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デジタルコミュニケーション時代におけるボヤとの向き合い方

―――――困ったことになった。

リモートワークに切り替わってからというもの、はじめのうちこそ不便を感じていたものの、人類らしい適応力と素晴らしいツールたちのおかげで、いまやなんの不便もなく暮らせている。

不便がないどころか、仕事の生産性の面でも、ストレスの面でも明らかに1ヶ月前のそれと比較して良くなる一方であり、気圧の変化に弱い体はその日の天候に合わせて仕事を組み替えることの出来る今の環境はとても助かっている。

それが、だ。
今強烈に困っている。

何かと言うと、伝達系統がめちゃくちゃになることで斜めから火が上がったり、文面でも口頭でも伝えている内容が伝わらなかったりすることで、あやうく燃えかけたりするということが頻発している。

これさえ無ければ...

明らかに快適で生産性の高いリモートライフを脅かす小火たちに対して何らかの手立てを打たなければ、コロナの収束ともにこの生活とも縁を切らなければいけなくなるかもしれない―――――。

こんなことが今、この国で頻発している。
今回はそんなリモートワークにおける「小火」が起きる正体と対策について考えていく。

小火騒ぎはカラ騒ぎ

そもそも、ここでいう「小火」とは
・仕事の漏れやミスなどで誰か(社内社外問わず)が怒りの感情を持つ状態
・業務の関係で誰かが不機嫌になる状態

を指す。

当然こんなもの無い方が良いし、少なくとも僕は人のイライラや不機嫌に殊更敏感なため、いかに周囲が気持ち良く仕事が出来るかに気を配って生きている。

それゆえ、オフィスにいると他の人に矢印が向いている小火が発生すると、その残り火が近くにあるだけでビクビクするという性格だし、なるべく自分の手元まで火が来ないように気をつけている。

リアルだとその怒りは瞬間的なものであるため、感情の揺れ動きの大きい人だと咄嗟に火力の大きいものを相手にぶつけてしまい、関係性まで焦げつくというシーンはたびたび目にするが、オンラインでは怒り手が必然的に時間を要するために少し落ち着いてから相手に連絡することが多く、怒りよりも修正・FBになることが増えた。

にもかかわらず、
オンラインで発生する小火はむしろじわじわと大きくなる。

なぜだ。

理由は簡単で「時間経過の中で悪い想像を膨らませる・決めつける」ということが発生してしまうからだ。

AさんとBさんの会話の中で発覚した問題に対して、Cさんのタスク処理に問題があったのではないかという仮説が立った時に、確定していなくてもCさんへの怒りが膨らみ、連絡が来る頃には既に怒っている状態になる。ということだ。

そのため、Cさんから直接話しを聞いたAさんはすぐに怒りがおさまり、場合によっては気づいた問題は既に解決に向かっていたりする。

これが「炎上」までにはならない「小火」の正体である。
※ちなみに本当に大ミスをした場合の炎上についてはリアルでもオンラインでも大差ないのでここでは論じない。

焼け焦げたホウレンソウ

リアルオフィスとリモートワークの一番の差は「会話の発生」にある。

リアルであれば、ふと誰かが呟いたことを拾って話が展開されるケースがあり、その中で小さな課題の修正がなされたりする。これが「無意識的会話」であり、多くの場合受動的にいても会話に入ることが出来る。

対してリモートワークだと、明確に連絡をしなければ進まないと判断した時に初めて連絡をする。これが「意識的会話」であり、そもそも話す内容がある上でコミュニケーションが発生している。勿論、オンラインでも意図的に雑談を多くしてる人たちはいるだろうが、この意図的な雑談の中に「そういえば」と仕事の話が出来る人は少ない。雑談をするブロックと仕事の話をするブロックを分けるからだ。

なんども言うが、これによって生産性は上がっているし、これこそがリモートワークのメリットなわけだから、それが課題ですとは言えず、それじゃあなんで小火が発生するんだというと「デジタルコミュニケーション・エラー」にある。

これは、これまで受動的に情報を受け取っていた人まで能動的にならなければいけなくなったことで、これまでしてこなかった小さな判断の回数が増えることで発生する。
Aさんに聞けば分かると思っていたことは、実はBさんに聞くべきことだったり、Cさんにお願いしなければいけないことをDさんにお願いしてしまったりと、ということである。

僕のケースでいくと「最初に僕に聞いてくれれば良かったのに」と小火が起きてから思うこともあれば、「こんなこと僕に聞いてどうするんだ?」と恐らくその後小火に繋がるだろう謎の連携が発生したりする。

仕事をうまく進めるために必要な関係者を事前に選定して、前もって保険を打っていた人からすると、リモートワークは特に問題無いのだが、その人たちの動きによって能動性を持たなくて良かった人たちが見えないところで「ホウレンソウ」を重視した結果、焦げたホウレンソウで返ってくるということだ。

火を起こさないという人間の進化

大前提として、問題というのは起きるものである。
人間たちが一生懸命働いている以上、ミスは起きるものだし、自分たちがどんなに頑張っても勝手に燃えるものもある。

重要なのは同じ過程を踏んだ焦げホウレンソウが運ばれて来ないようにすることだ。

初めましての産地のものは諦めて苦々しく飲み込み、次から美味しいものだけ届くように工夫することが大切である。

そのためには
・目的はテキストに書き残すこと
・連携方法を明確にすること
・相談先をテーマごとに明確化すること
・責任者同士のタスク確認をすること
・メンバーのタスク進捗を全て可視化すること
・アジェンダを毎週設計した定例ミーティングを開くこと
・絶対に同じコミュニケーションエラーを起こさない強い気持ちを持つこと

というステップが必要である。

特に、これまでは形骸化されていた定例ミーティングが、全体の前で疑問や課題を潰すことの出来る必要不可欠な場所、に変えることが出来るため、リモートワーカーにとっての必要な定例ミーティングとはということについてはさらに突き詰める価値を感じる。

また、事前防止策としてのチャットコミュニケーションについてはキャスターの石倉さんが書いてくれているので見て欲しい。

小規模なボヤき

何にせよ、怒りという感情は人にぶつけても
仕事が円滑になるケースは少ない。

出来るなら、みんなが毎日機嫌よく働けた方が良いし、
相手の温度感の伝わらない今だからこそ、ネガティブに陥ったときに劇的にパフォーマンスが下がることも想定される。
見えないところにいるからこそ、お互いが上機嫌で過ごせるように
ほんの少しの気遣いがコミュニケーションの中に見えることが、火種を湿らせることになれば良い。

▼「仕事のミス」といえば、こんな記事も書いています。


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