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(人材育成の話)イノベーション人材に必要な2つの人間力②「自律力」について

森川友晴

イノベーションを起こせる個人の人間力「自律力「信頼力」

今回の記事は前回の記事「イノベーション人材に必要な2つの人間力①」の続きとなる内容です。もし前回の記事をお読みでない方はそちらからご覧いただくとよりわかりやすいかと思います。
さて早速ですが、2つの人間力について記載していきます。

「自律力」の定義を私は、「目的・目標に向かって取り組むべきことを繰り返し、失敗や逆境があったとしても乗り越えて進み続けることができること」としています。
また「信頼力」は一般的には「信頼される力」と定義づけされるのではないかと思いますが、そうではなくて「人を信頼する力」です。これを定義してみると「初めて会った人であっても一緒にやってみようと相手を信頼することができること、相手のことを見極めることができ、問題があればすぐに一緒にやることを解消し、違う出会いを探すことができること」としています。

さらにそれぞれをもう少し詳細に書いていきます。

「自律力」はインティグリティとレジリエンス

私は自律力を支えるのはこの2つではないかと考えています。
インティグリティとは「誠実、高潔、真摯さ」という意味です。、インティグリティとは何かと調べるとドラッカーがセットで出てくるくらい、ピーター・ドラッカーが言及したこととして有名です。
ドラッカーの「経営者の条件」の中に下記のような文章があります。

「人間性と真摯さは、それ自体では何もなしえない。しかしそれがなければ、ほかのあらゆるものを破壊する。したがって、人間性と真摯さに関わる欠陥は、単に仕事上の能力や強みに対する制約であるにとどまらず、それ自体が人を失格にするという唯一の弱みである。」

ドラッカーは著書の中で強みを活かせと繰り返し書いているのですが、この2つだけは弱みであると言っています。インティグリティの欠如は全てを破壊する弱みなのです。
今度はインティグリティがあるとはどのようなことなのか?ということを考えていきますが、私はキーワードは合計4つで「コミット」「自己一致」「一貫性」プラス「柔軟性」ではないかと現在は仮説を持っています。
コミットとは、目的、目標に向き合うことです。会社や部署、チームが目指すことに対して斜に構えるでもなく回避でもなく向き合うこと。必要に応じて健全な批判をしながらも行動していくことです。
「自己一致」はあるがままの自分と思い込みの自分とが一致することです。これはカール・ロジャースが健全な人間として定義している概念が私はぴったりくると思っています。虚勢を張るのではなく、恨みを隠してニコニコ振る舞うのではなく、自分の気持ちを率直に開示することができる、自分に開かれている人です。
「一貫性」とはいつでもどこでも同じ基準で物事を扱うことです。誰と話すかで言うことを変えたり、対応を変えるのではなく、いつでもどこでも一貫した基準を持った言動を行うことです。
ここまでの3つがまず自分が自分として立脚し、目的・自分に向き合いながら歩み続けるようなイメージとなります。しかしながらこの3つだけなどともすれば頑固な独りよがりな猪突猛進の人物像になってしまいます。
そこで4つ目の「柔軟性」です。他者と関わりを持ち、影響をうけ、そこで出てくる葛藤も経験しながら「コミット」に基づいた変更を決断していくこと、この柔軟性があることが独りよがりではない、他者を含めたインティグリティの発現になるのではないかと思っています。

次にレジリエンスです。
レジリエンスとは、元々はストレスとともに物理学の言葉で「外力による歪みを跳ね返す力」という意味を持ちます。
心理学では「逆境やトラブル、強いストレスに直面したときに、適応する心理的プロセスのことをいい、「精神的な回復力」と一般的に表現されることが多いです。
レジリエンスがない状態、ある状態を具体的にイメージしてみますと、

・レジリエンスがない状態
ある新規事業のチームに配属されたAさん
チームリーダーに同期のBさんがなったことで、ショックを受け、日々イライラしていた。ある日Bさんの指示に抜け漏れがあり、自分がミスをしてしまった。このまま仕事をするのが嫌になってしまって、どんどん落ち込みが強くなり、ついには仕事を休むようになってしまった。

・レジリエンスのある状態
ある新規事業に配属されたAさん
チームリーダーに同期のBさんがなった。それを聞いた時は驚き、自分の評価が低いのかと思い、とても落ち込んだ。とはいえ、落ち込んでいても前には進めないと気づき、上司に理由を聞いてみた。そうするとBさんにはチームを率いる経験をさせておきたいこと、Aさんにはお客様とのやりとりを担う中心になってほしいという理由を聞くことができた。もちろん全てスッキリしたわけではないが、まずは目の前のことを対応していこうと思い直し、仕事を進めていった。ある日仕事でミスをしてしまった。とても落ち込んだし、嫌な気持ちになったが、まずは原因を探してみた。原因を考えるとBさんの指示に抜け漏れがあったことがわかった。Bさんに指示の仕方について要望をすることと、自分も仕事を受け取るときにはBさんの指示が完璧ではない可能性も含めて受け取るようにしようと思ったのだった。

いかがでしょうか。
レジリエンスのある状態というのは、日々の出来事にイライラするし、ミスには落ち込むこともあるのですが、落ち込みを途中で止めることができて、切り替えることができる状態を指します。もともとストレスをほとんど感じないという方はレジリエンスというよりはハーディネスといったほうが良いでしょう。

それではレジリエンスのキーワードはどのようなものでしょうか。

「サバイバーと心の回復力」S・J・ウォーリン、S・ウォーリンのなかで、逆境を乗り越える7つのレジリエンスが挙げられています。産業領域むけに少し編集して下記に提示してみます。

①【洞察】:今の状況や環境を何かおかしいと「感じ」、何がおかしいかを「知ろうと」し、今起こっていることが何かを「理解する」ことができる
②【独立性】:問題の場面から離れることができ、自分とその場面を切り離して「自立すること」ができる
③【関係性】:問題の多い環境から中々支援を得られない時に、他の場所に「結びつき」をつくることができたり、積極的に自ら「求める」ことができる。さらにそれらの支援者との愛着のある関係を結ぶことができる
④【イニシアティブ】:自分次第でどうにでもなることを「探索し」ていくことができ、探索した対象に「取組み」、自分ができることを「生み出す」ことを楽しむことができる
⑤【創造性】⑥【ユーモア】:難しい現実から「離れ」、避難することできる。問題を一旦脇において、新しい環境を「創造」したり、「笑い」に変えることでひどいことや深刻なことをやり過ごすことができる
⑦【モラル】:良い人生を願うことで、不正や理不尽な出来事に立ち向かうことができ、さらに使命感を持って人生に対峙できる

いかがでしょうか。とても大事な要素が詰まっていると思います。
これで良いようにも思うのですが、私はもう少し単純化して提示してみたいと思います。

私が提示したいキーワードは3つ「人間理解(自分理解・他者理解)」「メタ視点」「プラグマティズム」です・
「人間理解(自分理解・他者理解)」とは人間がどのように成り立っているのかを知識として知っていること。そしてそういった目で自分や他者を見てみることによって自分の状態に気づきやすい状態になることです。例えば普通は人がどのようなことにストレスに感じることは何かといった「ストレスボタン」についての知識を持ちます。そういった知識をもって自分や周りを見渡してみる。そうすると、自分がなぜ今このような感情になっているか、あの人がなぜ怒っているのかが理解することができます。理解することで「自分の感情や想いの所在」を見つけることができます。だからといってすぐに回復したり、切り替えたりすることがでで出来る訳ではありませんが、まずは落ち着き、落ち込みから立ち止まることができます。
次が「メタ視点」です。これは自分や周りの状態を俯瞰した視点で観察することを指します。物事は近づいてみると悲劇ですが、離れてみると喜劇ということがあります。あんなに大変な状況が、離れてみると落ち着いて観察することができて、対応が思いついたりします。実はこれは1つ目のキーワード「人間理解(自分理解・他者理解)」があることで生まれてくるものでもあります。なので一つ目から2つ目は連続した内容となります。
3つ目が「プラグマティズム」です。何か正解となる良い方法があるのではなく、良い状態、良い状況になったことが良い方法なのだ、と考えることです。効果的、実利的、実際的、現実的に考えることです。教科書的に言えば、仕事上のストレスがあった時に逃げずに立ち向かい、問題解決していくことが良い対処のように思います。でもときには逃げることが良い結果を産むことがあります。逃げるも戦うもその他の対応も「その結果、状態、状況はよくなったのか?」で判断していくことです。

ぐちゃぐちゃと前に進んでいく

ここまでいかがでしょうか。
この「自律力」という考え方は今現在、私が良いのではないかと思っていることです。これからも色々と学んで研究していく過程で変わっていくかもしれません。私はいまだにぐちゃぐちゃと進んでいるんだなぁと自分でも呆れますが、そういうことではないでしょうか。
「自律力」を持ち、目的・目標を中心におきながら、行ったり来たりしながらごちゃごちゃ、ぐちゃぐちゃと前に進んでいく。綺麗に一直線の成功はできないけれど、前に一歩一歩進んでいく、そういった人間力が必要なのではないかと思います。

本当は今回で「信頼力」までいこうと思っていましたが、一旦ここまでにしたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございます。
もし何かの参考になれば嬉しいです。こういった内容が必要だと思う方がいらっしゃればご紹介いただけますと嬉しいです。
それでは次回は「信頼力」について書いていきます。
ありがとうございました。


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