#3「背景」 ”倫理の暴走”
解決金の交渉、ICレコーダーの活用など、
ハラスメントに対して気丈に立ち向かったMさん。
彼女はどんな過去を経て”彼女”になったのか。
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Mさんにとっての困難
取材を進めていく中で、Mさんの気丈さや優れた危機察知能力が見えてきた。
そんな彼女はどうやって形作られてきたのだろうか。
涼しい顔でパワハラの顛末を語る彼女に ”今までに辛かったことなどは何かあるか” と尋ねてみた。
Mさんは
「そうですね…。私自身に降りかかった困難は基本的には自業自得なものが大半です。勉強しなかったから留年しかけたり、受験で苦労したり。」
「それに、色々と気にしないので、それが原因で色んなトラブルに巻き込まれました笑 」
今となっては良い思い出だが、以前同じ職場で働いていた時は、彼女の奔放な性格でたくさんのイベントが生まれていてヒヤヒヤしたものだった。
「あ、でも、自分が悪くなかったトラブルもありました。」
とにこにこと話してくれた。
仲裁役として。
それはMさんが高校生だった頃。
彼女の友人に一組のカップルがいた。両者ともMさんの友人で、度々そのカップルと交流していた。
カップルの男性Aは、Mさんが中学の頃に好きだった男性。それを彼女のBも知っていた。Bはというと少し情緒が不安定な女性で、日ごろから彼氏に向けて、怒って物を投げたり、飛び降りるぞ、という自死を仄めかすことを言ったりするような女性だったという。
そんな二人の間には喧嘩が頻発しており、Mさんは共通の友人であることもあって、その仲立ちをすることが多くあった。
ただMさんもやはりそういった役割によりストレスが溜まり、ある日、その二人についての愚痴を別の友人に話したという。
すると、その友人からBへと愚痴を言っていたという情報が流れてしまい、Bの逆鱗に触れることになってしまった。
激怒したBはMさんを激しく叱咤し、彼氏であるAにもそのことを話した。
しかし、Aはそれを聞き、
「 Mさんがそんなことをするわけがない 」
「 それはBの言いがかりだ 」
とMさんの肩を持ってしまったという。
Bの性格的にも ”自分の彼氏が過去に自分のことを好いていた女性の肩を持った" という事実は、強い不安であり、激しい不満だった。
それをきっかけに喧嘩はMさんとBではなく、AとBの恋人同士の喧嘩に発展してしまったという。
そんなこともつゆ知らず、学習塾で勉強をしていたMさんに彼氏のAから連絡が来る。
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