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「フランクル回想録 20世紀を生きて」レビュー&名言



「夜と霧」で有名なV・E・フランクルの自伝です。

「夜と霧」読むのは辛過ぎて、という方でもこれなら大丈夫。強制収容所の具体的なおぞましい話はほぼ書いてないです。

で、(夜と霧じゃなくて)こっちの自伝には、

「さすがユダヤ人強制収容所を生き延びた後にちゃんと幸せになって長生きして天寿を全うできた人だなあ!」


と感嘆するような、「生きる知恵」がいっぱい詰まった本です。

だから、幸せの知恵を得るために読むべき素晴らしい本なのですよ。

フランクルは、強制収容所を生き残ったあと、有名な精神医学者となり、素晴らしい伴侶を得て、おじいさんになっても、ロッククライミングをやったり、飛行機の操縦にチャレンジしたりして、そしてたくさんの孫を得て、92歳まで生きた人でした。ですから、収容所のエピソードは一部含まれているにしても、この自伝はもう一種のハッピーエンドストーリーなんですよ。

「夜と霧」と比べてすごく読後感がやさしい。

(「夜と霧」はすばらしい本ですが、内容が内容なんで、さすがに読むと結構引っ張られてガチ鬱になりますんで…いや、まあ、その、夜と霧はネ、ガチでマジで死にそうに鬱な時に読むとウッカリものすごい元気出る面もあるにはあるんですよ!わたくしは本当にヤバい時に読んで元気になったりしましたよ!そやけど…そやけどねぇ…人によっては状況によってはつらすぎてそのままスコッと素直に死んじゃうレベルの濃度の本なんで…流石にクリスマスに読むのはいくらなんでもちょっと…ねぇ…いやまぁねぇ…「夜と霧」の中には、非常にクリスマスにちなんだ強制収容所のトンデモネェクリスマスストーリーが…心臓が千切れちゃいそうな味わい深い衝撃のクリスマスストーリーがひとつ書いてありますが、だがしかし…やっぱりねぇ…取扱注意なのでぼっちクリスマスに「夜と霧」読むのはダメ、ゼッタイ、うん、やめとけ。)

大丈夫、「夜と霧」読まなくても、こっちの自伝だけ読んでもちゃんと理解できるような内容ですよ。

おうちの一番大好きなカップで、ゆっくり紅茶でも飲みながら、いかがでしょうか。

本の中の素敵な文章をいくつか引用しておきましょう。


”権力はさまざまに定義されるだろうが、私は次のジョン・ラスキンの定義に賛成したい。「権力とは、ひとつしかない。それは救う力である。そして名誉も、ひとつしかない。それは助ける名誉である。」”

”一つの魂でも救った者は、世界全体を救った者と同等に尊敬されるべきである”

”次の日、かつてナチス親衛隊員であった大学教授が私を訪ねて来て、目に涙を浮かべながら、よりにもよってなぜこの私が、公の場で共同責任(例えば、ナチスの残虐行為はドイツ人全体の責任であるという考え方)に反対するというような勇気を奮い起こす気持ちになったのかと聞いた。「あなたならできません」私は答えた。「あなたが口を開けば、自分の立場を守ることになるでしょう。しかし私はかつての囚人一一九一〇四番です。だからこそ私には、それができるし、またそれをせねばならないのです。そういう私の言うことならば人も信じるでしょう。これはまさに義務なのです」。”



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