◇八王子さんぽ◇④八王子駅付近の線路沿いを歩く(その3)
八王子市に住んでいながら、これまであまり歩いたことのなかった八王子駅周辺を歩いています。歩くならもっとメジャーな市内中心部を歩けばいいのですが、なぜかマニアックな線路沿いを歩き続けています(笑)。
(前回の投稿はこちら)
今度は、JR八高線の線路沿いを少し歩き、京王線沿いに北野駅を目指したいと思います。
貨物ヤードの廃線跡に建つ、ルームズ大正堂を後にして、街歩きを再開です。自動車学校とNTTの通信施設が建つ場所です。
道路沿いに何やら不思議な施設が、近寄ってみると、「東京都水道局 北野水源」の文字が。八王子市は、豊富な多摩川や浅川の伏流水を利用して、水道の水源を確保してきました。今では合併で市の範囲が広がり、人口も増えてしまったので、東京都水道局の水源からも水が供給されているようですが、伏流水の恵みでこの街が育ってきたことは間違いないでしょう。
八王子市民には、あったかホールと言う名前で知られる、北野清掃工場とその隣の温水プールの入口です。その隣には、北野下水処理場があります。八王子市民の大切な衛生インフラが集まる場所です。北野下水処理場は、人口増大や下水処理の高度化などの対応もあるからか、市町村で処理するのではなく、流域の広域行政で処理する動きに変わろうとしていて、昨年度で廃止されたようです。今後は、洪水時の雨水を溜めるポンプ場施設に生まれ変わり、引き続き八王子の町を守り続ける別の大切な役割を担い続けます。
八高線に架かる、新旧2つのアンダーパスを見つけました。古いほうは今は使われておらず、フェンスで立ち入りできなくなっています。
アンダーパスの西側には、緑道が続いていました。水路跡で、暗渠でもあるのでしょうか。
やはり水路跡があったようです。この地区、水路沿いに水車の地図記号まで見えます。浅川の氾濫原の低地帯に水車が回っていて、それを動力に水田が田畑を耕している、そういう牧歌的な場所だったのでしょうか。
八高線の線路を少し八王子駅側に歩いていると、住宅地に「KDDI」のマンホールを発見しました。八王子の通信インフラも、線路沿いのNTTの電話局に向かっていたのでしょうか。
みたび京王線の北野第9踏切の前を通過し、今度は京王線沿いに北野駅に向かいます。その途中にあるものは、
なんと、家と線路の間に、廃線跡の橋台の構造物が。これは、横浜線から分岐して長沼付近の工場に通じていた、専用線の廃線跡です。住宅街の真ん中なので、油断していると見つけることができません。貴重な鉄道遺産です。
今昔マップで、戦後すぐの専用線が京王線の上を越えていた時代の地図を見てみたいと思います。当時は鉄道のデルタ地帯も、今よりもう一段階複雑だったのでしょう。宅地の造成で、古い線路跡はすっかりなくなりましたが、この橋台は、京王線の線路に近接しているため、撤去をあきらめたのでしょうか?
北野6号踏切。これも狭い道です。横浜線の線路に跨道橋があります。
横浜線の跨道橋は、2本の線路が別々の構造をしていて、西側が新しく、東側が古そうです。1980年代に複線化されました。
意外と眺めていると楽しい場所です。
さて、散歩の最初で紹介した、北野5号踏切(お隣横浜線の小野路街道踏切))から、さらに北野駅側に向かってみましょう。
北野駅付近では、国道20号の八王子南バイパスの工事が始まりそうです。出来上がればここから高尾山インターチェンジまでが国道でつながり、この街もさらに大きく変わるでしょう。
北野5号踏切から北野駅方向に歩きます。京王線の線路は北野駅付近で高架化されていて、北野1号~4号の踏切は、現存しません。
京王線の高架橋の反対側に行きました。こちらは、京王線から分かれたJR横浜線が近くを走っていて、京王線と京王高尾線に挟まれた、デルタ地帯のような場所になっているところです。ここは八王子駅近くのデルタ地帯とは違い、農地が多いのどかな場所。
デルタ地帯の出口にあるのは、横浜線の「京王日向踏切」。なぜ京王と冠がついているのか微妙ですが・・。
ひょっとすると、戦前に大正天皇の陵墓が作られた際に建設された京王御陵線(京王高尾線の前身)ができて、横浜線を越える築堤が建設されたことから、この場所にアクセスできる踏切が新設された、などと考えてみました。踏切の名前から過去のことを推理する。なかなか面白いと思います。
京王高尾線の大きな高架橋や盛土構造物とは不釣り合いの、小さなアンダーパスを見つけました。
京王高尾線と横浜線の交点の南側には、日向前ガードと名付けられた歩行者専用のアンダーパスがありました。
湯殿川を横浜線が渡る橋です。このあたりも、湯殿川・横浜線・高尾線がある「デルタ地帯」。車での往来がなかなか容易にできない地域です。
いよいよ長かった八王子さんぽも終了。北野駅に到着です。
【終わりに】
八王子駅近くの線路沿いを中心にあるいた、八王子さんぽ。意外と身近な場所にこんなに味わい深い鉄道構造物があるとは気づきませんでした。これ以外にも、まだまだ歩いてみたいところがたくさんありますので、また足を運んでいきたいと思います。
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