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ネイルの重み

週末、土いじりをしに福島・会津へ行くので、5年間続けてきたネイルアートを一時中断することに決めた。

CAの身だしなみ規定で、「ネイルポリッシュかジェルネイルを必ず施し、爪は常に美しく保たなければならない云々」というものがあったため、会社員時代は欠かさずジェルネイルをしていた。

そして退職した後は、ネイルアート(キラキラをつけたり、好きなキャラを描いたり)を自由にできるようになった反動で、私は好き放題に爪を鮮やかに飾っていた。
また、担当のネイリストが超優秀だということもあって、自分の爪に色とりどりの表情が生まれてゆくのを眺めるのが、月に1度の私の楽しみであった。

「いつも手元がキレイでカワイイ」のが、私のチャームポイントだった。

しかし、農作業をするのに可愛らしい爪は不要、むしろ邪魔ではないか。
きっと爪の間に土がたくさん入るだろうし、表面が削れてしまうかもしれない。爪を気にして作業に集中できなくては勿体無い。


お久しぶりです。関係ないけどペンだこすごい。

いつものネイルサロンからの帰り道、爪がすごく軽く感じられた。
自爪から僅か数ミリのジェルネイルにも、しっかりと重みがあったのだと気がついた。

爪が深呼吸している。

表面がざらざらしている。今朝まで、うっとりするくらい滑らかだったのに。
無骨さが不思議で、何度も指の腹で隣の爪を撫でてしまう。

そして、少し薄くなっている。先の方を軽く押すと、グニャと曲がる。
ジェルネイルを落とす時、ネイルポリッシュの除光液とは違って、表面を削る必要があるからだろう。



物理的ではない重みを感じる瞬間もある。
ネイルをしていない私は、どこか別人のように思える。
いや、というよりこれが本来の自分なのか。
爪が鮮やかだと、自分も多少キラキラした存在に思えていたが、今の私は地味である。

着飾らない自分も、けっこう好きだ。



会津には知人の伝手があり、これから夏にかけてちょくちょく行くつもりだ。

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