Cheer Up!にたどり着くまで。その6(最終回)
そんなわけで、しばらくはマガジンの活動を再開する気持ちにはなれませんでした。
コールセンターの仕事をしながら淡々と過ごしていました。
東京に遊びに行った時、「Cheer Up! vol.1」にグラフィックで参加して下さったデザイナーの点さんご夫妻のお宅にお邪魔しました。
そこでお2人にいろんな思いを打ち明けました。
点さんと知り合ったのは、mixiでとても仲良くなりいつも落ち込んだ時に相談にのってくれていたミュージシャンの渡辺ヨシキさんのご縁です。
渡辺ヨシキさんが亡くなった時も気持ちの整理がなかなかつかずとても辛かったのですが、点さんとのやりとりで救われました。
そして今回も点さんと語り合うことでかなり救われたのです。
「せっかくここまでやったのにもったいないな。WEBマガジンにするのはどう?」
その点さんのアイデアを実行に移そうと決意したのは、2011年2月ごろでした。
その頃FacebookやTwitterを始めて、mixiで仲良くなった方々と交流が復活したり、知り合いになりたかったミュージシャンとの新たな交流も始まりました。
少しずつ冊子版のコンテンツをWEBに掲載する作業をしている時期に起こったのが東日本大震災。
宮城県に住む私も被災、しばらくはWEBマガジンどころではない状況に。
夏には父が脳梗塞で倒れ、いつもお世話になっている病院に入院すればまた治ると思っていたのですが、病院も被災して入院することができませんでした。
別の病院に入院してそこでの対応に不安を感じていたのですが…結局助かりませんでした。
音楽好きでいつもクラシックを聴いていた父。
私のやることにはあまり関心を示さなかったのに、「Cheer Up! vol.1」を手渡した時は細かい文字でもじっくり読んでくれていました。
その背中は今も忘れられません。
2012年、少しずつWEBマガジンを作り込んでいたある日、人気イラストレーターの中村佑介さんが率いるバンドのメールインタビューをしてほしいと「Cheer Up! vol.1」に参加してくれたメンバーから依頼されました。
彼も中村さんのバンドに入っていたのです。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONやゲントウキのジャケットイラストでお馴染みの中村佑介さんにインタビュー!?
すっごく緊張しましたが、資料一式読み込んで音源を何度も聴いて、質問を練りに練って提出したところ、中村さんから届いた回答がとても濃くて楽しくて。
直接会えなくても、会って語り合っているように編集すればメールインタビューでもこんな風に楽しい記事になるんだなと、がぜんインタビュー記事というものに興味がわきました。
セイルズ 中村佑介さんインタビュー(2012年)
http://www.cheerup777.com/sails.html
その後、憧れのバンドquasimode(クオシモード)のリーダー、ピアニストの平戸祐介さんが新譜を出すたびにメールインタビューに応じてくださるようになり、平戸さんとは「一緒に記事を作っている」という感覚を味わいました。
学生時代に大好きだったバンドThe 東南西北の久保田洋司さんはコラムを連載してくださいました。
嬉しくなるようなことが続き、Cheer Up!(というか自分自身の気持ち)は盛り上がっていきました。
初めてICレコーダーを手にして「直接インタビュー!」をすることになったお相手は、なんと80年代アイドル、年齢を経てますます素敵な竹本孝之さんでした。
Facebookで「いつかインタビューさせて頂けたら嬉しいです」とメッセージでお願いしていたら、仙台でのライブに前乗りするから応じられるよ!とご連絡をいただいたのです。
以前仲間と作ったフリーペーパーで、メンバーの一人が料理研究家の方に直接インタビューをしていたことを思い出しました。
録音した会話を文字起こしして、さらに読み物として面白くなるよう編集する様子を見て、いつか自分もやってみたいと思っていました。
まさかその初めてのインタビュー相手が学生時代からの憧れのアイドルとは。
とても緊張する取材でしたが、竹本さんは気さくにいろんな質問にじっくり答えてくださいました。一時間ぐらいの濃い内容です。
それを音声起こしして、いかに竹本さんの魅力が伝わるように編集するか?楽しく充実した作業でした。
インタビューって面白い!相手の魅力をもっと引き出せるようになりたい!と強く思うようになりました。
たまに東京に行っては4~6人ぐらいの方にアポイントをとって、直接インタビューさせて頂く機会を持つようになりました。
自分では「インタビュー修行旅行」と呼んでます。
様々なアーティストにインタビューして、いろいろなことを語らったり、その人の音楽人生を伺ったりしているうち、私はいつの間にか過去の心の傷から立ち直れていたように思います。
WEBマガジンCheer Up!を続けることが結局私自身を元気づけていたのです。
2012年から今まで、Cheer Up!の活動をする中で精神的にきついこともあり、落ち込むこともありましたが、励ましてくれる方々のおかげで何度も立ち直りました。
そんないきさつをまとめてみたくて、このnote連載を書きました。
読んでくださった皆さん、どうもありがとうございます。
2021年後半も読みごたえあるインタビュー記事をお届けしたいと思います。
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