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「ゴスペル日記 17」~ソウルフード~

ゴスペル日記 17 ~ソウルフード~


毎週日曜日はゴスペルシンガー(教会ではミュージックミニスターと呼ぶ)
として、教会で歌う。
週毎にクワイヤ(ゴスペル聖歌隊)の種類が違い、歌う曲はスタンダード曲~全米のゴスペルヒット曲、そしてトラディショナル過ぎて謎な曲まで、年間約200曲と多数。

第一&第三日曜日はメインクワイヤ(キッズと年配者は含まない)

第二はヤングアダルトクワイヤ(キッズ&ティーン)

第四はメンズクワイヤ(おっちゃん〜おじいちゃんシンガーズ)

そして

年に数回だけある第五日曜日はエンジェルクワイヤ(おばあちゃまのみ)

私の出番は第一&第三は当然だが、第二&第四にも出ていた。

第二はティーンに交じってかなり下にさばを読み、現代のゴスペルを。

第四はかなり背伸びをして、もはや作者不明なほど古い(100年前とかの)トラディショナルゴスペル

なので、
ほぼ全ての種類のゴスペル曲に触れることができたのは、忙しかったが幸せだった。

そして毎月、第一日曜日は午前中の教会のサービスが終わって、
午後の部に移る前に、
みんなで教会の敷地の一画にあるキッチンのある部屋で昼食を共にする。 

そこで出されるのがソウルフードだ。

正直、
最初その日までソウルフードというものは知らなかった。

つまり、黒人食である。

だが、その日を境に大好物が一つ増えることになる。

ここで言うソウルフードとは諸説あるが、元々は奴隷制時代の白人の食べ残しである。

本当は決しておいしいものではなかったはず。

でも現在は南部料理として確立していてとても食べやすい。
というかマジでうまいものが多いと思った。

マカロニチーズ(マカロニを茹でてチェダーチーズとまぜてトロトロにしたもの)
グリッツ(コーンの粉で作る、お粥のもっと水分がないカンジのものに塩コショウorバター)
ガンボ(マメ、米、ハーブ、などが入ったスープ、激ウマ!)
本当に硬いカリカリベーコン&スクランブルエッグ
ビスケット(ケンタにあるやつのほうね)
チトリングス(豚の腸の煮込み。これは臭くてあまり食べれなかった)
グリーンズ(サラダではなく青菜を似たもの、ちょっと苦い)
ナマズのフライ(スパイシーな衣をつけて揚げる)
 そして極め付けはピーチカブラというデザート(桃を砂糖水で煮たもの?甘党にはタマラナイ)
それぞれ見た目はあまり美しくはないがとてもおいしかった。

食を共にすると人と人は近づくものである。
そして、貧乏生活を続けていた私にとってそれはむしろご馳走であった。

ただ、メンバーの何人かがやっていた、ビスケットにジャムを塗ってベーコンを挟むのは最後までわからなかった笑


ボブ(アメリカ生活で父親のような存在)に
「昔、我々が貧しかった頃の気持ちを忘れないためにみんなで食べるのだ」
と教わった。

言い方はやわらかかったが目の奥がとても悲しそうだった。

本来は幸せとは言えない料理なのだなと、そのときはじめて思った。

そして、少しでも彼等に近づきたい、
そう思いながらソウルフードをほお張った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく

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