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アパレル企業として目指すサスティナブル・SDGsと現実

国内生産1%を切る中、毎シーズン50%廃棄処分となっている日本アパレル。

短サイクル、低賃金、人手不足、クオリティーの低下...。

サスティナブルやSDGsの以前のレベルなのが現状です。

人口は減っていき、購入者も減少。

環境のことを考えても生産を控えた方が良い。

みんな分かっていて意識はしているけど、なかなか行動に移せない...。


なぜか?

それは昔からのシステムやサイクルに加え 、立ち止まることができない自転車操業だから。

価格はどんどん下がり、数をこなさない限り利益が見込めず、家賃や設備費、人件費等が支払えない負のスパイラル。


元々このシステムはアメリカの大量生産型を取り入れたことが始まりで、それまで日本は呉服屋という生地をお店に並べてお客さんに合わせて1着ずつ仕立てていました。(現在のオーダーメイド、もしくはカスタマイズ)

オーダーメイドは1着の単価と作製期間がかかり、効率的では無かった為に現在の量産型に変わっていきました。

その頂点がファストファッションだったと思います。

そこから人口の減少と環境と労働問題が浮上し、現在サスティナブルやSDGsが呼びかけられています。


15年前、アパレル企業でデザイナーだった私は大量生産、短サイクル、工場や商社との関係性に疑問を持ち始めていました。

当時、その場所から自分ができることは限られていました。

ファストファッションの波にのまれ、お世話になってきたメーカーや職人が倒産や夜逃げするのを目の当たりにした時、最後の気持ちの糸が切れ、アパレルと日本から離れ、フリーランスに転身した後、独立しました。

独立してまず行動したことは

(1)職人や工場と直接仕事をし、値段は話し合って決める。

(2)通常の2〜3倍の製作期間を設ける。

(3)シーズンごとの発表を辞め、年単位で製作と販売期間を設ける。

(4)素材から縫製まですべて日本で行う。

(5)自身で行う巡回展示受注生産。

でした。


さらにサスティナブルやSDGsは(1)生産者(2)消費者(3)社会(環境)の三方良しであることが前提だと考えています。

(1)単に50%生産数を減らしたりすれば生産者が半分解雇になってしまう。

(2)単価を倍にすれば消費者が購入困難になってしまう。

(3)このまま維持していけば更に環境に負荷がかかってしまう。


では最善は何か?

(1)生産側の仕事の内容を多様化し、サイクルを徐々にスローにしてコントロールする。事業の透明化。

例えば、リメイクやお直しを受付けたり、子供服や介護服を展開したり、異業種とコラボしたり、専門情報等を発信する。正社員ではなく契約社員として副業などを全面的に許可する。生産場所や工程、工賃などを明確にしていく。

(2)消費者から投資者へ。

どこでどうやって作られている製品なのか?応援の意味を込めて支払う意識を持ってみる。本当に必要なものか?捨てずに長く愛用できそうなものを選んでみる。


私はずっと試行錯誤を繰り返しながら、売上が立たない時は外注やアルバイトをしたりして11年継続してきました。(最近だと自給自足やスローライフなどもも取り入れています。)

1つの事業だけに集中するのではなく、その延長上の事業を展開してく。

これはアパレルに限ったことではないと思います。

生き方も働き方も柔軟性と多様化が求めらていく時代。

むかしは出来なかったことが、テクノロジーなどの発展で、いまなら出来ることがたくさんあります。

長期的思考と日々の小さな意識と行動が、必ずサスティナブルとSDGsにも繋がっていくと思います。

そして地球上で最も害とされる人間が、ほんとうに共存できる日を望むなら、いまが分かれ道だと思うのです。


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加藤千晶(かとうちあきChaikiKato)

ボーダレスファッションでランドa.ladonna.(アラドナ)代表兼デザイナー

現在、福祉ファッション、ALSアパレル活動サポート、企業コスチュームデザインディレクション、イベント学校等の講演など活動中。

WebSite:https://www.aladonna.co.jp

お問い合わせ:info@aladonna.co.jp


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