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アーリータイムズ 最近は見かけなかったよね? in Japan《アーリー⑤》

■日本で、アーリータイムズといえば?


前回からの続きで、アーリータイムズの5回目です!

◇日本で、アーリータイムズといえば?

【A】有名なアメリカのバーボン!

【B】昔からよく見かけるなぁ。

【C】比較的安くて、BARだけでなく、居酒屋とかでもよく見かけたよね。

【D】そういえば、最近、あんまり見なかったような?

【E】今回発売されたやつは、随分とイメージが変わったね!

今回は、【D】そういえば、最近、あんまり見なかったような?です。


■振り返ってみようアーリータイムズの歴史!

◇アメリカにおけるアーリータイムズの歴史

■1860年  
ジャック・ビームさんが発売

■1923年 
ブラウンフォーマン社が買収
※ 禁酒法時代(1920~1933年)

■1953年頃
アーリータイムズがバーボン売上NO.1に

■2020年  
サゼラック社が買収
◇日本におけるアーリータイムズの歴史

■1970年
サントリーが日本の正規代理店に。

■2012年
アサヒビールが日本の正規代理店に。
・2021年12月 イエローラベル休売
・2022年6月   イエローラベルの取扱終了

■2022年
明治屋が日本の正規代理店に。
・2022年9月   ホワイトラベルを新発売。

■日本のアーリータイムズの歴史《深掘り編》

日本におけるアーリータイムズの歴史に、アメリカにおけるそれをガッチャンコすると、正確には4つの時代に分けることができます。

■時代①:1970年~2012年
サントリーが売っていた時代(ブラウンフォーマン社製造)

■時代②:2012年~2020年 
アサヒビールが売っていた時代(ブラウンフォーマン社製造)

◇2020年
アーリータイムズ・ブランド
 ▶︎ブラウンフォーマン → サゼラックへ売却

■時代③:2020年~2022年
アサヒビールが売っていた時代(サゼラック社製造)

◇2021年12月
アサヒビールが主力商品:イエローラベルの休売を発表

◇2022年6月
アサヒビールが主力商品:イエローラベルの日本での取扱終了を発表
⇒日本の正規流通品のアーリータイムズが消滅
■時代④:2022年~
明治屋が売り出した時代(サゼラック社製造)

◇2022年9月~
 明治屋が新・アーリータイムズ(ホワイトラベル)を発売
 ⇒明治屋は、アーリータイムズだけでなく、
  サゼラック社製品の正規代理店に。
  (2022年までサゼラック社製品の
   日本の正規代理店は国分)

日本におけるアーリータイムズは、イエローラベルがその代名詞ともいえる商品です。

これは1970年にサントリーが販売を開始してから、アサヒビールが2021年12月に休売するまでの50年以上に渡り、日本のBAR・スナック・居酒屋で愛されてきた定番品でした。
(アーリータイムズには、イエローラベルのほかにもブラウンラベルなど、いくつかの種類があります。)

その日本の50年以上の歴史を持つ定番品イエローラベルが、
・2021年12月 = 休売
・2022年6月   = 日本での取扱が正式終了

その後、2022年9月に明治屋が新・アーリータイムズを発売するまでの9ケ月ほどの間、正規流通品がなくなっていたわけです。

どうりで、最近、見なかったわけです。


■なぜ最近、日本で見かけなかったのか?を深掘り

上記の通り、アサヒビールが日本での取扱を終了した後、正規流通品がなかったので「見かけなかった」わけですが、そもそもなぜアサヒビールは、アーリータイムズ・イエローラベルの販売を止めてしまったのでしょうか?

それは、旧アーリータイムズの日本での取扱が終了してしまう直前の

■時代③:2020年~2022年
アサヒビールが売っていた時代(サゼラック社製造)


にヒントがありそうです。


■アサヒビールからの公式見解

商品の供給が追いついていないから休売。

※    アサヒビールさんのニュースリリースから、該当箇所のリンクを添付しようと思ったのですが、「アーリータイムズ休売&その後の取扱終了」の関連記事は削除されてしまっているようで、見つけることができませんでした。。


■なぜ供給が追いつかないの?

これは、文面としては公式見解が出ていません。
ただ、2021年12月の休売時点で、「なぜ供給が追いつかないの?」という問い合わせに対しては、(NETなどの情報を集約すると)口頭ベースで以下のような回答だったようです。

『最近、アメリカから入荷したアーリータイムズ・イエローラベルに中に澱(オリ)が多いものがあり、品質確認のため出荷を止めている』

コロナ禍による製造遅延や、
ウクライナ戦争による物流混乱ではなく、
「見た目品質」的な部分の確認事案が発生したようです。


■ウイスキーの澱オリについて

ここで、誤解を招きたくないので解説させていただくと、ウイスキーやワインといったアルコール製品には澱は発生するものです。

そして、むしろその澱は「うま味成分」的な要素があったりします。

ただ、見た目が良くないので、ウイスキーでもワインでも「冷却ろ過」という処理を施すことがほとんどです。

この冷却ろ過を施しても「味への影響は感知できるレベルではほとんどない」と言われています。

ただ、その「うま味成分」が出現したような『澱』は、見た目は良くないが、本来のお酒づくりの工程の中で発生するものなので、取り除かなくて良いのではないか?という意見もあります。

そのため、冷却ろ過を行わない商品もあり、ノンチル(ノンチルフィルタリング/アンチル/アンチルフィルタリング)などと呼ばれ、カスクストレングスなどの限定品などで、そういった商品があります。

ウイスキーの成分中には低温になると綿状のフロックを形成したり、白濁の原因となる物質があることが知られている。発酵に由来する脂肪酸やそのエルテル類、さらに樽貯蔵に由来する(樽材から溶出する)ステロール類のβ-シトステロールやそのグルコシドなどである。もちろんそれらはウイスキー固有のフレーバー成分であるが、販売や保管上のことを考えると取り除いたほうが望ましい。特に消費者イメージという観点から、現在はそれらの白濁成分をあらかじめ除去するのが一般的である。
ウイスキーコニサー資格認定試験教本2018上 P101 
発行:ウイスキー文化研究所


■こうして

アメリカ本国の製造元への「見た目品質」の確認などで、商品供給が滞ったアーリータイムズ・イエローラベルは「休売」となり、結果的にはそのまま「日本での取扱が終了」となってしまいます。

次回は、この「見た目品質の変化」が、根本的にどういう背景から起こったのかを推測してみたいと思います!


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