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とにかく実直! イチローズモルトの『バッチナンバー』

■イチローズモルトのすごいところ

引き続き、私が思う「肥土伊知郎さん=秩父蒸溜所=イチローズモルト」のすごいところについてです。
今回は、「とにかく実直」=『バッチナンバー』についてです。

・2008年に蒸溜開始
・ウイスキー氷河期に自らBAR回りで営業
・つくり方が基本に忠実かつ超本格
・クラフトならではの斬新な発想、スピード感ある実現
・ハンパないウイスキー愛
・とにかく実直


■ウイスキーはブレンドするもの!

ブレンディッド・ウイスキーはもちろん、シングルモルト・ウイスキーであっても「ウイスキー」というものは、「シングル・カスク=1つの樽から」でない限り、複数の樽の原酒をブレンドして商品化します。

 ▽詳しくは▽
シングルモルトウイスキーは、原酒を混ぜ合わせてつくります!|チャーリー / ウイスキー日記|note

ブレンドをして「狙った味わい」に仕上げるわけですが、ウイスキー原酒は1樽1樽で味わいが異なるため、「完全に同じ味わい」になることはないです。
つまりブレンドによって、「ここからここまでの味わいの範囲」におさめるわけです。

そのため、ブレンドの度に、精密なレベルで言えば「違った味わい」の商品ができあがります。
ただ、普通に飲んでいれば「ほぼわからないレベル」のは味わいの差だとは思います。


■同じ商品でも、時代とともに味わいは少しずつ変えている!

商品化されるウイスキーの「味わいの差」については、ブレンド毎の「誤差」といった味わいの違いもあれば、味わいの「マイナーチェンジ」で、メーカー側が意図的に味わいを変えていることもあります。

これはビールでも、ウイスキーでも行われることで、「消費者が求める味わい」も時代とともに変化しますし、「味わいのトレンド」というものもあります。

あまり大きく味わいを変えてしまっては、「もはや別商品」ということになりますから、あくまで「その商品の骨格となる味わい」は残しながら、枝葉となる部分を変更するということになります、

そして、この「味わいの変更」は、「リニューアルして美味しくなりました!」とメーカー側から発表される場合と、マイナーチェンジのため「敢えては発表しない」場合があります。

ちなみに、「敢えては発表しない」場合のマイナーチェンジだと、最初に気がつくのはその商品のヘビーユーザー=愛飲者さんです。
何年間も、毎日同じ商品を飲んでいるので、その味わいが「舌」と「脳」に焼き付いているので、少しの味の変化にも「あれ? ちょっといつもと違うぞ!」と敏感に気がつくのです。


■スモール・バッチとは?

話は変わりますが、スモール・バッチというウイスキー用語をご存じでしょうか?
これはもともとバーボンで使われてきた概念で、例えば「ノブクリーク スモール・バッチ」というものがあります。

 ▽サントリーHP▽
製品紹介 サントリーウイスキー ウイスキー・オン・ザ・ウェブ (suntory.co.jp)

スモール = SMALL = 小さい
バッチ  = BATCH = ひとくくり

なので、「小さな・ひとくくり」ということです。

具体的には、ウイスキー原酒をブレンドする際に、「選りすぐりの少数の樽からブレンドしました!」ということです。

バーボンは、スコッチと比べ1蒸溜所あたりの生産量が大きく、つくり方もダイナミック!
バーボンは製品化する際に、スコッチと比べかなり多くの樽を、豪快にブレンドするそうなので、このような「こだわりのスモール・バッチ」という商品が誕生したのだと思います。

スモール・バッチは、今ではスコッチ・ウイスキーでも使われる用語となっています。


■《本題》イチローズモルトのバッチナンバー記載!

まず、イチローズモルト・ホワイトラベルの裏貼り写真を見て下さい。

このラベルの左下の部分に、唐突に「813」と記載されています。

これは、

「813回目のバッチ」でブレンドされたホワイトラベルです!

という意味なのです!

もう少しわかりやすくいうと、813回目にブレンドしたホワイトラベルということです。
この813回目の商品が全て瓶詰めされて出荷されたら、次の814回目のブレンドを行うこととなります。

この813は「バッチナンバー」とか「ロットナンバー」と呼ばれています。

前回までの記事でも「イチローズモルトの原酒の情報開示はすごい!」と書いてきましたが、この「バッチナンバー」の記載は、世界を探しても、なかなかやっているメーカーはいないと思います。

我々ウイスキー愛好家としては「100番までの味わいはこうだったけど、500番以降はこういう味わいがなって来ていますよね」といったような会話ができますので、嬉しい限りです。

また、ホワイトラベルはイチローズモルトの中で一番安いレンジのものですが、将来的に「バッチナンバー〇〇〇が美味しかった!」となれば、一気に希少性が高まります。
これはマーケティングや、ブレンディングの観点からも有効と思います!

ちなみに、ホワイトラベル以外のイチローズモルトにもバッチナンバーが記載されています。


■とにかく実直!

そして何より、お客様に「ウイスキーの原酒情報」を、「できる限り開示しよう」とする『実直』『真摯』な姿勢に、「ベンチャーウイスキーさんはすごいなぁ」と感じるわけです。

こういった実直さが、他の蒸溜所さんからも尊敬を集め、「日本のクラフトウイスキー業界のリーダー」として、内外から認められているのだと思います!


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