![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120050015/rectangle_large_type_2_2bba5da876a2f0c20e908cd3059ea14f.jpeg?width=800)
20世紀最後の蒸溜所開設 『アラン蒸溜所』
■前回ご紹介したアラン蒸溜所
秀逸なボトルデザイン変更 『アラン・モルト』|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
2019年にアラン島南岸に2つめとなる蒸溜所「ラッグ蒸溜所」を開設したため、アラン島北岸にあるアラン蒸溜所は、「ロックランザ蒸溜所」と改名しています。
この「ロックランザ蒸溜所」と「ラッグ蒸溜所」を運営するアイル・オブ・アラン・ディスティラーズ社について、もうちょっとご紹介したいと思います。
■創業者:ハロルド・カリー氏
1995年にアラン蒸溜所(現ロックランザ蒸溜所)を開設したハロルド・カリー氏は、元シーバスリーガル社の重役でした。
なので思いっきり業界関係者ですね。
そして、息子さんのポール・カリー氏は、2014年にイングランド北部、スコットランドとの国境に近い湖水地方にレイクス蒸溜所を開設した中心メンバーです。
湖水地方とは、絵本ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターや、詩人ワーズワースなどが愛したイングランドでも指折りの風光明媚なエリアで、2017年に世界遺産にも登録されています。
イギリス湖水地方 世界遺産とピーターラビットの故郷 [イギリス] All About
このレイクス蒸溜所のシングルモルト「レイクス」も、すでに日本国内でも入手することができます。
■今一度、アラン島と蒸溜所開設までの流れを確認
アラン島は、クライド湾で最大の島である。かつては荒涼たる大地も味方して、密造酒に格好の隠れ家となっていた。エアーシャーやグラスゴーの目と鼻の先にあるため、隠語で「アランの水」と呼ばれていたアラン産のウイスキーは重宝された。その品質も評判が高く、1824年にヘブリディーズ諸島を旅した地質学者のジョン・マカロック氏は、アラン島を「密造酒界のブルゴーニュ」と称えている。
だがそんな名声も虚しく、1837年にはこの島で最後の合法な蒸溜所であるラッグ蒸溜所が閉鎖された。時代の流れに逆らえる者はいなかったのである。それからアラン島で新しい蒸溜所の建設計画が持ち上がるまで、実に150年以上の月日が流れた。
1990年代初頭、シーバスブラザーズ(シーグラム)やハウス・オブ・キャンベル(ペルノー)でマネージング・ディレクターを歴任してきた「ハル」ことハロルド・カリー氏が、自分の蒸溜所を建設したいという長年の夢を検討しはじめたのが事の発端だった。
アラン蒸溜所の21年 | WHISKY Magazine Japan
■やっぱり凄いのは・・・
1995年にスコットランドで、
新規に蒸溜所を開設した。
私チャーリー的には、これがやっぱりすごいなーと思うわけです。
実は、この1995年のアラン蒸溜所は、スコットランドにおける20世紀最後の蒸溜所開設となっています。
つまりは、現在の世界的な「ウイスキーブーム」、そして「クラフト蒸溜所ブーム」の前のスコッチウイスキー低迷期に開設しているのです!!
このような時代に新規に蒸溜所をつくる『勇気』と『情熱』。
そして、現在の世界的な「ウイスキー人気」と、その中でもなかなか手に入りづらい「アラン・シングル・モルト人気」を見るにつけ、その『先見の明』は凄い!としか言いようがありません!
◾️父親
スコットランドのクライド湾に浮かぶアラン島で
20世紀最後となる蒸溜所を開設
◾️息子
イングランドの湖水地方で
初となる蒸溜所を開設
すごい親子ですね!
■アラン蒸溜所のビジターセンター開設では
1995年に開設されたアラン蒸留所では、その2年後の1997年8月9日に、ビジターセンターも開設しています。
その時のビジターセンター開設のパーティーでは、なんと
エリザベス女王陛下が序幕を行った!
というエピソードが残っています。
これまた凄い!!
それくらい、スコッチウイスキーが国酒として大切にされていて、またウイスキー低迷期の中で、新規の蒸溜所開設が歓迎されていたことが伺えます。
日本で言えば、日本酒や焼酎の低迷期に、誰も新規に蔵を開設しようと思わない中で、新規に開設したら「天皇陛下がお祝いに来てくれた!」的なことですからね。
ちなみに、エリザベス女王のウイスキー蒸溜所の公式訪問は、この時が2度目とのこと。
1度目は、1980年のボウモア蒸溜所の公式訪問だそうです。
そして、エリザベス女王以外にもアラン蒸溜所には「ウィリアム王子とヘンリー王子の名前の樽」があって、この樽の中で熟成しているシングルモルトは、将来の何らかの記念日にプレゼントされるそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1698402236429-bZO9FuZoXE.png?width=800)
写真で巡るイギリスの旅~シングルモルトの島々《前編・アイランズ》~ (ukwalker.jp)
■アラン蒸溜所初のウイスキー樽の開栓時には
ビジターセンターの除幕式の翌年1998年には、蒸溜所開設の1995年に蒸溜した原酒の熟成が3年に達し、法的にウイスキーとして販売できる原酒となりました。
そのアラン蒸溜所の最初のモルト原酒樽を開けたのが、
スコットランド出身の名俳優ユアン・マクレガー
なのだそうです!
イメージでいうと、「キムタクが樽を開けに来た」みたいな感じですかね?
いずれにせよ、エリザベス女王は来るわ、ユアン・マクレガーも来るわ、国を挙げて、このアラン蒸溜所の開設を歓迎したのです。
日本で言えば、天皇陛下は来るわ、キムタクも来るわのレベルですから、凄すぎます!!
■逆境下での蒸溜所開設
アラン蒸溜所にしても、イチローズモルト・秩父蒸溜所にしても、ウイスキーブームが到来する前に、新規に蒸溜所を開設している点に、私チャーリーは痺れてしまうわけです。
ブームに流されるのではなく、
自分の信じる道を行く!
カッチョ良いですねー。
私もそのような勇気を持ち合わせたいものです!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?