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【読書感想文】絶対に読み返したくなる『早く読めて、忘れない、思考力が深まる「紙1枚!」読書法』

読書感想文なんてものを、大人になった今になってようやく楽しんでいる。

これまで私は読書というものとほとんど全く縁がなく「漫画なら楽しく読めるのに」くらいに思っていました。読書とは頭のいい人が、本と共にゆったりした有意義な時間を過ごすこと、というイメージすらあったほどです。

以前『52ヘルツのクジラたち』という小説の感想を初めて書きました。
そのときに「本当の声なき声とは」とタイトルを意気揚々と書いた覚えがあります。この視点はちょっと人とは違うんじゃない?フフフ、的な(笑)

学生の頃に受けた国語の授業や、そのときに読んだ物語に読み方とは、絶対に違った感想を持てた、と思ったんです。ちなみにURLはこちら。

この特殊な読み方と(自分が)感じるような、自分の心を言語化するような読み方がもっと出来やしないかと、読書法にまつわる本を探していたときに、この本に出会いました。

『早く読めて、忘れない、思考力が深まる「紙1枚!」読書法』

著者は浅田すぐる。
最初に懺悔します。こちらの本、タイトルを見たとき私、残念な期待をしてしまっていました。「紙1枚に感想がまとめられるなら、自分の読書感想文をもっと簡単に洗練させたり、たくさん読めるようになるのでは!?」と。

実態を結論から紹介すると、真逆です。
タイトル通り「早く読めて、忘れない、思考力が深まる」読み方をするために「面倒くさい、じっくりとした」読み方をまずはしっかり身につけなさいね、という本です。
いやあ、めちゃくちゃ面白かったです。

先に書きましたが私はずっと、読書とは頭のいい人がゆったりした有意義な時間を過ごすイメージを持っていました。今もその読み方はできなくて、読んでる最中にページをぺらっと戻ったり、どんぴしゃな文章に会うとニヤニヤしたり声に出して笑ったり、なんなら人に話したくなって、人に知識を披露するその妄想がおっ始まるような奴です。図書館にいたら間違いなく追い出されます。

これを読んでいるときも終始、にやける口元を押さえたり、うんうん頷いたりと不審者ムーブが止まりませんでした。本当に面白い。(あ、ちゃんと自室で読みましたよ。)
読書好きな人でも、私のような読書初心者の民でも、絶対に引き込まれる一冊だと思います。

冷めやらぬ興奮もそこそこに、本の内容を紹介させてください。
私の拙い感想文では申し訳ないくらい、面白さが伝わらないので本当に、本当に読んでほしい。そして私のようにぜひ、ニヤニヤしてほしい。笑


1.便利が読書の敵になった時代

今の若い人は本を読まないから……なんて話は古今東西、どこにでもあるかと思います。
けれど、今の時代は娯楽ですら「可処分時間の奪い合い」のような状態で、先に書いたようなゆったり読書を楽しむなんて、なかなか難しいと思います。

本のプロローグでも、こんな話があります。
「どこかの誰かが解説」してくれるから、読書力が現状のままでも何とかなる時代だと。

YouTubeでもそうですが、どこかの有名な誰かが本や映画の紹介をしたり解説をしたり、ニュースだって図式解説で簡単に読めるようなアプリがあったりします。大人だって、映画を2倍速で見る!なんて話があるのに、子供に動画より本を読め、なんて無茶な話だと思わされます。

じゃあ、このまま時代に流されて、読書から遠ざかっていくしかないのか。
そんなことはありません。

そんな時代だからこそ「早く読めて、忘れない、思考力が深まる」読書ができることは大きな力になるし、自分の人生やキャリアなんかにも役立てることができる、とこの本は言います。そしてその読み方を、しっかり紹介してくれているのです。

そんな読書の方法については、すみません、ぜひ本を読んで知ってください。
ここで“やり方”だけ話すことは、この本の本当の価値を台無しにしてしまう行為に他なりません。なぜこの本の読み方が有意義なのかだけでなく、その読み方であなたがどんな力を身につけられるのか、それがどれほど有意義なことなのか。

あなたの人生を、あなたの意思で拡張し、良いものにアップデートするためのテクニックがこれでもかと詰め込まれている本なので、こんなやかましい感想の1ページで知った気になってほしくないのです。あくまでも私は、この本がどれほど面白いかを紹介したいのです。

……ホント、やかましいだけの感想文ですみません。

2.とびつき思考に注意!

先ほど挙げたように、今は「どこかの有名な誰かが解説してくれるから、自分で本を読まなくてもいい」時代になっています。しかし、これの落とし穴は、自分で考えないことにあります。

「この本が言いたいことはズバリ、○○ということである!」とか動画のサムネにあったら、もうそれだけで「ああそうなのか」と、その本の正体を知った気になる。これが続くと、自分の言葉で考えて言語化する習慣が奪われるため、自分はどう思うか、なんて力が失われてしまうのです。これがこの本で言うところの「とびつき思考(fast思考)」です。

……。
ただですね。今ここで「このとびつき思考というのは危険なので、考える思考を身につけるべきなんです!」なんて紹介をしてしまうのもまた、とびつき思考に他ならなくてですね……。実際、この本でも「じっくり思考を身につけてこそ、fast思考も役立てられる」と後半にしっかり書いてあって、とびつき思考は必ずしも悪というわけではなくて……。

……なんて話をし始めると話がどんどん膨れ上がってしまうので、やっぱりこの本は本で読んでほしい!

本の中では「問い」がいくつか出てきます。
とびつき思考で楽な選択ばかりしていたらどうなってしまうのか。自分なりの見解を考えてみてください。と、実際のページに書いてあったりします。

私これ「どうせすぐ答えが次のページにあるんでしょう?」とすぐに隣に視線を移しました。そうしたら“あなたは実際、どの程度深く考えて、このページに進んでくれたでしょうか?”とありまして……。いやほんと、申し訳ございませんでした。笑

こんな風に、実践的にどうやればいいのか教えてくれるばかりか、本の中でも体験コーナーを用意してくれている本なんです。ぜひぜひ、次にこの本を読む方にはじっくり思考の経験を積んでいただきたい。

3.自分のために本を読む

このタイトルは「それはそう、というか、そうでしかなくない?」と思われそうですが、少しだけ話をさせてください。

本を早く読むための方法として、この章では「本を読む目的を設定する」とあります。
現代ではとびつき思考になりやすい、なので考えながら読書するというのはすごく大事、という点について紹介しました。そしてそのためには、本を読む目的を設定しておくとよい、というのがこの章。

端的に言えば「この本を読んで何が知りたいのか」ですね。

そして、自分のために本を読む、と書きましたがこれは「自分の目的のために本を読む」と言い換えることができます。文章の字面通りに読み取る、定期テストの読解力を見るような読み方ではなく、作者の意図はこうだ!と誰かの感想を鵜呑みにしたりするのでもなく、または書き手の意図を正しく掴もうとするのでもなく。

あなたが本から知りたいと思っている答えを、自分の好きなように解釈する。本の内容は、読書の目的達成のために活用する。

その読み方をするために、目的を決める・目的達成のために文を読む、といった、自分が主体となって読書することの重要性が、この章には書かれています。

先に書いた『52ヘルツのクジラたち』の感想で、私なりの考えを書いた、という話をしました。この小説を読み始めるときに、目的という目的はなかったですが、読むことで「自分の中の気づき」に出会うことができたのは、自分の中の無意識の目的だったのかなと、今は思います。

4.最後に

まだまだ書き足りないのですが、書けば書くほど「違う、そうじゃないんだ……もっとこう、面白くて、なるほどと頷けるところがたくさんあって……!」と、己の文の不甲斐なさを痛感するばかりなので、一度ここで区切りたいと思います。

紙1枚の読書法、とありますが、道具が一つなだけであってその使い方はバリエーション豊かです。あなたがどう読むかで、その1枚の紙が多様な道具となって協力してくれます。
読書法に留まらず、本の選び方まで紹介されています。著者オススメの本も載っているので、気になる本がどんどん増えていくことでしょう。

そして、読書がキャリアに役立つ理由まで、力強い根拠と共にしっかり書かれています。ギブアンドテイクの思考についてや、他者貢献といった心理学でも見たような、人生の大切なキーワードとなるフレーズもあって、私はとにかく興奮しっぱなしでした。

1ミリでもこの本の魅力が、あるいは私の興奮っぷりが伝わればいいなと思うばかりです。笑

さて、この文章はその紙1枚の読書法とやらを使えたのかい?と聞かれれば……すみません、ただただ大興奮で書き散らかしただけの代物です。なので私はこれから、読書二周目に突入して次こそは、この読書法を活用してみたいと思っています。

この読書法の実践も、絶対に有意義な読書になることは違いないのですが、それだけなくこの本を読むことそのものすら、私にとってとても有意義なものでした。学びの本ではありますが、ああ、おもしろかった。読書家が「俺の意見が正しい!」って周りに押しつけるのを「マウンティング・ゴリラ」とばっさり言い切ったり……ユーモアもたっぷりな一冊です。

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