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読書感想文漫画編 『恋のツキ』

音楽やる前は漫画家目指していたくらいには漫画が好きです。

それは活字中毒になった今も変わらず。


というわけで最近見て良かった漫画のレビューを📖


なるべくネタバレ無しになるように書くのでわかりづらさもあるかもですが。



『恋のツキ』新田章

2016年初版だから結構前の作品だったんですね。
どうやらドラマにもなってたようで。


欲望と葛藤が渦巻くアラサー女子の浮気心と日常を生々しく描いた、
といった感じです。

ふうくんという長年の付き合いのマンネリ彼氏がいる31歳の主人公ワコが、15歳の高校一年生イコくんと浮気二股交際に発展します。


と、言う時点でページを閉じる方は多いようにも思いますが笑

実際私が見てる電子書籍サイトでのレビュー、星の数はやや低め。

「ただの淫行やん」
みたいな声も多数笑


しかし私の感想としては

「久しぶりに凄い漫画に出会った」

です。

描いているのは派手さのない一見平凡なアラサー女子の日常なので、終始派手さはないのですよ。
(感情が爆発するようなことはあっても)過激な人も出てこないし。


しかし、とにかく凄いのはその生々しさを描く「技術」

そして「視点」

私は元々(世間一般的に)クズとかゲスとか言われるような人達側の視点のものが好きですが。

浮気がテーマのものなんて大体被害者目線が多かったと思うけど、最近流行り始めてるんですかね?する側の視点で描かれるの。



こちらの作品も「する側」が主人公ですが決して一方的ではなく、各登場人物のあらゆる視点からの複雑な感情の変化や、そこから導かれる展開がしっかり描かれている。

登場人物それぞれに良い部分やダメな部分があり、とても「人間らしさ」を描くのが上手い。
(スラムダンクの井上雄彦先生もキャラに「ダメな部分」を必ず入れて魅力を出すと言ってましたね確か)

「こんなやつおらんやろ」
ってくらい完全悪みたいなクズじゃなくて、みんなそこいらに居そう。


大人は大人特有の、高校生は高校生特有の未熟さが浮き彫りになったりその描き分けも凄くて

だから、登場人物が悪いことやムカつくことをしていても(全員何かしらやらかしている)
アホな事やっとる…と思いつつまあしょうがないかなと嫌いになりきれないというか、迷走している友人や子供たちをヒヤヒヤしながら見守ってる気分になる笑

もう、終始酷いんだけどwどれも納得の展開。

しかし現実世界のようにめちゃくちゃなまま永遠に終わらないわけではなくちゃんと納得してホッと胸を撫で下ろす結末も用意されている。


そのラストも、一見意外に突拍子のないようだけど「良かったね!!」と思えるもので。


そこで一度それまでのストーリーを振り返ってみると

「あの伏線があったからか…!!」

と。


あの人物はここに繋げるために、ラストに意味を持たせるために登場したんだな…という伏線があったのだ…


最後まで見てその凄さが分かった。

あの伏線がなければきっとラストは「??」ってイマイチ感があったかも。

「気付かぬうちに刷り込まれている伏線」

しかし、それに気づける人はどれだけいるか…??

誰か、最後まで読んだ人とアツく語りたいです笑


ずっとハラハライライラの後に「よかったねえええ😭😭😭」ってなったけど、この先はまだ分からないようなぼんやり感も少しだけ残したあたりも最後まで生々しかったです。


もう技術の凄さに感嘆、な作品でした。


まあ浮気にしろモラハラにしろ「する側」の視点って人間観察の視野が広がって面白いですね。


「健気な主人公が恋人のクズ男に性悪女と浮気されて、ポット現れたヒーローに助けられてそいつを成敗してヒーローと結ばれてスカッとするハッピーエンド」

みたいな需要もまだまだあるのだろうけど笑
最近はこの手の視点のものも増えてるように思う。

これまたドラマにもなってる「1122(いい夫婦)」や「あなたがしてくれなくても」あたりもそんな感じかな。
(1122も恋のツキもモーニングか。)


ただ、「何度も読み返したい」かどうかと言ったらちょっとどうかな…

ハラハライライラな感情移入をずっとしてるので疲れます😅

そしてオススメもしません笑

そういえばレビューで「矢沢あいのNANAが好きな人にはオススメ」ってのがあったけど、それは確かにそうかもしれない。

この作者の他のも読んでみたいなー。

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