ドッヂボールをしていた"20分"はどこへ行ったのか

小学生のどちらも20分の業間休みと昼休み。授業終了の鐘が鳴るのやいなやイノシシのように勢いよく校庭へ飛び出し、「俊足」のつま先で地面に線を引く。即席のコートができればすぐにチームを分け、ドッヂボールが始まったあの休み時間。最初の投球まで3分もかかっていなかった。

いま20分の休みを与えられたら皆さんは何をするだろうか。就活のオンラインインターン中の20分休みは、たいていトイレを済ませてベッドでスマホを見ていたら終わっていた。直径約20センチほどの球を投げることはおろか、太陽すら見なかった。

信じたくはないが、どちらも同じ20分である。晴天の下で叫びながらボールを投げ続ける20分と、無為にスマホを眺める20分、どちらの満足度が高いかは言わずもがなだ。

だからといって、ドッヂボールをしようと言っているわけではない。やろうとしてもできないのが現実だ。仮に大人が30人集まった場で、20分休みに「ドッヂボールやりませんか!?」と呼びかけたとて賛同者はせいぜい1人か2人だろう。「服が汚れるから」「最近運動してないから」「外暑いし」「外寒いし」たいていの人間が御託を並べて断ると思う。

仮定に仮定を重ねて30人全員が乗り気だったとしても、きっとチーム分けで20分使い果たす。「隣の人とチーム分けしてください!」「いやでも実力が偏らない?」「それなら男子は男子、女子は女子とチーム分けしてください」「男子だからと言って強いとは限らないじゃないですか」「じゃあもう一回実力を測るためのドッヂボールをします!」「そのチーム分けはどうやるんですか?」…..考えるだけで嫌気が差す。

大人になるとは、お酒が飲めるようになることでも、お金を稼げるようになることでもない。大人とは、「ドッヂボールをもうできない存在」なのだ。

ただ、20分をスマホに費やすのはあまりにももったいない。小学生の頃の僕が見たらきっと呆れて先生にチクるだろう。ドッヂボールができたのだ。きっと20分は思っているよりも長い。散歩する、何かを食べる、踊る、絵を描く、ラジオ体操6セット、、、本当になんでもいい。

とにかく、"20分間での思い出"を日々作れるようにしていきたい。現在23:40。今日が終わるまで20分。とりあえず溜まった洗い物でも処理してみようか。

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