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#小説

先生の教え

私が今文章を書いているのは、先生のおかげです。先生は、私に言葉を、文字を与えてくださいました。 ここに、先生の教えを残します。 文章ってのは、書こうとして書くもんじゃねぇ。テメェの脳内を人様に見せる最短の手段として、文章があるんだ。 テメェでテメェの脳内を覗いてみろ。ソレは常に文字を孕んでいる。原稿用紙は、脳のクローンだ。 文字は時間を含まない。空間も含まない。紙面上のインクの集合体としてただそこに存在している。最短のメディアたる文章は、3次元やら4次元なんてものを超越

小説が私達のコミュニケーションツールでもあった話

小説がコミュニケーションのツールでもある。 この言葉から、あなたはどんな示唆を連想しただろうか。 メッセージ性を強く物語に投影すること? 小説の中に特定個人への私信を仕込むこと? 作者と読者の非対称な関係性について比喩した観念的な話? 本の勧め合いによって芽生えた友人関係のエピソード? しかし今回の話は上記のいずれとも違う。……と勿体ぶったが何のことではない、私が大学時代に所属していた文芸部の、ほんの一側面を表現したに過ぎないのだ。つまりここで言う小説とは、部員達が執筆し

小説「カシコミカシコミ、境内ホ別0.005」

 体温計の数字が、僕に終身刑を宣告する。積み重ねてきたものを、うっかり肘先で崩してしまったような焦燥感。背骨から熱が抜けて、顔の形が定まらない。ああ、何もわからないや。ショックというのは衝撃という意味なんだ、脳が揺れている。落ち着いた心の端から燃えていく、ひどい後悔、ひどい後悔。ああ、拳を机に打ち付けたい、喉が枯れるほど叫びたい、ふざけるな、どちらも出来るわけないだろ!  いつ貰ったんだ、同窓会か映画館か、この憤りをどこにぶつければ良いんだ。スマホに爪を立てるようにして、SN