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スコッチ・カティサーク、その名前の由来とは? 《カティサーク②》


■カティサーク発売の背景

前回記事でご紹介しています。

すっきり系ブレンディッド・スコッチ『カティサーク』《カティサーク①》 | 記事編集 | note

英国のワイン・スピリッツ商のBBR社が、アメリカ禁酒法時代に、禁酒法の撤廃を見越して誕生したライト系スコッチウイスキー

それがカティサークです。


■カティサークの名前の由来

さて、このカティサークというスコッチの名前ですが、調べると以下のような由来があるとされています。

・帆船(お茶を運ぶティークリッパー)に由来

・有名な魔女に由来

・短いシミーズという意味に由来

・スコットランドの英雄的詩人ロバート・バーンズの小説に由来

「オイ! それぞれ、全然違うじゃねーか!」
という感じですが、実はこれ、全部繋がっているんです。

それについて、今回はご紹介させていただきます。


■スコッチ:カティサークの由来 「帆船の名前」

スコッチのカティサークの直接的な由来は、そのラベルに描かれている帆船の名前「カティサーク号」から名付けられたものです。

このカティサーク号は、ティークリッパーといって、中国のお茶をヨーロッパへの運ぶ船でした。

◇クリッパーとは
19世紀に発達した大型の高速帆船のこと。快速帆船と訳されることもある。
大部分はアメリカ合衆国とイギリスの造船所で造られた。
イギリスで利用されたクリッパーは、輸送する荷物によりティークリッパー(茶)、ウールクリッパー(羊毛)と呼ばれる。

もともとは、好景気により急激に増える茶の需要に応じる形で、アジアからの輸送を迅速に行うために使用され始めたとされる。

こういったクリッパー船の航海は商機を得るために植民地〜イギリス本国間で輸送競争(レース)となることがあり、後に「○○〜○○間を○日で到達」といった最速記録が伝説的に語り継がれることとなった。

Wikipediaより要約

クリッパー (船) - Wikipedia

そのクリッパー船の中でも、カティサーク号は、1869年にスコットランドのダンバートンで建造され、当初は主に、中国から紅茶を積んで、ロンドンへ運ぶのに活用されていたそうです。

そしてこのカティサーク号は、世界最速記録を打ち立てた、人気で有名なクリッパー船だったのです!

その後、メンテナンス費用がかさむようになった老船カティサーク号は、1895年にポルトガルの貨物船会社へと売却されてしまいます。

しかし、1922年、この時に富豪となっていたイギリス人の元・有名船長が、このカティサーク号を見かけ、買い戻しを決意。

実際に購入して、見習い水夫たちの訓練船として活用したり、記念物として展示をしたところ、

カティサーク号が、イギリスに戻ったぞ!

イギリス中で話題沸騰!!

そんなタイミングでしたので、1923年に新発売したこのスコッチにカティサークと名付けたわけです。

現在は、カティサーク号は、英国海軍ゆかりの地、天文台で有名なグリニッジに展示されています。

カティ・サーク号 | マリタイム・グリニッジ | 世界遺産オンラインガイド (worldheritagesite.xyz)

ちなみに、スコッチ・カティサークは、ラベル・デザインも勇逸です。

わざと古めかしい歴史あるイメージとするため、黄色地に手書き文字をデザインし、スコッチと書かずに、古めかしいスコッツ(SCOTS)というフレーズを採用しています。


■ティークリッパー船:カティサークの由来 「有名な魔女」

タイトル写真は、カティサーク号の舳先ですが、そこに女性の像が飾ってあります。

これは、船首像と呼ばれるものです。

◇船首像とは
船の飾りの一つで、西洋型船において船首の船体部先端に飾り付けた彫刻像。 
簡単に言うと航海の安全を願うために設置。

具体的には、「海神を喜ばすような像を船に積んでおかなければならない」と考えられていたこと、もう一つは「船が安全な航路を進むためには、船自体に目が必要である」と考えられていたために設置されたようです。

古くは、古代エジプトや、古代ギリシアやローマ、フェニキアなどで、すでにみられる慣習。

16世紀の初めころからは、ほぼ、船名に関係ある像を取り付ける習慣がフランスあたりから固定されるようになり、この習慣は西洋に広く行き渡った。
次第に設置される像は入念になり、名のある彫刻家によって、美人像英雄像などが彫刻され取り付けられるようになった。

船首像(せんしゅぞう)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

この船首像で、一番有名ともいえるのが、カティサーク号の女性像なのです!

で、この女性は、魔女のナニーさんと言います。


■魔女ナニーで、なんで「カティサーク号」と呼ぶの?

ここで、このティークリッパーが、「ナニー号」なら、話は早いのですが、船名は「カティサーク号」です。

それでは、カティサークとは、一体何なんでしょうか?

答えは、この魔女ナニーさんが身に着けているヒラヒラの肌着(下着?)のことを『カティサーク』と呼ぶのです!

「魔女っ子ナニー号」と名付けずに、「ヒラヒラ下着号」と名付けるあたりが、ひねりが効いているね!

ということだと思うのですが、この辺の船名の名付けの詳細は不明です・・・

この魔女ナニーさんが、「ビキニの水着」を着ていれば「ビキニ号」でしょうし、「キャミソール」を着ていれば「キャミソール号」だったんでしょうね、多分。


■シミーズって何?

ちなみに、カティサークという用語を調べると、「短い下着」「短いシミーズ」「短いシュミーズ」とかと出てきます。

ところで、シミーズ(シュミーズ)って何?
聞いたことないんだけど。

調べてみると、昔の西洋の肌着で、1930年以降は用いられなくなったらしいです。

シュミーズ - Wikipedia

「シミーズ」と「キャミソール」の違いとは?分かりやすく解釈 | 違い比較辞典 (chigai-hikaku.com)

そういえば、私が子供の頃は、母ちゃんが、夜にネグリジエというものを着て、寝ていたような記憶がうっすらあります。
(今はTシャツを着て、寝ていますが。)

ネグリジェ - Wikipedia

ネグリジエとか令和になってから(というか平成時代でも)聞いたことがないので、シミーズも、同じように過去のものになってしまった肌着なんでしょうね、きっと。


■魔女ナニー(あだ名:カティサークちゃん)の由来 

では、この魔女ナニー(あだ名:カティサークちゃん)は、どこから来たのでしょうか?

魔女ナニーは、ロバート・バーンズというスコットランドの国民的詩人が書いた長編詩(詩物語)「タム・オ・シャンター(シャンタ村の農夫のタム)」の中に登場します!

次回は、このスコットランドを代表する「タム・オ・シャンター」という詩物語について、ご紹介します。

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