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近所のコンビニにすごい人がいてさ

近所のコンビニには、すごい人がいる。

その人がいると、コンビニがコンビニでなくなる。

「いらっしゃいませーー!!!」

って。毎回、ひんやりしたコンビニに、はつらつとした声が響いてさ。
ここコンビニだよ?あれ、私生鮮市場に来たんだっけ?って錯覚する。コンビニに来たという事実を一瞬忘れる。

近所のコンビニには、そんな元気なおばちゃんがいる。

今日はなんだか眩しすぎて、目を合わせられなかった。
最近どうも、直視するのが恥ずかしくなってしまう。眩しいからか、好きすぎて硬直してるのか、わかんないけど。
ファンかよ。

コンビニってさ、私の中では、
無機質で、無愛想で、機械的な場所でしかなくてさ。
ロボットが働いてて、ロボットが物を買いに来るような、そこに心なんてものは媒介しない場所だと思ってた。

でも、その人がいるコンビニの店内には、心がある。
そのせいか、コンビニなのに、店に足を踏み入れるだけで心が少しあったかくなる。

「ごめんね、ありがとうね〜」
「スプーンつけとくからね〜」


タバコを買いにくるだけの無愛想な人にだって
「いつもありがとうね〜」


一人一人に誠心誠意対応されるその人を見ると、本当に、心が洗われる。

すごい。本当にすごい。
みんな下を向いて、目も合わせないで、ただ自分が必要なものを買うためだけにコンビニを使うのに、どうしてそこまで。

周りがどうであれ、環境がどうであれ、
その人の明るさと親切さには迷いがない。ぶれることもない。
目には目を、歯には歯を、の真逆を行く人。
万人に対して与える心を持っている人。

その隣人愛の根源はどこなんだろう。
でもなんとなく、そのエネルギーはその人の内から恒久的に湧き出てるように見える。

そう、本当に太陽みたいで。
燃料とか電池とかそういう概念が全くない、自発的にエネルギーを作り出す存在。

私もそういう風にありたいって思う。強く思う。
でもどうしても、太陽みたいにはなれない。絶対的でいることが難しい。
人に冷たくあしらわれたら、どうしても悲しくなって自分が保てなくなるし、相手が怒ってたらどうしても萎縮しちゃうし。

どうやったらこの人みたいになれるんだろう。
たぶんなれないんだけど。

でも、たとえ太陽にはなれなくても、自分の絶対的パワーで人を照らすことが出来なくても、太陽みたいな存在のパワーによって、自分にもパワーが生まれるとしたら。
そうだ、たぶん私は、相対的にしかパワーを発揮できない。

でもそれでいいんだ、きっと。
多分私が目指すべきは、たぶん太陽じゃなくて月なんだ。
この人を見て、そう気づいた。


太陽みたいな人が、近所のコンビニにいる。

そのコンビニに行けば、私は照らされて光を放つんだ!
明日の朝、特に理由はないけど、またコンビニ行こうかな。

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