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アウトローな存在、コーンウイスキー!

■コーンウイスキーって?

突然ですが「コーンウイスキー」って聞いたことがありますか?
あまり聞き慣れないウイスキーですよね。

なぜなら、「コーンウイスキー」というウイスキーカテゴリーを法定義しているのは、アメリカだけで、アメリカン・ウイスキー以外ではお目にかからないからです!

コーンウイスキーでは、その名の通り『コーン=とうもろこし』をウイスキーの原料に使っています。

スコットランドや、アイルランドでは、「大麦麦芽以外の穀物」を使えば、『グレーンウイスキー』に分類されます。
コーンウイスキーという法定義もないので、このアメリカン産コーンウイスキーは、スコッチやアイリッシュ・ウイスキーからの視点で見れば、「グレーンウイスキー」ということになります。

ちなみに、グレーンウイスキーと言えば、日本では「シングルグレーン知多」が有名ですが、知多もコーンが主原料となっています。

そして、コーンを主原料とするウイスキーで、世界で一番有名なものはアメリカの『バーボンウイスキー』があります。

それでは同じアメリカン・ウイスキーの中で、同じコーンを原料に使っている『バーボンウイスキー』と、『コーンウイスキー』は何が違うのでしょうか?


■バーボンとコーンウイスキーの違い①《原料》

バーボン
 = 原料の51%以上がコーン

コーンウイスキー
 = 原料の80%以上がコーン

これはわかりやすいですよね?
どちらもコーンが原料の過半を占めないといけないのですが、
・バーボンは「コーンが51~79%」
・コーンウイスキーは「コーンが80%以上」

と、ここまでの情報なら判断してしまいそうです。
でも、それは早合点!

原料比率だけなら、わかりやすいのですが、実は、もう一つ大きな違いがあるのです。

※話はズレますが、コーン100%で、ウイスキーをつくることはできません。コーンには糖化酵素が存在しないからです。そのため、バーボンウイスキーであろうが、コーンウイスキーだろうが、必ず大麦麦芽(この場合はモルトウイスキーとは異なり六条大麦の麦芽)を使用することになります。

 ▽詳しくは▽
シングルグレーンウイスキー知多にも、モルト(麦芽)を使います!|チャーリー / ウイスキー日記|note


■バーボンとコーンウイスキーの違い②《熟成期間》

バーボン
 = オーク樽で熟成しなければならない

コーンウイスキー
 = 熟成に関する規定なし

おい、コーンウイスキー!!
お前には、ウイスキーとしての自覚がないのか!

世界的な「ウイスキー」の定義ですが、『穀物を原料として、糖化・発酵・蒸溜を行い、木製の樽で貯蔵し熟成させたお酒』というのが一般的な見解です。
その中でも『木樽熟成』は最重要ポイントで、木樽熟成による琥珀色がウイスキーの味わいを醸し出していると言っても過言ではありません。

ただ、熟成規定がない以上、熟成期間ゼロ=透明なコーンウイスキーでもOKということになります。
でも、熟成させないのであれば、もはやただのスピリッツ(=原料アルコール)なのでは・・・

そう思ってしまうところですが、実際、アメリカでコーンウイスキーとして販売されているものには、ほぼ熟成なしで、「透明」なまま売られているコーンウイスキーもあります。

Wikipedia「コーン・ウイスキー」より

これは「ジョージア・ムーン」という有名なコーンウイスキーで、ラベルや瓶型なども『熟成させていない密造酒』っぽい雰囲気にしてあります。

一方で、熟成させるコーンウイスキーもあります。
例えば、ヘブンヒル蒸溜所のメローコーンというコーンウイスキーは、4年熟成です。
ただ、この場合も、コーンウイスキーは「わが道」を行きます。


■バーボンとコーンウイスキーの違い③《熟成用木樽》

バーボン
 = 内面を焦がしたオークの新樽
※アメリカでは、ライ(ライ麦)ウイスキーも、ホイート(小麦)ウイスキーも、モルト(大麦麦芽)ウイスキーでも、同様の規定となっています。

コーンウイスキー
 =古樽 or 内面を焦がしていないオークの新樽

おい! コーンウイスキー。
お前は、なぜそこまでアマノジャクなのだ?

正直、このコーンウイスキーの定義誕生については、詳しく書いてある文献に出会っていないので(和書においては?)、私もなぜこのようなイビツな規定になっているのかよくわかっていません。。

※ アメリカン・ウイスキーには、この他にも「蒸溜時の最高アルコール度数」、「樽詰時の最高アルコール度数」、「瓶詰時の最低アルコール度数」や、「2年以上熟成させたものはストレート・ウイスキーと呼んでよい」などの規定がありますが、今回の主題から逸れるので、説明は省略します。


■バーボンとコーンウイスキーの狭間

最初に思いかけたこの定義

バーボン
 = コーンが51~79%
  (法定義では51%以上)

コーンウイスキー
 = コーンが80%以上

これは、一部は正しいのですが、一部では間違えとも言えます。

仮に下記のスペックのアメリカン・ウイスキーがあったとします。

・コーンを85%使用
内面を焦がしたオークの新樽で熟成

コーンを80%以上たっぷり使っていますが、これは何ウイスキーに分類されるのでしょうか?

《答え》
バーボンウイスキーです!

実際に、IWハーパーの一部の商品では、このように「コーンを80%以上使っているけど、内面を焦がしたオークの新樽で熟成させているから、コーンウイスキーでなく、バーボンです!」という中身スペックになっているようです。


■おい、コーンウイスキー!

おい、コーンウイスキー!
わかりずら過ぎるぞ!!

そして、私も、もうちょっとコーンウイスキーについて勉強してみたいと思います!!

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