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ジン大国:フィリピンは蒸溜酒大国だった!? 《ジン⑰:最終章》

今回をもって、書き始めてしまったら延々と終わらなくなってしまった「ジン」の話題を、一旦終了としたいと思います。
(やっとウイスキーの話に戻れるぜい!)



■世界No.1ジン ヒネブラ・サンミゲル

前回記事で、ご紹介した内容です。

・世界で一番販売数量が多いジン大国は、ジンの本場イギリスでもなく、カクテルの本場アメリカでもなく、意外なことにフィリピンである。

・そのフィリピンで最も売れているジン銘柄は、ヒネブラ・サンミゲル。 当然世界No.1販売量を誇るブランドで、2位以下を引き離したブッち切りの販売数量である。

ジンGINが一番飲まれている国は? 《ジン⑯》 | 記事編集 | note

今回は、そのフィリピンのお酒事情を深掘りしてみたいと思います。


■フィリピンのジン事情

まずは、フィリピンのジン事情です。

ヒネブラ・サンミゲルに代表されるフィリピンジンは、いわゆるエコノミークラス(=いわば安酒)の扱いであり、「酔うために飲む」といった飲まれ方をしています。

酒質的にも、洗練されているとは言い難く、その味わいと酔いっぷりから、現地では自虐的に「悪魔の酒」と呼ぶこともあるそうです。

そのため、製法やボタニカルについてのストーリー性がアピールされることは、ほとんどありません。

フィリピンのジン市場では、国産ブランドがコスパ的に好まれて飲まれていますが、世界的なブランド(輸入ブランド)では「ギルビー」が良く飲まれているそうです。
ギルビーの年間生産量の9割以上がフィリピンで消費されているとも噂されています。

それにしても、ジンの飲みっぷりが、半端じゃないですね、フィリピンの人々!


■実は

フィリピンには、世界No.1ブランデーメーカーもあるんです!

こちら↓が、世界の蒸溜酒の販売量ランキングです。
(前回記事と同様に、イギリスのDrinks International社が毎年公開している、蒸溜酒の販売量データをまとめている日本語サイトより引用させていただきます。)

アルコログ /
図解■ 蒸留酒の販売量ランキング【世界】
(2021年)

ブランデーで唯一、蒸留酒ランキング世界トップ10入りをしている、7位:エンペラドールが、そのフィリピン産世界No.1ブランデーです!

ジンでも、ブランデーでも、世界No.1売上のブランドを持つフィリピン!!

飲みすぎ注意! 健康には気を付けてください!!

ちなみに、エンペラドール社は、ホワイト&マッカイ社を買収しているので、スコッチ蒸溜所も5ケ所(モルト蒸溜所4、グレーン蒸溜所1)を持つ、スコッチの大手メーカーでもあります。


■実は実は

フィリピンには、世界No.1ラムメーカーもあるんです!

7位:エンペラドール(ブランデー)に僅差で優っている、6位:タンデュアイ(ラム)がそれです。

もう一度言います。
フィリピンの方々、飲みすぎにはくれぐれもお気をつけを!


■なかなか面白い蒸留酒ランキング

先ほど引用したランキングは販売量のラインキングなので、売上金額ではないことを断っておきますが、顔ぶれを見るとかなり面白いです。

まず、1位:ジンロ!
売上数量も、2位を突き放して、圧倒的1位!
その大半が韓国国内で飲まれているということなので、「どんだけ韓国の人はジンロを飲むの!?」という話です。

2位は、フィリピン産ジンのヒネブラ・サンミゲル
ジンからは唯一のトップ10入り。

3位ほかで、インディアン・ウイスキーが4銘柄。
これはどれも地元で飲まれる安いウイスキーです。
5大ウイスキーで1位の販売量を誇るジョニーウォーカーが、1,920万ケースですので、インディアン・ウイスキーの圧倒的ボリュームがわかるというものです!
(蒸留酒3位で、ウイスキー1位の販売量:マクドーウェルズNo.1は、3,010万ケースの販売量!)

6位:タンデュアイ(ラム)7位:エンペラドール(ブランデー)は、前述の通り、フィリピン産で、現地で消費されるエコノミー酒。

いわゆるインターナショナル・ブランドで、トップ10入りするのは、

4位:  スミノフ(ウォッカ)
10位:バカルディ(ラム)

の2銘柄のみとなります。

こう見てみると、地元酒って、販売量の面から見ると、超強いですね。

ちなみに、スミノフは蒸溜酒の世界最大手ディアジオ社が所有するブランドです。
ディアジオのスコッチ蒸溜所の保有数は、断然のトップです。

一方でバカルディ社も、スコッチのモルト蒸溜所を5つ保有する、スコッチウイスキーの大手メーカーです。


■そうはいうものの

販売の数量を見た場合は、「地元の安いお酒」が上位にランキングされるケースが多いとお伝えしましたが、これは時代により変わりゆくものです。

発展途上国の人々の所得が増えると、消費のトレンドは「よりストーリー性があるプレミアムなお酒」へ移行します。

そういう意味では、フィリピンでの今後のトレンド変化に注目したいところです!

フィリピンは、「ジン」「ラム」「ブランデー」で世界No.1販売量を誇るブランドを持っています。

その中のほんの数%でも、プレミアムな商品を求めて移行したとしたら、とんでもない『プレミアムな蒸溜酒市場』が、そこに誕生することになります。

なんか、わくわくしますね!


■このように

フィリピンにおけるジン(from スペイン)のように、

植民地化した本国からの文化が持ち込まれる。

という話はよくあって、イギリス東インド会社のあったインドでも、古くからインド産ジンが製造されています。

そして、インド産ウイスキーも古くから製造されています。

このインド産ウイスキーの販売量が、とにかく半端じゃないんです!!

次回は、インドのウイスキー市場について解説します!

(やっとジンの話題が、一旦終了! 皆様、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!!)

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