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〇ドボクスキーの旅 in 広島〇 ②広島の土石流災害と広島大学・西条を行く

2023年9月13日から15日にかけて、広島で開催された、土木学会全国大会。14日には、私自身は、「『ポストコロナ』における土木技術者の学びについて」という演目で、広島大学で発表をしてきました。これは、昨年の全国大会で討論会を企画した内容を報文に取りまとめた結果を報告したものです。自分自身で報文に取りまとめ、発表して質疑応答を行うという一連のプロセス、このあたりは学会活動をやっていると改めて実感できるシーンだと思います。

その広島の土木学会の機会に、土木に関連するような場所を色々と訪問しています。前回は、コンクリートでできたトラス橋、岩鼻架道橋という、土木技術史にも残るような橋を見学するなどしました。(前回の記事はこちら)

今回は、14日の発表の前の時間に訪れた、JR可部線沿線と、発表後に訪れた、東広島市の西条などのことをご案内します。

■旧西国街道のアーケード

アストラムラインで可部線を目指す前に、市内中心部のアーケードを歩きました。

広島市内中心部のえびす通り商店街。
明治時代と今の広島市街の比較。広島城の南側に町人の街が広がります。

そしてこのアーケード商店街は、東西を結ぶ西国街道(山陽道)としても機能していたのです。

こちらは、本通のアーケード。
これは、前日の夜に見かけた、旧西国街道を示すマンホール。
これはもう少し広島駅寄りですが、市内で結構多く見かけました。
アーケード沿いにある、アンデルセン本店。
被爆した銀行の建物で戦後開店したパン屋さん。
今でもリノベして立派な店を開いています。

そして、アストラムラインの始発駅、本通駅に到着。広電の路面電車とも乗り換えができます。

アストラムラインは地下を走るので、地下鉄と同じですね。

■新交通 アストラムラインに乗車

アストラムラインは、広島の中心、本通駅から、北に向かって進み、市街地の北西部を反時計回りに走る路線です。終点は、エディオンスタジアムのある、広島広域公園です。1994年のアジア大会のアクセス交通として作られました。

アストラムラインの路線図。クエスチョンマークみたい(笑)。

もともと可部線の大町駅で乗り換え可能だったのですが、さらに2015年に新白島駅(しんはくしま)をJR山陽本線の乗換駅に改築するプロジェクトが完成し、利便性が向上しました。

実は、広島駅から本通に公共交通で行くには、広電よりもJR新白島駅で乗り換えたほうが速いです。よく「広島に地下鉄なんてない」と思いがちですが、こうした利用法を考えると、これはもう立派な「地下鉄」なのです。

地下を走るアストラムライン。
反対方向の本通行きの電車は、朝ラッシュで超満員でした。
大町駅に到着。他の都市の新交通と比べ、
随分軽快に飛ばして走る印象です。
アストラムラインとJRの連絡通路。
こちらも多くの方が利用されています。

■可部線であき亀山駅へ

大町駅で、JR可部線に乗り換えます。

大町駅の駅名標。
可部線は元々私鉄だった鉄道を昭和初期に国有化したもの。
地方私鉄っぽい雰囲気があります。
可部線の終点、あき亀山駅に到着。

JR可部線の終着駅はここではなく、かつてはさらに山間部にディーゼルカーが走り、三段峡駅までつながっていました。2003年に、電化されていなかった、可部駅と三段峡駅の間が廃線になりましたが、可部駅の少し奥にあるこの地域では、宅地化も進んでいたため、この区間だけ路線を復活(本来なら電化して残したかったところだったのですが・・)させる動きが起こり、2017年に再度可部~あき亀山間が開業した経緯があります。

あき亀山駅付近を今昔マップで。ここからは急に山間部に。
確かにこの図中だけなら、廃線になるのはもったいないような市街地です。
可部線の電車。結構利用されています。
あき亀山駅前に、亀のオブジェがあります。
駅直結で、広島市立北部医療センター安佐市民病院が開院。

大きな総合病院が、新しくなった駅前にできれば、利用客も増えますね。

あき亀山駅から伸びる、可部線の廃線跡の築堤。
雨がきつくなってきたので、探索は断念。。
ここは、太田川の浸水対策事業の一環で整備されました。
太田川の堤防嵩上げと一体施工されたようです。
(中国地方整備局のHPより転載)

■土石流災害の伝承館へ

そして、次に訪れたのは、可部線を少し広島方向に戻った、梅林(ばいりん)駅。

梅林駅。簡易な屋根と島式ホームのシンプルな駅。
構内踏切が残る、行き違い可能な駅。
昔の私鉄時代を想像させるような古い駅です。
駅舎も何だか味わい深いです。

この駅の近くは、2014年に発生した豪雨による土石流で、甚大な被害が発生した場所。最近その災害伝承館がオープンしたので、行ってきました。

土石流災害が発生し、甚大な被害が出たことを伝えるとともに、今後の土石流発生を食い止める大規模砂防堰堤工事や、今後の災害発生時の避難拠点となる場所を見てきました。

広島市の梅林地区の土砂災害ハザードマップ。
可部線より山側はほとんどが土石流による堆積地です。
土石流が流れ下った斜面。斜面地に民家が立地する町です。
2023年8月に完成した、広島市豪雨災害伝承館。
地域住民が語り部になり、土石流の怖さを教えてくれます。

広島市豪雨災害伝承館では、3Dで土石流の流れる様子が再現できたり、被災当時やその後の復旧・復興に向けた動きを記録する展示があり、被災者が自ら語ってくれています。こちらのHPに、その概要が記載されています。

https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/217623.pdf

伝承館の全景。防災公園としての役割も果たす公園が整備されました。
梅林駅から砂防堰堤を遠望。雨が降っていたので、
堰堤の見学は断念しました。

■セノハチ越えの八本松駅

広島大学への表玄関は西条駅ですが、
たまたま八本松駅からのバスがあったので、乗ることに。

八本松駅は、山陽本線の瀬野~八本松の山越えの区間の拠点として栄えました。この区間が急勾配のため、補助機関車を連結する、「セノハチ越え」で有名な区間です。

今昔マップで確認。昔から変わらない八本松駅。
最近は宅地化も進んでいます。

ここから広島大学へのバス、空いていましたが、実は西条や新幹線の東広島からのバスはとても混雑していたとか。ラッキーな裏道での広大行きでした。広大では忙しく動いていたため、写真を撮ることをわすれていました(笑)。

■酒蔵の町、西条へ

自身の発表など、メインイベントを無事に済ませ、混雑するバスに乗り、西条駅へ。

西条駅周辺は、酒蔵と煙突が目立つ町です。
酒蔵の街自慢のカラーマンホール。
電柱のプレートも、「カモツル」の名前が。マニアックな発見。
そしてこれが、賀茂鶴を造っている酒造会社の酒蔵。
行きませんでしたが、直売所もあるようです。
郵便ポストも何だか素敵な感じでした。
狸のマスコットがいますね。のん兵衛の「のん太」くんだそう。
すぐ近くのお店で、日本酒で乾杯。
料理もお酒もとても美味しかったです。

■終わりに

広島大学での発表を無事にこなしましたが、安佐南区の土石流災害の現場や、西条の酒蔵を見学し、広島の地の恵みや災害の爪痕のことを知ることができました。

次の日は、広島の西の、広島工業大学でのセッションに参加。その前に、今度は宮島を訪れました。そのことを次回書きたいと思います。

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