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差出人不明 # 1

家を飛び出してから苦労だらけでした。
 
吐くぐらい嫌なこともたくさんあり、
それを経て生活をしている自分のことも大嫌いです。

それでも家を出てきたことを後悔はしていません。
あの選択が正しかった。
 
食事のとき、お風呂に入ったとき、夜眠るとき
嫌でもあなたたちを思い出すから。

あなたたちは
「もっとつらい境遇の中で生きている人もいる」
「うちは恵まれている」
といつも私を殴った後に言いましたね。

確かにそうだった。
様々な境遇の中で苦しんでいる人は
数えきれないほどいた。
 
家を飛び出して私もそんな人の一人になった。
それでもあの日から私は私を生きることが
できています。

ご飯を食べていれば人間なんでしょうか。
眠る場所があれば人間なんでしょうか。

この手紙と共に郵便受けに
お金が入っていたと思います。

わずかですが、足りないでしょうが、
受け取ってください。

私も大人になりました。
苦しみ方は私が選びます。

生かしてくれてありがとう。
  
さようなら。

 

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