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資生堂パーラーでパフェを食べたら、進研ゼミを消化した気持ちになった。

パフェは進研ゼミによく似ている。

豪華な果物やお菓子で飾り付けられた頂点から、なにやらよくわからないけど甘いやつで埋められた最下層まで全てが輝いている。見るだけで幸せになり、想像するだけで脳がクリームの世界にとろけていく。

だから、店頭のショーウィンドウやメニューにパフェがあるとついつい頼んでしまう。

運ばれてくると最高に美味しそうで、一瞬で食べれるような気持ちになる。

だけど、いつの間にかその甘さや量の多さが嫌になって、上の方の果物が欠乏し始めると下にあるスポンジとかクリームとかを食べ続けるハメになって…

最初に感じていた全能感はどこへやら、もう食べたくないとまで思っている自分と大量の甘い物体だけが残ることになる。

その姿は、「チラシの漫画を読んで親に頼み込んで進研ゼミを始めたにも関わらず、4ヶ月くらいで宿題や教材に埋もれる小学生」と全く同じであった。

捨てられないパフェへの憧れ

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銀座の大通りに聳え立つ、上品な赤一色に染まった建物。

僕は資生堂パーラーの前に立っていた。

一度でいいから、見た目も味も最高なパフェを食べたい─。

パフェのなかに含まれるレトロ感とか大正昭和の憧れのスイーツ感とかを色々考えた結果、「銀座なら最高のパフェがあるに違いない」という結論に達し、とりあえず建物の見た目が最高だった資生堂パーラーにいくことにしたのだ。

建物の中に入るとお菓子売り場が現れた。バレンタイン間近だからか、チョコレートがずらりと並んでいる。これも美味しそうだが、今日の目的は「最高のパフェ」なので横を通ってエスカレーターの方へ。

上に上がろうとすると、黒服の男性に止められてしまった。

「ただいま満席ですので、少々お待ちいただかなければいけません」

なるほど、そう簡単にはパフェには辿り着けないようだ。整理券をもらい、博品館などをみてパフェを待つ。パフェは子ども時代の憧れみたいなものも内包していると思っているので、おもちゃ屋さんで待つのもまた一興。

叩くと音が鳴るピカチュウのおもちゃで情熱大陸を演奏していると、スマホに順番が来たという通知。黒服の男性に整理券を見せると、エスカレーターに案内してくれた。

エスカレーターは外壁と同じ赤い壁に挟まれていて、これから向かう場所が尋常なところではないことを表現していた。

「ポケモンの世界みたいだ…」

残念なことに、僕の頭に浮かんでいたのはポケモンの四天王に挑む時みたいだという平凡な感想だったが、エスカレーターはそんなことを意に介さず上の階へと僕を運ぶ。

たどり着いた場所は、「めちゃ・オシャレ・空間」だった…(語彙力)

高級感あふれる店内は、例の上品な赤い壁に囲われていて、絨毯やらテーブルに敷かれた白い布やらはホテルのようだった。

店員さんに案内され席に着くと、椅子まで引いてもらえる…やばい、場違い感がすごい。気軽な気持ちで入ってしまったが、もしかしてサービス料10万円とか別に請求されたりしないだろうか…?みたいな気持ちになる。

だが、入ってしまったものは仕方ない。パフェと紅茶を注文することした。

最高のパフェとの邂逅

パフェが来た。

言葉で言い表すよりも写真で見てもらった方がわかりやすいので見ていただきたい。

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おわかりいただけただろうか、ザ・パフェという感じの風貌。

他にもいちごが乗ったパフェはあったのだが、いちごがど真ん中に乗ったこの姿が最高だったので「岐阜県 岐阜市産 “濃姫” のストロベリーパフェ」を選んだ。最高。

だが、見た目に騙されてはいけない。これまでも見た目が最高なパフェには幾度となく出会ってきたが、最後には「進研ゼミを溜める小学生」になってきた。

頼む、今回こそは最高であってくれ…!

パフェを食べるために最適化されたスプーンで掬い上げ、口に運ぶ…

うっっっっま!!!!!

甘いけど少し酸味もあるいちごに、甘いけど甘すぎないアイスやらクリームやらが混ざって最高の味になっている。

下の方のクリーム的なものもよくわからんけど甘くておいしい!最高!

どんどん脳みそが溶けていく。

甘いけど甘くない、いわゆる上品な甘さでいくらでも食べられるため、手が止まらない。

気付けばお皿は空になっていた。

ああ、やっとパフェを最後まで美味しく食べることができた。

全然関係ないはずなのに、進研ゼミを最後まで解けた時の気持ちよさを追体験した気分でもあった。

資生堂パーラーに来てよかった。そしてまた来たい。なんなら今もう一つ食べたい。

まあとにかく文章では表せないくらい最高だった。サービス料10万円も取られなかったし。

だから、また食べに来たい。

頑張った自分へのご褒美として、またあの場所でパフェを食べられるように、少しでも見合うような人間になれるように頑張りたい。

資生堂のパフェには、僕をそう思わせる魅力があった。

初めて見つけた「憧れのパフェ」を胸に、僕は銀座の街へ消えていくのであった。


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