論語に学ぶ生き方⑤
こんにちは。しいらと申します。
今回も論語から、特に生徒に話したいなぁと感じた言葉を紹介したいと思います。
1.子曰わく、
憤せずんば啓せず。悱せずんば発せず。
一隅を挙げてこれに示し、三隅を以て反えらざれば、則ち復たせざるなり。
現代語訳は、こちら。
先生が言われた。
「自分を奮い立たせないのなら、教えることはしない。言い悩んでいるのでなければ、教えることはしない。
(4隅ある物事のうち)1つを示したら、他の3つは自分で考えるようでなければ、二度と教えることはしない。」
ちょっと厳しいような気もしますが、ざっくりまとめると
「学びたい、学ぼうというエネルギーを持たない者に教えても意味は無い」
と孔子は断言しています。
この言葉を調べるにあたって、“発憤”という言葉に出会いました。
あることに刺激を受けて気持ちをふるいたたせたり、やる気を起こすこと、と辞書にはあります。分かりたい、もっと知りたい、という意欲やそのエネルギーの重要性を感じます。
「一隅を挙げて三隅を以て反えらざる」も、知識を踏まえて考えたり、次を推測しようとしなければ、それはまだ教わる基準に達していないことを示します。教えを受けるのにも素地が重要、ということですね。
これは正直、勉強スタイルが確立していない、もしくはまだ弱い生徒さんに対し、ひしひしと感じる部分があります。「たし算を学んだなら、四則計算を予想せよ!」とは言いませんが、基礎を踏まえて応用を考える、というスタイルは、身につけなければのれんに腕押し状態と言っても過言ではありません。
出題形式が変わった瞬間、それまで解いてきた問題の単元を忘れて「わからない!」とフリーズしてしまう。
解説をする中で、自分の持っている知識と繋がるところまで導いてもらうまで、それが自分の知識で解ける問題だと気づけない。
そもそも、その問題形式で習っていないというだけなのに、自分で解けるかもと想像もしていない。ここまで思考が停止しているとなると、ゆゆしき事態です。
2.「習ってないからわかりません」
授業の中で、生徒さんの分からない原因を探している途中、こんな台詞が飛び出したことがあります。
「これはまだ習ってないのでわかりません」
全く新しい単元の、第1章ならこの台詞も分かります。けれど、今さっきやった単元の続きの話でこれを言われると、少しばかりガックリしてしまいます。
自分でもわかるかも?と自分の知識に自信を持たず、チャレンジしようともしないでいると、与えられた知識をそのまま出力するばかりになり、思考力がまるで身につきません。
勉強が苦手な生徒さんの多くは、自分の力で解けるとは思っていない子だったりします。
教えられれば解けるけど、自分で何を使って解けば良いかを考えるのが苦手だったり、テキストにあるちょっと小難しく説明する解説が苦手だったり。
こういう場合におおよそ「勉強の仕方がわからない」と言うのだと思います。
例題に途中式があるのを真似してごらん、とか、例文の単語が変わった部分に注目してごらん、とできるだけ自分で考えてもらえるようなヒントを出しても、苦手過ぎると「解けない・分からない」と手が止まるのです。
こういう生徒さんの中には、間違うことを極端に嫌っている場合があります。
間違いが苦手、という気持ちは私もよくわかります。
だからといって「ほら先生、私がわかってないんだからさっさと解き方を教えなさいな」という態度で挑まれては、かえってその子の成長を止めてしまいます。先生としての仕事をしなさい、と思われるかもしれませんが、生徒の考える時間を奪うわけにもいかず、悩ましいところなのです。
なので私は、小さなミスなら「惜しいな!」とか、間違った原因を探して「なるほどね」と、一緒に学んでいく体で話します。間違い=成長のためのステップ、と捉えてくれれば、間違いへの抵抗が弱くなる生徒さんもいるからです。
間違ったっていいんです。
どうか間違うことを恐れず、あーでもないこーでもない、と悩んでほしいんです。
3.イヤな経験に負けないでほしい
間違う=「なんでこんなものもわからないの!」と怒られる。
そんな経験のある方もいるかもしれません。わからない、と投げ出す生徒さんの中には、こんなことを言われたせいで、本当に嫌気がさしていることもあります。これはもう、先生の実力不足です。不徳の致すところです。
この先生の話を聞けば解けるぞ、この先生の説明なら理解できるぞ、と感じてもらえれば、高確率で生徒さんの態度は変わります。「勉強そのものがイヤ」という生徒さんはほとんどいません。
そして、わからないところを質問できる生徒さんは総じて成長します。
「わからない!」と投げ出そうとする生徒はなかなか知識が定着するまで時間がかかります。やはりこれも、勉強への熱意やエネルギー量の違いだと思います。
このエネルギーは、どこにそのきっかけがあるかはわかりません。人それぞれです。
漫画やゲームがきっかけで楽しくなる人もいれば、大人になってから気づくことだってあるでしょう。面白くなくても、頑張っている生徒さんは偉いです。そんな生徒さんにとって、どうか勉強が面白いものになって、エネルギーいっぱいに学んでもらえたら、と願っています。
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