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頑張って頭で考えても、やりたいことは思いつかない。

最近、「好きなことを仕事にする」とか、「好きなことだけして生きていく」とか、よく聞きます。
そんな本もいっぱい見かけるようになりました。
毎日つまらない仕事をしていると、そういうのを聞いて「いいなー」と思います。
でも、「そんなの私には無理」「人生そんなに甘くない」と思うのが普通です。

そんな人間に対して、たまにぶつけられる質問が、
「じゃ、もしお金の心配がなかったら、何したい?」です。

「え、突然聞かれても出てこないんだけど。。。」と焦りつつ、

とりあえず、
「広いお家に引っ越して、世界中を旅行して、おいしいものを食べて、美容にお金をかけて、エステ三昧で、好きなだけ買い物して。。。寝たいだけ寝るとか?」と答えてみます。
謙虚な感じを演出したい時は、
「仕事をやめて、毎日寝て暮らしたい」と答えるかもしれません。

この回答が果たして正解なのかどうかという不安に駆られながら、質問者の表情をうかがいます。
よくありがちなやりとりです。

「好きなことを仕事にするのは難しい」と主張する前に、大して自分のやりたいことや好きなことがないことに、虚しくなります。
お金で解決することくらいしかやりたいことがない、そんな自分がとてもつまらない人間に思えて嫌になります。
そんな時に、「好きなことを仕事にして、キラキラ輝いて生きている人」を見ると、まるで別の生き物のように感じます。

「なんで私には、好きなこと、やりたいことがないんだろう?」

よく考えれば、仕方がないようにも思います。
小さい頃から、「やるべきこと」とか「やった方がいいこと」が外からいっぱいやってきて、それを片付けるだけで精いっぱいです。
「あれをしなさい、これをしなさい」、「あれをしてはダメ、これをしてはダメ」と言われることはあっても、「好きなこと、やりたいことをやりなさい」なんて言ってくれる人はいません。

思い返せば、学生の頃は、たまに何かにハマって、没頭してた気もします。
でも、基本的に、「好きなこと、やりたいこと」をすることに慣れていません。
お金も自由に使えないし、自分がやりたいと思うようなことは、大体親に反対されます。
そして、社会人になってからは、「仕事をしてお金を稼ぎながら生きていくこと」で精いっぱいです。

「好きなこと、やりたいこと」と言えば、仕事の疲れやストレスを解消できること。
旅行やランチ、ショッピング、エステ、マッサージ。。。
商品・サービスを消費することだけが唯一の楽しみです。

平日は仕事で忙殺され、週末は形式的にリフレッシュ。
同じことをくり返すうちに、リフレッシュも途中からはただのルーティンです。
もはや楽しいのか、好きなのかもよくわかりません。
「楽しいこと、好きなこと」と思いこんで、消費しているだけなのかもしれません。
そんな中で、「好きなことだけして生きていく」と言われても、まず好きなことを見つけるのが至難の業です。

ぼっちフリーランスちーたーはかつて、こんな感じで生きていました。
自分のことがわかっているようで、わからない。
年齢を重ねるほど、いろいろなことが固定化されていって、何でもかんでも「そういうものだから」のひと言で済んでしまう。

それでも、最近やっと「好きなこと、やりたいこと」がわかるようになってきました。
と言っても、自然にわかるようになったわけではありません。
意識的に自分の思考を解放し、努めて自由な状態を作ることで、何が起こるか実験してみたんです。
その副産物的な感じで、わかるようになってきました。

せっかくなので、そこに至るまでに気付いたことを少し共有してみたいと思います。

まず、
「好きなこと、やりたいこと」は、頑張って頭で考えても出てきません。
どちらかと言うと、頭で考えていない時に、気付きます。

仕事中心の生活になると、何でもかんでも頭で考えることに慣れてしまいがちです。
業務にしても、人間関係にしても、「どうしたらよくなるのか?」ばっかり頭で考えます。
この裏で起こっていることは何でしょう?

「自分がどう感じるのか?」を無視することがあたり前になっています。
そうしたくてそうしているわけではありません。
そうしないと、スムーズに仕事をこなしていけないからです。

会社に勤めていれば、上司から目標数字と行動計画を立てるように急き立てられます。
予期していなかったタスクが次から次へとやってきます。
ここに「断る」という選択肢はありません。
自分がどう感じるのかなんて、そんな情報、誰も求めてくれません。
そして、だんだんと自分でも「つらい、苦しい」という思いに対して、「だから何?」みたいな感覚になり、何も感じていないかのようなフリをし始めます。
もう感覚的に麻痺してます。
リハビリが必要です。

じゃ、何から始めたらいいのか?
「自分がどう感じるのか?」を意識します。
この感覚を思い出すことが重要です。
嫌なものは嫌、悔しい、悲しい、腹が立つ。。。
たまに嬉しい時もあるかもしれません。
「自分がどう感じるのか?」に、ちゃんと気付くようにします。

そして、日常の中で、ふと頭に浮かんだこと、気になったこと、目に留まったものについて、頭で精査する前に何かアクションを起こしてみるようにします。
頭で考えてひねり出したことではなく、どこからともなく急にやってきたことです。

人物が浮かべば、連絡をしてみるとか、モノや事柄なら調べてみるとか、どこかの場所なら出掛けてみるとか、意識の対象となっているものに関連することをやってみます。
そして、その度に自分がどう感じているかに意識を向けてみます。

すると、だんだん自分の「好きなこと、嫌いなこと」、「心地良いこと、不快なこと」がわかるようになってきます。
そのうち、何かをしている時に、ふと「もしや自分は、今これを楽しんでいるのではないか?ということは、自分はこれが好きなのか?」と思う瞬間が出てきたりします。

妙に冷静に、ひとりでこっそりと気付きます。
自分のことなのに、今さら自分の感情や感覚に気付いて、変な感じがします。
でも、今までそういうことをしてこなかったんだから、遅ればせながら。。。も普通です。

「自分がどうしたいのか?」を導き出すのも、まずは「自分がどう感じるのか?」に気付くところから始まります。
頭で考えて、理論をこねくり回しても、出てきません。
頭で考えると、大体はメリット・デメリットの話になって、自分の好き・嫌いは二の次どころか、無視されることも大いにあります。

他人にとって必要な情報じゃなくても、「自分がどう感じるのか?」は、自分にとって重要な情報です。
「自分の心の声を聞く」って、きっとこういうことなんじゃないかなと思います。




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