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『ハーバード式「超」効率仕事術』感想

最近、バイアスが人から情報を遠ざけていると感じている。例えば、苦手な評論家が映画情報をツイートしていたとする。確かに、その評論家の文章は受け入れ難いものが多い。しかし、苦手という感情で映画情報を全て捨てるのはどうだろうか?中には必要な情報もあるし、タイトルと感想を基に別の情報を得る手がかりに繋がるかもしれない。こうした、シャットアウトは自分の中の傑作から遠ざけるかつ、無意識な差別を蔓延らせることとなる。

そこを意識して、一定の距離を保ちながら情報を追っていくようにしている。その流れでビジネス書を読んでみようとなった。ビジネス書は「読むエナジードリンク」と揶揄していた時期がある。当たり前のことを薄味で書いている。読んだ瞬間は役に立ったと感じるが、実践しなければ風化する。時間を前借りし、成長を擬似的に感じる悪魔の書物だと思い敬遠していた。

だが、20代後半になりキャリアを考えたり、組織をまとめる、細かいスケジュール管理を求められる時期となってきたのでビジネス書を読んでみることにした。

ロバート・C・ポーゼン著『ハーバード式「超」効率仕事術』は本屋で平積みされていたり、Amazonでオススメ欄に出るような薄い内容の本ではなかった。裕福な家庭ではなかったロバート・C・ポーゼンが、勉強と仕事を掛け持ちしながら社会人となり、いくつもの組織で働きつつ本を執筆するようになった。そんな彼のエピソードを交えた仕事術が書かれている。胡散臭いタイトルに思えるが、中身は濃い。シンプルな実践から掘り下げて高度な技術へと発展させていくアプローチは、段階的に仕事に取り入れる必要があるなと感じるほどだ。

たとえば、スケジュール管理の手法について書かれている。作業をリスト化し、優先度を定める。短中長期の目標に分類しコントロールすることは当たり前に感じるかもしれない。もし実践できていなかったら、ここから見直す必要があると気付かされる。本書では、目的と優先度を定める視点として、

・自分がしたいこと
・得意なこと
・周囲があなたに求めること

があると定義する。そしてそのバランス感から、スケジュール管理がなぜ難しいかとコントロール手法について解説していく。

経営幹部の中期目標の優先順位は、組織のそれとほぼ一致していなければならない。もし翌年までに中南米に事業拡大をすることが会社の中期目標なら、経営陣もその目標に高い優先順位をつけるべきである。しかし、組織の上層部でなくとも、社員の中期目標は企業のニーズとある程度一致していなければならない。たとえば、ある中間管理職が営業パンフレットの文章を書くことに優れているとしよう。だが、会社がその人の部署に求めているのは法令順守マニュアルの手直しである。その人がこの会社で成功したければ、新しい営業パンフレットの作成よりも、法令順守マニュアルの手直しに高い優先順位をつけるべきであろう。

p33より引用

得意なこと:営業パンフレットの文章執筆
周囲があなたに求めること:法令順守マニュアルの手直し

となった場合、周囲があなたに求めることである「法令順守マニュアルの手直し」に高い優先度を与えるべきと語っており、もし「周囲があなたに求めること」と「自分がしたいこと」との間に強い反発が生まれるのであれば、中期目標に「仕事を変えること」を追加した方が良いと語っている。

このような考え方は、無意識に行ってしまっている「構造的な先延ばし」に気づかせてくれる。「構造的な先延ばし」とは重要性の低い仕事を優先し、難しかったり、本当に重要な仕事を先延ばしにしてしまうことである。本書は、軸として「結論を念頭に置くこと」を重要視しており、そこから逆算する形で問題を細分化していく。そのプロセスの中で難しい問題に対して飛び込みやすい状況を作り出していくのだ。

ただ、それでもやる気スイッチが入らなかったり、困難だったりする状況が生まれる。それに対して根性論に走ることはしない。カウンセリングを受けたり、仕事の分担を視野に入れることをアドバイスするのだ。

つまり『ハーバード式「超」効率仕事術』において、仕事を効率的に進めるマインドとして「目的達成のために仕事をする」ことが重要だと語っているのだ。これは実践しながら、自分に有効な形へと落とし込んでいきたい。


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