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ちぇりがホーチミンを好きな理由   005 持込OK・鷹揚な人々

◆南国はゆるい?

一般に暖かい地方は全体にゆるい、なんてことが言われますが…はい、ゆるいです(笑)

ベトナムは南北に長い国なので、北のハノイと南のホーチミンではまた随分様子が違うようですが、ホーチミンに至っては、かなりゆるいと思います。

そのゆるさがお仕事に持ち込まれた時には、「キー!」となる向きもおられるかと思いますが、人を許すということは自分を許すことでもあるので、慣れるとこれがとても楽。

一面、こりゃ日本に帰っても通用しないんじゃないか?と自分なんかは感じてますが、多少のことでカリカリしなくて良い、といういのは、人生においてかなり有益なことじゃないかな、と緩い自分を正当化をしております。

◆嬉しいゆるさ・持込の術

そんなゆるさの象徴として、飲食店への「持込」があります。

全てのお店がそれを許しているわけじゃありません。が過去に何度も「え?それいいの?」ということがあり、飲食店への食べ物や飲み物の持ち込みが決して珍しいことではないのだな、と認識してます。

例えば、ご旅行者の方をご案内する際、お土産に良さそうな食べ物を、まずはお味見してほしい、と私なんかは思うわけですが、よく知り合っていない人を自宅にい招くわけにもいかない。反対に、お部屋にいきなり伺うわけにも。となると…?

カフェが最適解になるのですが、お味見ってことになると食べ物を持ち込むことになる。というわけでお店に交渉してみると…?

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「全然いいよー」

くらいのものすごい軽いノリw
ってか、わざわざお願いするまでもなく、周りを見渡すと、そのカフェでは果物やらおやつを持ちこみ、楽しんでいる人がたくさんいましたw

大体は同じカフェにお連れするのですが、もし別のカフェを使う場合には都度、確認を取るのですが、8割方、快く承諾してくれます。ありがたや。


◆流石にお店にあるものは持ち込まない

当たり前のことですが、客の心得として、そのお店にあるものはなるべく持ち込まないようにします。珈琲屋さんにコーヒー持ち込んで飲んだら何頼むのってお話で。

ただお店の人的に、自分のお店にないもの…例えば食事を一切置いていないお店に朝食のバインミー(サンドイッチ)を持ち込まれても、お店には何の損害もない。どころか…

そのバインミーを食べるためにコーヒーがあった方が良いなとお客が思った時に、自分の店を選んでもらえた方が特。1杯でもドリンクを売るための営業を、そのバインミー屋さんがしてくれてるようなもの。

そういえば、お友達のお誕生会をとあるお店でやりたかったことがあったのですが、そこは料理屋さんでケーキなどない。言えば買ってきてくれたかもしれませんが(それはそれありがたい手間だけど)、なにせベトナムの方とは好みが違うこともあり、できれば自分たちで選びたい。

ということで、一か八かでケーキを持ち込んだことがありました。

すでにこれ、5〜6年も前の出来事でお店も閉店しちゃってるんですが、お店の人はすぐさまケーキをお店の冷蔵庫で保管。そしてそれを食事の後に提供してくれる時に、たまたまお店にあったのか買ってきてくれたのかは存じませんが、「Happy Birthday」の模様が入った可愛い紙皿を用意してくれた?!

え?いやお店にケーキを持ち込ませてもらえるだけでも嬉しかったのに、こんなことまでしてくれる?!と一同感激。挙句に、特にチャージを取られることはありませんでした。

お支払い時のお釣り、ちょっとチップにには多かったけど、もちろん置いていったよね。その後も10人単位の宴会をそこでなんども開いたよね。だってそんな親切にしてもらったら、贔屓にしようと思うじゃない?


◆お酒すらも持ち込ませてもらったことが

お酒に関してはお店によって「コーケージ」という持ち込み料を取ることで持ち込みを許してくれることがあります。これは日本も同じ。

飲食店さんというのは、食事だけで儲けを出すのはなかなか厳しい。利益幅が高いのはドリンクの方で、食事部門ではなるべく努力をし、儲けはドリンク類で出す、という仕組みのところも少なくない(だから食事メインの定食屋さんとかは本当に大変)。

そんなお店にアルコールが持ち込まれてしまっては商売上がったり。そこで、持ち込み料を取るのです。

1本いくら、みたいなところもあれば度数換算もあり。持ち込み料が安いところは食事で利益を出せるようにしているのかもしれませんし、持ち込んでほしくない場合はワイン一本、3千円とか5千円という持ち込み料金を設定してフィルタリングすることも。これはお店によって色々です。

というわけで、基本的にお酒の持ち込みはお店のご理解によって成立し、持ち込み料を払う程度のことで許してくれるならありがたい、くらいのスタンスですが…

これもまた6年も前の話で恐縮ですが、大人気のこちらのお店に予約なしで行った時、ちょっと待たねばならなかったので、隣の路上のカフェにてビールを飲もうということに。しかし、いざ座ってビールの缶をプシュ!っとした時…

「席空きました!」

と、店員さんが呼びに来た。
あちゃー!タイミング悪っ!!

でもまぁビール、そこのお店はほんの100円くらいだった。勿体無くはあるけれど、席を立ちながらグビグビっと飲むだけ飲んで場所を移ろうとしたその時。お目当のお店から呼びに来た店員さんがこちらの様子を把握してい、

「あー!そのビール、持って来たらいいよ!」

と。いやいやいやいや、持ち込んだらあんたんとこで飲む分が減るんやで?儲けが小そうなるんやで?!と戸惑うこちらの様子も察してか、

「大ぁい丈夫だから!今開けたばかりのビール、置いてけないでしょ!」

と、さも当然のように誘導してくれ…
たかが100円くらいのことかもしれないけれど、その鷹揚さが嬉しくて。特に日本食屋さん以外のお店に慣れてない友人は目を白黒。もちろん、その一杯で終わるわけじゃないから、その後タワービールをたのんで盛大に飲み倒したわけですが…

美味しい+気分が良かった。お店の方の親切さが嬉しくて。


◆同系列とはいえお料理すらも持ち込ませてもらえた話

これは割と最近の話。
ある集まりで、幹事さんはA店のつもりでB店の住所を参加者に回してしまったということがありまして。

誘われた側の多くはもちろん言われた通りにB店に集まったのですが、幹事さんはA店で待ってました。料理を頼んで。あらら。

なんかおかしいなと思ったので私は幹事さんに連絡をして、間違いを報告。とりあえずA店で合流したのですが、B店の方が人が多いので、料理を包んでもらってB店に移動することに。

お店の人にも、別の店舗の住所を見せると、すぐに状況を理解してくれたらしく(おそらく度々、店舗を間違えるケースがあるのかも)準備は着々。その包んでもらったお料理、集合先の通知を間違えた幹事さんが買い取り持ち帰るとおっしゃっていたのですが…?

いざ、もう一店舗に着いてみると持って行った料理の包みを即座に広げ始めてくれた。え?何の説明もしてないのに、なんで??と思っていたのです…様子から、どうやら先ほどの事情を察した店員さんが連絡を入れてくれたらしい!

同系列のお店とはいえ、違う店舗。明らかにこちらのミスで料理がダブってしまっただけなのに…それを無駄にさせるとなく、その場の食べる料理として、お皿に盛り直してくれたのです。こちらがお願いするまでもなく。

言葉は…こちらのベトナム語もおぼつかず、お店の方は英語を喋られないようだったのでほとんど会話になってなかったけど、阿吽の呼吸でわかってくれるこのホスピタリティ。

なんて鷹揚で臨機応変なんだ。
そしてそれを実にサラリとにこやかにやってしまえる方達よ。


◆鷹揚に優しく

再度言っておきますが、これは全てのお店に当てはまるわけじゃありません。むしろ、一切の持ち込み禁止、ということを明確にサインボードにして掲げるお店も出て来ています。

持ち込みを受け入れてくれそうなお店でも、よほど確実にそれがわかっていない限りはお尋ねをしてからそうさせてもらうことは当然ですし、よほどでないなら、なるべくそのお店で頼めるものは頼みたいもの。ですが…

時折遭遇するその鷹揚さには、いつもホッコリさせられます。
ただわがままを受け入れてもらえてよかった、ということではなく、ごく自然にそういうことを受け入れてくれる様子にとてもホッとするのです。受け入れてもらえるというのは、人間、とても嬉しいものだなと思うのです。

自分は、どうかな。四角四面になりすぎず、イレギュラーな事態になったら、最大限、相手が喜んでくれる対処をさっと自然にできるかな。人生、少しでも楽しく過ごせた方が良いのだから、些細なことではキリキリせずに、彼らのように鷹揚で、そして人に優しくあれたらなーと思うのでした。

2020年8月15日
ちぇり

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