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やりすぎと言われても、何かせずにはいられなかった

昔働いていたエステサロンでの出来事

個人経営のエステサロンで働いていたのですが

そこはほぼ担当制でした

私が担当させて頂いていたお客様

今でも直ぐにフルネームは言えるし、直ぐにパッと顔が思い浮かびます

その方は本当に明るくて、素敵な方で
週に1回お会いできる日が本当に楽しみでした

その日もそのお客様をお迎えする為に準備をし、いつもと変わらずカルテを見てお待ちしていました

その方もいつもと変わらず笑顔で私に笑かけると、ロッカーへお着替えに入られました

そして、ロッカーからでてきたその方を出迎えた時

大きな違和感を感じました

ニット帽を被ってでてこられたんですよね

施術中はヘアターバンをするので

脱ぎ忘れなのかな?と思いつつも
声を発せずにいると

この帽子気になる?脱がなきゃダメ?と言われました


脱ぎたくない理由があるのかもしれない

そう察する事は簡単でした

それなにの私は

如何なさったのですか?

そう伺う事しかできなくて情けなかった

今の私なら、察して
そのまま帽子を被ったままで大丈夫です!ってとびきり明るくお応えできたと思う

当時の私はそこまでの機転がきかなかった

そのお客様は
実はね
突然凄く髪の毛が抜けてしまったんだよねー
と明るく言われました

当時ご年齢も30代前半くらいで

特に頭髪の事で悩まれているなんて聞いた事もなかった

ほとんど抜けちゃってないんだけど、私になら見せれそう

そう言ってニット帽をスッと取られました

私は驚きました、ただオーバーリアクションはしてはいけない

ほとんどの髪の毛が抜け落ちてしまっている状態でした

サラサラヘアだったその方の髪の毛はなく、ほとんど地肌がみえている状態

かける言葉が見当たらない

そんな私を察してかその方は明るく
病気とかではないからね!原因が分からんのんよねぇーといつもの明るい調子で仰られた

いつもと変わらなかった

自分だったら、そんな明るく接する事はできなかったかもしれない

むしろエステに行く気持ちにすらならなかったかも…

それでも来て下さった

私の事を信頼してくれていたからかもしれない

それか、よっぽど肌のケアをしたいと思われていたのかもしれない

とにかく精一杯お客様を笑わせる事とエステの施術を行なった

今でこそ薄毛治療の勉強もし、多少なりとも知識はあるが

当時の私は全く分からなかった

いろんな人に聞いたり、調べたりした

毎週お会いする中でも何か自分にできる事ができるのならしたかった

周りには専門分野外だから仕方ないと言われた

知り合いの美容師さんにも聞いた

すると、有名な病院の先生がいる事を教えてくれた

その病院の先生の事を調べたりなんとかどの病気に勤務されているかを突き止め
病院の電話番号や場所を書いて手紙にした

差し出がましいかもしれない

毎週お会いするその方は自ら髪の毛を剃り、ウィッグをつけて生活されていた

お子さんもいらっしゃり保護者の集まりにもよく参加されていて

ウィッグの事を触れられたりしてヒヤヒヤしていると言われており

早くその方がヒヤヒヤする事なく過ごせるようになって欲しかった

書いた手紙を渡した

もし良ければ、ご参考にされて下さいと

いつも冗談ばかり言っていたその方が真面目な顔をされた

私の為にここまでしてくれて有難うって

原因は多分育児とかのストレスなんだよねって

それを聞いて、ここに来ていただく時は心も楽になって頂けるよう精一杯努めました

しばらくして、毛が生えてきた!

そう嬉しそうにウィッグを外してみせて下さったのです

まだ生え始めだったけど確実にきちんと生えてこられてる

それを見て、本当に嬉しかった

病院行かれたんですか?
つい聞いてしまった

その方は笑いながら、ごめん実はそこは行かなかったんだよね、遠いし!笑笑
だけど、心配してくれて有難う
それだけで気持ち的に救われたよって

直接的な役には立てなかったけど
私のした行動で一ミリでも気持ちが楽になって頂けていたのであれば
本当に良かったと思う

お節介かもしれない、だけど私に出会った人は皆幸せであって欲しい


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