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海外で働きたい人たちへ

海外留学を終えたらどうする?

「留学を終えたら日本に戻る」というのは定番の流れのようになっていますが、それはどうしてなのでしょうか?決まりきったルールでもあるかのように海外留学の後に日本に帰ってしまう人には出会っても、現地のそのまま残るという人は少ないのが現状です。また、「海外で働く」という意志を持った人も日本から駐在で派遣されるか、国際機関で働くという選択肢を思い浮かべる事が多く、あまり海外現地で自ら就活をするという発想にはなかなか至らないように思えます。過去の私もその中の一人でした。

もちろん、日本でのキャリアアップのための留学というのも分かるのですが、それは一つの解であり、もしも海外に残りたいと思った時に「それは無理」という一般常識に飲まれて、トライもせずに帰国してしまうというのは勿体無いと思うのです。では、日本の人が内向き思考になり、海外で働きたくないから日本に戻るのかと言われればどうではなくて、少なからず海外に憧れを持ち、できれば海外に住みたいと考える人たちに数多く出会ってきました。だからこそ、日本人が現地就職していけるような支援とネットワークを創り出す事に今私は興味を思っています。

労働ビザや言語が問題?

私のクラスメイトはインドや中国、南米やらで、母国には戻らないと決めてきている人がほぼ100%です。母国に未来はないという、様々な理由で来ている事もありますが、何がなんでも食らいつくというようなハングリー精神があるのです。アメリカのテック企業にはインド系のアメリカ人も多いですが、ここで忘れてはならない事、それは日本のパスポートの価値です。というのも、私たちがヨーロッパやアメリカに入国する際、パスポートがあれば誰でも簡易ビザを申請でき、入国が拒否される事などまずあり得ません。では、インドではどうでしょう。インドのパスポートでは、私たち日本人と同じようなプロセスではなく、全く別で長い長いビザ申請の手続きが必要となります。且つ、そのプロセスを経ても、入国拒否される事なんてざらにあるのです。例えば、前に勤務していた企業にてインド籍の企業パートナーをアメリカやカナダで開催されていたカンファレンスに招待した際に、ビザの問題で入国できなかったり。はたまた、大変社会的にも優秀な同僚メンバーは本社研修でカナダに飛んだのですが、書類不備か何かで、空港に着いた後に入国できずにそのままインドに引き返したという事だってありました。同じクラスに通う同級生であっても、別のビザが必要な国の出身というだけで、大学のプログラムの一環でアメリカでの留学プログラムに参加しようとしましたが、これも書類が揃わず参加できないという結果に。日本人であるというだけで、今既に持っている優位性は非常に大きいということはお分かりでしょうか?

ワーキングホリデー

海外就職が難しいと言われる理由の一つには事例が少な過ぎる事、情報が知られていない事も大きな要因にあります。例えば 現在、日本がワーキング・ホリデー協定を結んでいる国は26ヶ国にも上ることをご存知でしょうか?こんなのよく聞く話だよと思ったあなた!もしこれがアメリカ人であったとしたら、どうでしょうか?実は、アメリカのパスポートとなるとワーキングホリデービザが取得できる国がたったの6ヵ国に限定されてしまうのです。アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、韓国のみ。対しての日本といえば、以下の国すべて30歳までであれば一年間働く事ができる権利に応募する事ができます。選択肢が多すぎやしませんか?

ワーホリ協定国一覧26ヶ国

  1. オセアニア

    1. オーストラリア

    2. ニュージーランド

  1. ヨーロッパ

    1. フランス

    2. ドイツ

    3. イギリス

    4. アイルランド

    5. デンマーク

    6. ノルウェー

    7. ポルトガル

    8. ポーランド

    9. スロバキア

    10. オーストリア

    11. ハンガリー

    12. スペイン

    13. アイスランド

    14. チェコ

  2. 北米・南米

    1. カナダ

    2. アルゼンチン

    3. チリ

  3. アジア

    1. 韓国

    2. 台湾

    3. 香港

海外は高そう?

さて、他の要因に生活コストや費用の問題があるのですが、それはどうでしょうか?リストを見てみると、日本よりも物価が低い国もあり、むしろ日本での暮らしよりも安く済んでしまう国もあります。また、日本においてはバイトでお金を貯めて学生がよく旅行をしていますが、日本に来たいというイタリアの友達に「バイトしたら良いんじゃない?」と言った時のことが忘れられません。バイトでも正社員と同じくらいの雇用体制が必要のようで、仕事はなかなか見つからず、あっても違法に安い賃金で働かされるものが多いのだと。日本でバイトをしてお金を貯めること、日本ではバイト情報が絶える事がないことを考えると、これも世界の当たり前ではなく、世界的には既に恵まれている環境下にあるとも言えるのです。不満ばかり言っていられません。(データは現時点のものではないため、参考程度の目安としてこちらから引用していますhttps://www.ryugaku-voice.com/working.html

世界基準でのキャリア戦略

日本人の海外就職が難しい最後の要因、これこそは言い訳が効かないもので、海外でも通用するスキルセットかどうかという軸でキャリア形成をしていないからではないかと思います。日本でのキャリアアップなのか、日本を含め世界規模でのキャリアアップなのかは全く異なる視点です。海外に行きたいどうかは置いておいても、持てるのであれば日本と海外とで選択肢を持てるのは悪くありません。自分で事業をするにも、日本規模で考えるのと、世界にも展開できる事業を考えるのでは全く異なるはずです。英語を話せるかどうかは日本人間では強みになっても、海外では標準で持ち合わせているもので、それだけでは不十分です。ただ、反対に日本での当たり前で評価されにくい経験やスキルが、海外では大いに評価されるという事だってあります!もしくは、同じ年収でも、ヨーロッパの有給は25–30日間あるのが普通だったり、起業している場合も、同じ額稼いでも国によって税率が違うために収益も変わったり…知らなきゃ損!

韓国やヨーロッパの一部では最初から海外を意識するのに対して、日本は海外を考えなくても市場規模が大きく、各種日本語だけで深い学びを得る事ができるため、海外の視点を考える優先順位は低くなってしまいがちです。それは悪い事ではありません。深い文化と歴史と先人の知恵が受け継がれている事は素晴らしい事です。ただ、私自身が外資系企業で日本進出を支援してきたからこそ、日本にいてもグローバル化は今後より日本に押し寄せて来るのが見えていて、海外の感覚を持つ事は日本を守る事にも繋がっていきます。だからこそ、日本にいても地球レベルで世界が見渡せるような教育も必要で、また海外に残り続け、日本と連携する日本人を増やす事も大切だと考えるのです。海外でやっていっている日本人や日本にいるグローバルマインドセットの人たちを煙たがらずに、手を繋いで仲間に付けていく。そんな未来を想像しています。

海外へ挑む日本人を応援したい

今後やりたい事の一つは、日本人が現地人と変わらずに肩を並べて、海外でもやっていけるような、そんな事例を増やしていき、日本100%ではなく、日本と海外を半分半分でリモートを交えながら働くなど、働く形態は今よりももっと多様化させていきたい人を支援していく事です。日本に貢献していける事を増やしていくべく、今は海外で実績を積む修行として自己研磨していきます。まずは自分自身が事例にならねば!

というわけで、いまいまではヨーロッパを開拓しつつも、アメリカとの繋がり開拓しながら、私が関心を持つキャリア教育、エンパワメントなど、社会問題解決のための事業案を練ってみたりと相変わらずな日々を過ごしています。5月からはマスクの制限も無くなり、普段のヨーロッパにほぼ戻っています。(パリの空港で働く人たちはもうマスクを付けていませんでした!) 海外を志す皆さん、今こそ次の一手を準備する時ではないでしょうか?

このブログが誰かの何かのきっかけとなれば嬉しいです。


▼ 記事を書いた人について
ミドルネームから「ちぇる」と呼ばれている & ブログやSNSを通じて、日本と海外での発見や気付きを発信している人。何気ない光景を普段考えない切り口でみつめ、POPに社会を考えるきっかけを作ったり、日常に「問い」を持つ視点を届ける活動を行なっています。


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