販促チラシの、産みの苦しみ。
タナカは、とある食品販売系会社の事務員。
この時期は「おせち」とか「お歳暮」とか
もろもろ重なって繁忙期だ。
残業続きで毎日へとんへとん。
忙しいとは心を亡くすと書くくらいだから
タナカの心は今、半分くらいなくなっている
(と、自分で思っている。)
そんなタナカの仕事のうちのひとつ。
それはお客さまに向けて
「おすすめ商品」の
販売促進のチラシを作ること。
社員向けは、まぁテキトーに1品選んで
ざざっとホワイトボードに描けば済む。
(テキトーとはいえそれなりに考えてはいる)
ムズカシイのが、やっぱり
お客様向けの「チラシ」ですわ。
〇〇のおすすめを〇〇日から配付するから
〇〇日までに仕上げてね、
と、なんとなく時間の猶予があるのが
通常の流れなんだけど、
年末商戦が始まるとそうもいかない。
来週配りたいから、今日作って!!!
というのが起きたりするのだ。
そもそも、サラサラと絵が描けるわけでもないし
(だいたい、ネットでイメージをパクるタイプ)
フンフンとレタリングができるわけでもない。
テキトウは得意だがきっちりが苦手で
そのくせ、ちょっとズレたり
自分が気に入らないと
紙をぐしゃぐしゃ丸めて
ポーイとしてしまう、
テキトウでズボラなくせに完璧主義という
なんともメンドクサイ特性の
持ち主なもんで。
そんなタナカに
「今日の今日作って!」
は、とてつもない苦行なのだ。
あぁ、それなのに。
それは今日やってきた。
突然に。
今日は水曜日。
夕方までに書き上げて
本部にチェックしてもらって
早くて木曜日夕方にOK出たとしても
印刷依頼して月曜日から配付間に合う??
いや、わかるよ、わかる。
年末だもんね?
数の子、売らなきゃね?
でもさ、それってさ、この時期は必ず
おすすめしなきゃならない商品だし
営業さんだってそれわかってるし
わざわざチラシ作らなくてもいいんじゃね?
って心の中で思ったけどさ、
依頼元の若人(販売促進主幹主任)が
子犬のような目で訴えるもんだから
おばちゃんとしては
「せぃ!まかせときんしゃい!!」
って、言うしかなかった・・・・
そう、言うしかなかったんだよ・・・
制限時間は2時間。
頭は真っ白。
とりあえず、描けるところから
描いていくしかない。
そのうち営業さんたちも
どんどん帰所しだして
タナカサン、これは??
タナカサン、これチェックして!!
とか言ってくる。
イーーーーーーーー!!
もう時間がぁぁぁぁぁ!!
その時、頭の中で何かが切れる音がした。
私は持っていたペンを放り出し
しょっぱい顔をして
明後日の方向を見ていた。
帰所していた隣の席のタカシくんが
「どうしました?」と聞いてきた。
私は
「モウ、チラシ、カケナイ」と答えた。
タカシくんは
「いっつも、サラサラって描いてて
すごいなーって思ってましたけど
結構大変なんスね」と言った。
「そうよ~~~、大変なのよ~~
なかなか産まれないのよ~~~
う、産ませてよ・・・」
突然、キャラ変した私に
苦笑いのタカシくん。
そして、
「お疲れっした!!」と
私を放置して退勤した。
(オイ、なんか言えや!!
せめて、ツッコミ入れろや!!)
・・・・・
結局、なんとか仕上げたものの
やっつけ感は否めなくて
まったく気に入らないチラシ。
あぁ、それでも頑張ったから
許して欲しい。
目標点数まで売り上がらなくても
どうか、なにとぞ・・・・
ポップクリエイター養成の通信教育
頑張るから!
教材はあるけど
全然手を付ける時間がなくて
期間中に終わるかどうかわからないけど
来年はもっとちゃんとしたの
描けるようになるからぁぁぁ!!
時間がかかる仕事を
テキパキと仕上げるには
自分の引き出し(技)を
増やすしかないのよねぇ・・・・
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