイレを多く設置することが必要とされております。
 こうした国のガイドラインの趣旨も踏まえ、市町村では携帯トイレや簡易トイレなどについて一定量を備蓄をしておりまして、道では、この備蓄量については、物資調達支援システムにより把握をしているところです。
 また、道では、こうした取組みを補完するため、衛生面において優れたコンテナ型トイレ等の供給に関して民間事業者と協定を締結するなど、災害時のトイレの確保等に努めているところでございます。

(三)ドローンの活用について

1 ドローンの消防本部等への配備状況について

 次に、ドローンの活用についてであります。
 近年、災害発生時に、被害状況の速やかな把握や消防職員や消防団員等の安全確保、さらに効率的な活動に資するため、消防の現場でのドローン導入とその活用が進んでいると聞くところです。
 道内における、消防本部や消防団へのドローン配備状況はどのようになっているのか伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
 ドローンの配備状況についてでありますが、消防庁の調査によると、令和5年4月現在、道内に58ある消防本部のうち、36の消防本部に、46機のドローンが配備されており、そのうち1機は、消防本部が消防団に配備するため、導入したものでございます。 

2 配備促進等について

 道内の消防本部では、ドローンの配備が遅れていると聞くところですが、配備や活用を促進するためには、消防職員や消防団員向けの操作技術習得機会の確保を図るべきと考えます。今後、どのようにドローンの配備とその活用を促進していくのか、伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
 
ドローンの配備や活用の促進についてでありますが、災害応急対応において、被害状況の確認や、捜索活動の際に人が立ち入れない場所や危険を伴う活動が想定される場合、無人で活動できるドローンの活用は有効であります。
 このため、道では、これまでも、ドローンを活用した消防活動の有効性や導入に当たっての国の財政支援措置などの情報を各消防本部に周知しているほか、道消防学校では、要望に応じて、消防職員や団員に対してドローンについての基礎的な知識、技術を習得させる講習を実施しているところでございます。
 また、防災分野でのドローンの活用を促進するため、昨年9月、民間企業と連携し、消防職員や市町村職員を対象としたドローンの飛行デモや研修会の開催なども行ってきており、今後も、消防活動におけるドローンの活用が促進されるよう努めてまいります。

【指摘:千葉 真裕】
 今回の能登半島地震では、ドローンによって道路の寸断等の中でも速やかに状況把握ができたほか、民間事業者が、行政機関や家主の承諾の下で、倒壊家屋の捜索を行ったり、医薬品や燃料の輸送を行ったりとドローンの活用
可能性は広がっておりますので、是非、民間企業等の連携も一層進めていただきたいと思います。

(四)学生消防団員について

1 学生消防団員等の推移について

 次に、学生消防団員についてであります。
 国では、消防団員の確保を図るため、平成26年から学生消防団活動認証制度を導入していますが、道内において、学生が加入している消防団数や学生団員数はどのような状況となっているのか、伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
  学生消防団員等の推移についてでありますが、消防庁の調査によると、令和5年4月現在、道内では、20の消防団に97名の学生が加入しております。
 これまでの学生消防団員の推移を申し上げますと、令和4年度は、19の消防団に92名、令和3年度は、21の消防団に104名、令和2年度は、19の消防団に105名と、ほぼ横ばいの状況となっております。

2 学生消防団員確保等について

 人口減少が進み、消防団の担い手確保が大きな課題となる中、学生消防団員の確保は重要であると考えます。
 この点、令和4年に、消防庁長官から、学生消防団員の確保に向けてより一層取り組むよう通知があったと承知していますが、具体的にどのような内容なのか伺うとともに、道は、この通知を受け、学生消防団員の確保等にどのように取り組んでいるのか、伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
 学生消防団員の確保等についてでありますが、令和4年12月、消防庁から、就職活動の自己PRなどに活用できる学生消防団活動認証制度の更なる活用や学生消防団員が多い大学等を消防団協力事業所として認定するなど、学生団員の増加に向けた取組をより一層推進するよう通知があったところでございます。
 このため、道では、学生の入団促進に積極的に取り組んでいただけるよう、各市町村及び消防本部に周知を図るとともに、令和5年10月には、札幌市内の大学近隣にある集客施設で、学生消防団員が主体となり開催された加入促進キャンペーンに、地元消防局や関係団体とともに参加して、大学生等に消防団加入のPRを行ったところでございます。
 道としては、学生は、現在又は将来の消防団員の候補として有力であることから、引き続き、市町村や関係団体と連携を図りながら、SNSやリーフレット等を活用して、消防団の重要性や学生消防団活動認証制度などについて周知を図るなど、学生団員の確保に向け、取り組んでまいります。 

(五)消防指令システムの標準化について

 次に、消防指令システムについてであります。
 消防指令システムの標準化は、消防本部間の情報共有や応援活動を円滑化するために必要な取組みと考えます。
 本年3月に、消防庁から標準仕様書が示されると聞いていますが、道は、消防指令システムの標準化にどのように対応する考えなのか、伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
 
消防指令システムの標準化等についてでありますが、国では、近年の消防を取り巻くICT環境の大きな変化を踏まえ、時代に沿った技術の柔軟かつ迅速な取り入れを容易にするため消防指令・業務システムの標準仕様やそれに関連する資料を今月末に公表すると承知しております。
 この標準仕様等に則ったシステムは、導入経費や運用経費の削減に資することなどから、道では、これまでも、国から提供されたコスト分析結果などを各消防本部に周知し、更新を予定している消防本部に対し、予算の確保や設計等の際に活用するよう助言しているところでございます。
 道としては、まもなく国から示される標準仕様について、各消防本部に周知するとともに、システムの更新の際には、標準仕様に準拠したシステムの導入を検討するよう働きかけてまいります。

(六)消防の広域化について

 今回の能登半島地震でみられるような災害の激甚化、頻発化を踏まえ、防災力を一層強化するためには、消防の広域化や連携強化を通じ、消防の体制整備を進めていくことが必要であります。
消防の広域化、連携・協力を進めるにあたって、道はその必要性を周知するとともに協議の場を設けるなど市町村間の連携調整を行うことが重要と考えますが、道は、どのように対応する考えなのか伺います。

【答弁:伊賀 総務部危機対策局消防担当課長】
 
消防の広域化などについてでございますが、道内の多くの消防本部におきましては、近年、多様化、大規模化している災害などへの対応に加え、高齢化の進展や感染症対応などによる救急需要の増大も大きな課題となっているものと承知しており、消防の広域化や連携・強化を図ることは、限られた人材や財源を有効に活用し、初動における消防体制の拡充や応援体制の強化など、消防力の充実・強化を図る上でも有効な手段でございます。
 このため、道では、人口減少や災害の多様化など社会環境の変化に対応した消防体制のあり方について、市町村等が議論を進められるよう、地域の実情や消防機関の意向の把握に努めてきているところでございます。
 道といたしましては、今後とも、広域化のメリットや、国の財政支援措置等の周知とともに、各消防本部や市町村との意見交換を重ねながら、道内消防の広域化や連携・協力体制の更なる強化が図られるよう取り組んでまいります。(了)

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