ブラッドオレンジの酸味と甘味がブッラータのミルク感よりいっそう引き立てる
桜の花びらが散ってしまって、ぽっかり心に穴が開いてしまったと思ったのもつかの間、青々とした新芽が一気に芽吹いて新緑の季節になりました。さわやかな春らしい陽気のなか、フラフラと散歩をしたくなる今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか!
こんにちは、奥渋・NHKの西門前にあるフレッシュチーズ専門店「SHIBUYA CHEESE STAND」(以下、渋谷店。実物大の牛のオブジェが目印)です!
今月も、渋谷店の人気メニューであるシーズナルのフルーツブッラータのレシピを紹介していきます!
存在感のあるブラッドオレンジを
陰から支える名脇役とは?
4月のフルーツブッラータは、ブラッドオレンジと茴香を使ったブッラータです。
赤色の果肉からブラッド(blood、血)と呼ばれるオレンジの総称。日本でみられる代表的な品種は、イタリアで採れるタロッコ種やイタリアのなかでもシチリアで栽培されているモロ種などです。
品種によってそれぞれ特徴はありますが、柑橘の中でも全般的にキレのある酸味とビターなシトラス系の香りが強いのがブラッドオレンジの特徴です。
いわゆるメリハリがある柑橘になるので、じつはブッラータと合わせるには少し味わいも香りも強めなところは、注意が必要です。
今回は個性的な両者を繋げる名脇役な存在として、フェンネルとも呼ばれ、葉はハーブとして使われる茴香の根と胡麻のピュレを使うことでバランス良く仕立ててみました。
国産ブラッドオレンジと茴香のブッラータ
関口幸秀(CHEESE STAND SHIBUYA店長)
作り方
1.茴香と胡麻のピュレを作る。冷たい鍋にバター、オイルを入れスライスした玉葱を弱火にかけながら色をつけないようにしんなりするまで炒める。そこに茴香のスライスも加え同じくしんなりするまで炒める。水を加え強火にし、焦げないようかき混ぜながら沸騰させたら弱火におとしコトコト落とし蓋をして30分ほど煮込む。
一度冷まし、ミキサーなどで滑らかになるまで撹拌し、塩で調味。練りごまを加え混ぜ冷蔵庫で保管しておく。
2.ブラッドオレンジのチップを作る。ブラッドオレンジを皮ごと2mmほどの薄さにカットする。鍋に水、グラニュー糖、レモングラスを入れ火にかけ沸騰させる。
鍋にブラッドオレンジを加えたらすぐに火を止めそのまま自然に冷めるまで置いておき完全に冷めたら冷蔵庫で1日ほど寝かせておく。
次の日に実だけ取り出しクッキングシートを上下でオレンジを挟むようにして天板に並べ、100℃に予熱したオーブンで1.5時間ほど乾かすように加熱する。オーブンから取り出した時は少しやわらかいが、お皿などに移し30秒ほど放置してカリカリになれば完成の目安。
シリカゲルなどの乾燥剤と密閉容器で常温で保存しておく。
3.ブラッドオレンジジュレを作る。ゼラチンを氷水で20分ほどかけふやかしておく。2で余った液体を鍋に入れ火にかけ沸かす。粗熱がとれたらゼラチンを入れて溶かしバットなどに流し入れ冷蔵庫で冷やし固める。使う分を小さなボールなどに取り出してスプーンなどで崩しておく。
4.ブラッドオレンジのカルチェ(白い皮をとりオレンジの実だけにしたもの)を6〜8粒ほど小さなボールに入れ、木頭柚子オイルを加え混ぜておく。
5.盛り付ける。お皿の真ん中に茴香と胡麻のピュレをスプーンで円を描くように伸ばしながらのせ、その上になるべく常温に戻した東京ブッラータを優しくのせ、巾着部分の所に塩をする。
周りにカルチェ、ジュレを並べ茴香の葉を千切ってのせる。ブラッドオレンジのチップスを添えたら完成。
レシピのポイント
イタリアでは春から初夏にかけて旬を迎える茴香(フェンネル)と胡麻のピュレだけを食べてみると、そのままスープにしてもおいしいくらいしっかり香りも塩味もありますが、ひと皿として仕上げるてみると、茴香の香りが不思議と弱く感じるかも知れません。
しかしこの名脇役の存在があるだけでブラッドオレンジの酸味と甘味がより引き立ちブッラータのミルク感が心地よくなります。
野菜とフルーツで意外かも知れませんが、イタリア・シチリアではじつは定番の組み合わせだったりします。
茴香の葉の青臭ささがいいアクセントになって、前菜のように楽しんでもらえるのではないでしょうか。
そして「フルーツブッラータつくってみて」は、ご家庭で作るのはもちろん、ぜひレシピの「答え合わせ」として、SHIBUYA CHEESE STANDに食べにいらしていただけたらうれしいです。
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「東京ブッラータ」をご家庭で食べる際に、「食べごろ」があるのをご存じですか?! 食べごろを検証したnoteはこちら。「賞味期限2日前・常温2時間」を覚えておいてください!
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「国産ブラッドオレンジと茴香のブッラータ」のほかにも、旬の食材を使った4月のシーズナルメニューが現在SHIBUYA CHEESE STANDで販売中です。お昼も夜もメニューにありますので、ぜひ食べにきてくださいね!
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文・構成、撮影=江六前一郎