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【読書感想文】塾講師や家庭教師をする大学生は読んで!『「意味順」式 イラストと図解でパッとわかる英文法図鑑』

いきなり自分語りなのですが、私実は、大学で英語の教員免許を取ったり、塾講師として10年以上働いたりと、結構英語の先生としての経験がございます。なので、英語はそれなりにわかるつもりです。(文法とかね)

そんな塾講師が「授業で生徒に話したいこと」がぎっちり詰まっているように感じた本がこちら。

『「意味順」式 イラストと図解でパッとわかる英文法図鑑』

著者は田地野彰。
これ、1塾講師としてめちゃくちゃおすすめです!特に、塾などでバイトをしようと考える「ちょっと中学英語が曖昧になってきたな……」「高校英語、実はそんなに得意じゃなくて……」な、大学生さん、必見です。

こちらの本は冒頭に「主に英語を学び直したい大人向け」と書かれてはいます。
しかしその実、学校の教科書に載せておいてほしかった!と思うくらい、文法のイメージが、イラストつきでめちゃくちゃわかりやすく書かれているので、英語を学校で学んでいる中高生にも絶対に役立つものがあります。

例えば、
「感情は『受け取る』ものだから、受動態(~される)!」というこのフレーズ。

interesting(おもしろい)と、interested(興味がある)の違いを紹介するページにあるのですが、私はすごく惹かれました。

〈ちょっと英語の解説をば。〉
元々、interestは(興味を起こさせる)という意味なので
「物」が人の興味をひけば
→This book is interesting.
(この本はおもしろい)
「人」が興味をひかれれば
→I am interested in this book.
(私はこの本に興味がある)
と使い方が変わるのです。

……こう書くとなかなか面倒くさそうに見えますね。しかし、上記の一文なら「なるほどね!」とすぐに受け入れることができます。このように、直感的な理解を助けるスピーティな解説が続くので、小難しい前提を気にせずサクサク読めるのです。

そのためこの本、何度でも言いますが、塾や家庭教師のアルバイトをする学生さんに本当におすすめしたいんです。生徒にこの本の内容を教えられたら、生徒の理解が深まって英語の学びが楽しくなることは間違いないですから!
それに、先生として知っておきたい知識も詰まっているんです。例えば進行形のingと、動名詞のingって違うんですよ……とか、こういうの質問されたら、困りません?笑

ちなみに、中学生本人が学校のテスト勉強用とかに使うと、高校生の学ぶ範囲も混ざっているのでちょっと使いづらいかもしれません。……が、それでも簡潔な説明ばかりなので、さらっと眺めるだけでも英文法の理解度は大きく変わるはずです!

文による説明部分はいたってシンプルに「○○はこういうこと」とだけ書いているのでサラッと読み流すのにもいいでしょう。単純明快であっさりしてるので、子供へ説明するときにも役立ちます。「不定詞の名詞的用法が~」とか、文法の説明にアレルギー反応が出る人ほど、効果抜群なのではないでしょうか。

ここから、本の構成とおすすめポイントについて詳しく掘り下げていきます。


おすすめポイント①:とにかく語順にうるさい!

うるさい!なんて書くと乱暴ですが、本当に語順についてはしつこいくらいに出てきます。
タイトルにあるとおり、文法ごとに解説ページがあるのですが、例文が常に「語順」を確認しながら出てくるのです。

そのため、文法ごとに英文を見ながら文構成まで把握できるので、基本となる語順が絶対に抜け落ちない。英語がどれだけ苦手な人でも「あー……さっき見たけどなんだったっけ」なんて言い訳ができないようになっているのです。

最初からとにかく文の構成、英文はこのように出来ている、という全体像や分類ごとの説明を細かく解説してくれるので「どの文法を学ぼうとも、この基本だけは忘れるんじゃないぞ!」という熱い想いを感じます。

実際、語順は全ての英文に共通するルールなので、文型などは序盤に知っておきたい知識です。しっかり土台を固めてから学んでいける、易しいながらも英語学習者のための1冊と言えるでしょう。

おすすめポイント②:イラストでイメージしやすい

イラストで文法のイメージがこれでもかと書かれているので、文法の使い方がとてもわかりやすいです。

各文法ごとに
①その文法の持つイメージ
②例文による解説
③どんな場合にその文法が使えるのか
④文法特有のポイント

という順で出てくるので、その文法で一番知っておきたい情報が厳選されています。この文法のページだけ見ておきたい、な人に対してもやはり語順ガイドは大盛りなので、ピンポイントな文法学習だってお手の物です。

イラストだらけですが、真面目な説明が全くないわけでもないので、英語の先生が話しておきたい「こういう文の違いに注意してね」という部分もきちんと、抜かりなく載っております。堅苦しいお勉強より、手っ取り早く英語を学びたい方におすすめです。

感想

英語を学び直したい人向け、という意味では非常に有意義なこの1冊。
ただ、あくまでも英語の基本的な文法知識を網羅した本ですから、私みたいにもっと知識を掘り下げたい!誰も知らなさそうなニッチな英文法の情報を!なんてタイプには向きませんでした。(前置詞のイメージとかもっと学びたかったんですが、この辺りは割と一般的なテキストと大差ないかもしれないです)

あと、実践的な英会話が出来るように学びたい、という方にも向かないと思われます。
実践的な英会話なら、実際に使うフレーズをそのまま丸暗記していく方が絶対役に立つので。もちろん、実践的な英会話に英文法がまるで役に立たない、というわけではありません。土台を固めて英語を学ぶのは大切なことです。
が、目的が明確に「英会話」なのであれば、文法より例文で学ぶ方が有意義だと私は思います。

あくまでも「英語とはどういうルールを持っているのか」や「英文法を学び直したい」という方に向けた、英語の基本のルールブック、ですね。昔は英語が苦手だった……という人が、基礎基本を学び直すのにはとても重宝するでしょう。簡単・手軽に知識を頭に放り込んでいきたい方には、絶対相性がいい本だと言えます。

私的にはやはり、塾講師や家庭教師として英語を教えることになる、大学生の方などへおすすめしたい。ちょっと曖昧になってきた英文法を、わかりやすく教えるために学び直すのに、最適だと思います。

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