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AlloCinéが発表するフランスの批評家/大衆が選ぶ2019年ベスト映画

あけましておめでとうございます。チェ・ブンブンです。この時期は、いろんな映画ファンや映画メディアのベストテンが発表される時期です。

さて、ブンブンが参考にしているフランスの映画情報サイトAlloCinéで2019年のベスト映画が出ていました。このランキングはフランス語がある程度分からないとたどり着くのが難しい場所に置かれていたので、オバマ前米国大統領のお気に入りより最優先で書く必要があると思いここでまとめます。

※下線が引かれている作品は、ブンブンのレビューに飛べます

批評家ベスト

1.パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ 星4.8/5.0※36媒体)

2.Pain and Glory(ペドロ・アルモドバル 星4.6/5.0※25媒体)

3.在りし日の歌(ワン・シャオシュアイ 星4.4/5.0※25媒体)

4.Minuscule 2 - Les Mandibules du Bout du Monde(Thomas Szabo, Hélène Giraud 星4.3/5.0※27媒体)

5.トイ・ストーリー4(ジョシュ・クーリー 星4.2/5.0※35媒体)

6.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(クエンティン・タランティーノ 星4.1/5.0※39媒体)

7.Grâce à Dieu(フランソワ・オゾン 星4.1/5.0※34媒体)

8.ヒックとドラゴン 聖地への冒険(ディーン・デュボア 星3.9/5.0※25媒体)

9.Mon Inconnue(ユーゴ・ジェラン 星3.9/5.0※25媒体)

10.ディアスキン  鹿革の殺人鬼(カンタン・デュピュー 星3.8/5.0※40媒体)

大衆ベスト

1.パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ 星4.5/5.0)
2.ウルフズ・コール(アントナン・ボードリー 星4.3/5.0)
3.ヒックとドラゴン 聖地への冒険(ディーン・デュボア 星4.3/5.0)
4.アリータ:バトルエンジェル(ロバート・ロドリゲス 星4.3/5.0)
5.トイ・ストーリー4(ジョシュ・クーリー 星4.3/5.0)
6.アベンジャーズ/エンドゲーム(ルッソ兄弟 星4.2/5.0)
7.Mon frère(ジュリアン・アブラハム 星4.2/5.0)
8.Mon Inconnue(ユーゴ・ジェラン 星4.2/5.0)
9.Grâce à Dieu(フランソワ・オゾン 星4.2/5.0)
10.在りし日の歌(ワン・シャオシュアイ 星4.2/5.0)

【総評】

フランスの批評家はどうやら、映画を撮る映画が好きらしく、10位中『Pain and Glory』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『ディアスキン  鹿革の殺人鬼』がランクインしています。意外なことに、日本では《のむこれ》で限定上映された『ディアスキン  鹿革の殺人鬼』が大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族』よりも、『トイ・ストーリー4』よりも多い40媒体が言及していることに驚かされます。

日本ではあまり評判がよくないカンタン・デュピュー監督ですが、フランスではどうやら話題の中心にいる人物のようです。

また、日本における『映画 すみっコぐらし』枠として『Minuscule 2 - Les Mandibules du Bout du Monde』がランクインしています。日本でもNHK Eテレで放送されていた『Minuscule ミニスキュル 〜小さなムシの物語〜』の劇場版第二弾。ひょこんなことからテントウムシが箱に入れられ、遠くへいってしまう。そこで、仲間たちが救助に向かうという内容。点数をアップしているメディアは27媒体と多いのですが、割と甘め評価する媒体が多く、またLe MondeやLe Figaroも酷評していない為ランクインを果たしました。特にLe Figaroは1作目よりも野心的だと高評価しています。

また、毎回微妙な評価で有名なフランソワ・オゾンがキリスト教会における性的虐待を描いた『スポットライト 世紀のスクープ』の別の面を描いた『Grâce à Dieu』が批評家、大衆共に満足させる出来となっており、久しぶりに返り咲いた感じがします。

同じく、批評家/大衆共に高評価を受けた『MON INCONNUE』は、オリヴィアに恋をした小説家志望のラファエルは、彼女をイメージしたキャラクターのSF小説を発表し、一躍有名となる。そしてそのまま結婚するのだが、段々と倦怠期になり、彼は小説の中で彼女を殺そうとする。ある朝、起きるとオリヴィアが自分を知らない世界に来て...という恋愛寓話。評価媒体にLe Monde、Le Figaro、カイエ・デュ・シネマといった主要メディアがいない為、完全ノーマークの傑作になっている模様。これは非常に面白そうなので日本公開してほしいなと思う。

大衆映画部門の7位に輝いた『Mon frère』はハードなシリアスドラマ。父のDVから弟を庇った末に父を殺し更生施設へ送り込まれたテディの生き様を描いた作品。予告編を観る限り、ポスト『ムーンライト』な作品と言えそうだ。

以上、2019年のフランス映画界の簡単なまとめとします。

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