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映画「ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦」@難民映画祭

国連UNHCR協会の難民映画祭、残る1本は、「ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦」です。(今年観られる6本のうち1本は昨年に観ているので)

ドゥダメルさんといえば、昨年6月の関西ウーマンの書評で取り上げた『世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ』にも登場した、ベネズエラが生んだ若き巨匠。

『世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ』は、ベネズエラの経済学者にして音楽家で、優れた教育実践者であったホセ・アントニア・アブレウ氏が創設した、貧しい子どもたちが無料で音楽を学べる教育システム「エル・システマ」の話でした。


公式サイトからお借りしました

ドゥダメル氏は、このシステムの出身で、若くして世界のひのき舞台に立ち、世界の第一線で活躍しながら、エル・システマにもずっと関わり続けていました。

ところが、ベネズエラの社会情勢が混乱し、大規模なデモが起こるようになると、政府は市民を暴力で弾圧します。

それまで政治的発言は控えていたドゥダメル氏は、大統領や政府に自重するよう声明を発表します。

すると、彼が率いて世界各地に遠征する予定だったベネズエラのオーケストラのコンサートツアーが、政府によって次々と中止されてしまいました。

オーケストラのメンバーも一人また一人と楽団を、国を、去っていきます。

ドゥダメル氏もベネズエラに帰国できなくなります。

若者たちが音楽を続けないでよいよう、ドゥダメル氏は手立てを考えます。

そのプロジェクトがうまくいったすぐ後、恩師であるアヴレウ氏が亡くなりました。

師を偲んで、追悼のコンサートを開催するドゥダメル氏。

美しい音楽です。

世界的な指揮者になってマエストロと呼ばれていても、オーケストラにも子どもたちにもファンにも、誰にでも、いつも笑顔で、気さくで、親しみやすくて、なんて魅力的。

音楽はただの娯楽ではない、世界を変えられるという信念を確かに師から受け継ぎ、次の世代へと伝えている姿を、きっとアブレウ先生も頼もしく嬉しく見守っておられただろうと思います。

政情や社会が落ち着き、またみんながベネズエラで結集して音楽を奏でられますように。

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