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だからこそ、あざやかな空の朱色が心に残る。(ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON)

PS5の『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(アーマード・コア6)をクリアした。これまで、『アーマード・コア』シリーズはプレイしたことがなかった。ロボットは無骨だし、なんだか動きが硬そうだし、画面もなんだか暗いし、操作も難しそう。「身体は闘争を求める」といったインターネットミームからも、どことなく「初心者お断り」の雰囲気がしたのだ。

ただまあ、ひさしぶりの新作なのだし、先入観を捨ててプレイしてみよう。そう思って始めてみたらビックリ。過去作はどうだったかわからないが、本作はめちゃくちゃ遊びやすい。

人間のキャラクターに比べれば、ACの動きは鈍重で小回りがきかない。だけど一度スピードに乗れば、戦場を縦横無尽に駆け巡ることができる。無数のミサイルを華麗に避けて、ガトリングを集中させスタッガー状態にし、強力な近接攻撃を叩き込む。1時間ほどプレイすれば、そんなエースパイロットのような動きができるようになる。

ターゲットアシスト、4つの攻撃、ジャンプ、クイックブースト。これだけ覚えれば、あとはなんとかなる。なかでもターゲットアシストがありがたい。どれだけ相手が高速で動いてもしっかり追いかけてくれる。ターゲットを合わせる必要がないから、回避と攻撃のタイミングに集中できるというわけだ。これは英断だなあ。

本作のボスはかなり強く、難易度調整や強力なアイテムなどでの救済措置もない。「死にゲー」とも呼ばれる要素で、同社の『SEKIRO』や『エルデンリング』の影響もあるのだろう。

たしかに、どのボスも強かった。「どうやって勝つんだ!」と何度も天を仰いだ。でも、難しいけど理不尽ではない。大きな行動のあとには必ず隙があるし、有効な武器にも切り替えられる。

何度もやられて、指に攻略法を覚えさせれば、きっと打開できるはず。どのボスもそう信じて挑む。ギリギリでアイビスを倒した深夜には、思わず叫んでしまったよ。難しいけど楽しい。難しいからこそ楽しい。ゲームとプレイヤーの理想的な関係だと思う。

無骨。鈍重。暗い。難しい。やっとたどり着いたエンディングを見ても、遊ぶ前の先入観は覆らなかった。だけど……

キャラクターの顔が一度も出てこないほど無骨。
そこに、むやみに媚びない気高さがある。

ACの動きは基本的には鈍重。
でも、パーツによっては流星のような動きもできる。

画面の印象が暗いのは、いつもは彩度を抑えているから。
だからこそ、あざやかな空の朱色が心に残る。

ボス戦は投げ出したくなるほど難しい。
それでも、作り手を信頼できるから何度だって挑戦できる。

先入観はそのままに、その先の輝きを見せてくれる本作は、まさに名作と称されるべき作品だろう。いいゲームをありがとう。心からそう伝えたい。

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